地方公務員をめざす
2012年度から、国家公務員総合職試験に大学院を修了された方または修了する見込の方を対象とした院卒者試験が新設されました。法科大学院を含む大学院を修了された方は、年齢要件等が充足していれば、従来からの大卒程度試験も受験することができ、選択肢が広がりました。
採用試験の種類(大卒程度)
地方公務員(大卒程度)の採用試験は、各自治体により様々な形式で実施されますが、大別すると都道府県・政令指定都市の職員を採用する「地方上級試験」と、その他の「市役所試験」の2つに分けられます。
1. 地方上級試験
(1)受験資格・試験スケジュール(2023年度)
受験資格
(1)年齢 | 自治体により異なるが、試験が行われる年の4月1日時点で21~29歳とされることが多い(2023年度試験の場合は1994年4月2日~2002年4月1日生まれの者)。 |
(2)学歴 | 「大卒程度」は大卒レベルの試験を実施する という意味であり、学歴は問われないことが多い。 |
スケジュール
受付期間 | おおむね5月上旬~6月上旬 |
1次試験日 | 6月18日(日)※ |
2次試験日 | 7月上旬~8月下旬 |
最終合格発表 | 8月中旬~9月上旬 |
※ 北海道(第1回)5/14(日)、東京都Ⅰ類B・特別区Ⅰ類4/30(日)、大阪府5/14(日)、愛知県5/21(日)、名古屋市4/23(日)等を除きほぼ共通 |
(2)試験概要
多くの自治体が【第1次】教養・専門の択一式試験、【第2次】面接(集団討論等も含む)という形式を採っています。採用人数が最も多い「行政」のほか、福祉、土木、建築、電気など複数の試験区分が設定されるのが一般的。択一式試験では共通問題が多く使用されます。出題内容により5つの出題タイプに類型化できます(後述「地方上級試験の出題タイプ」参照)が、人物重視の方針に基づき試験制度を変更する自治体も増えています。財政状況により採用試験の実施有無、採用人数に変動もあり得ますので、早めの情報収集が重要です。
2. 市役所試験
試験日程は自治体によりまちまちですが、A日程(6月中~下旬)、B日程(7月下旬)、C日程(9月中~下旬) の各時期に実施するところが多くなっています。年齢のほか学歴などの要件を課す自治体も存在します。出願時に面接カードの提出が必要なケースなど試験内容も様々であるため、受験案内を十分確認しましょう。択一式試験は基本的な問題が多く、一定の実力が備われば1次試験の合格はさほど困難ではありません。問題は面接試験。「なぜ○○市を志望するのですか?」という問いに説得的な回答ができるよう、入念な準備が必要です。
地方上級試験の出題タイプ
地方上級レベルの択一式試験は、出題内容の組み合わせによって以下5つのタイプに分類でき、同日実施の試験では共通問題が多く使用されます。多少のアレンジを加える自治体もあります(「変形タイプ」と呼ばれます)が、一定の試験範囲・難易度におさまっており、科目ごとの重要度にも大きな違いはありません。
1. 全国型
多くの自治体が採用する出題タイプ。教養は 50題全問解答(120~150分)、専門は40題全問解答(120分)です 。経済政策、経済事情、社会学の出題がなく、経営学は出題されることが多いのが特徴。全国型をベースにしつつ科目・出題数、必須/選択解答の区別等に変更を加えた「全国型変形」タイプも存在します。
2. 関東型
関東甲信越と東海地方の一部の自治体が採用しているタイプ。教養は50題中40題(120~150分)、専門は50題中40題(120分)の選択解答です。教養試験では一般知能が必須解答、一般知識が選択解答という自治体が多く、専門では経済学の出題が多いのが特徴です。「関東型変形」タイプも存在します。
3. 中部北陸型
中部・北陸地方の自治体に多く見られるタイプ。教養は50題全問解答(150分)、専門は50題中40題の選択解答です。憲法、行政法、民法の出題数が多いのが特徴。中部北陸型には変形タイプは存在しません。
4. 法律・経済専門型
法律または経済科目中心の専門試験が実施されるタイプ。名古屋市、京都府、広島県、広島市などで導入されています。
5. 独自型
各自治体が独自に問題を作成して実施するタイプ。北海道、札幌市、東京都、特別区、大阪府、大阪市、神戸市などが該当します。