国家総合職 大学2年生合格という選択
大学4年生のときに受験するものと思っていませんか?
大学2年生の秋に受験できる制度があります。
あなたもチャレンジしてみませんか?
国家総合職試験は年2回行われる
国家公務員総合職になるための試験は、春と秋の年2回実施されます。3月中旬に行われる「春試験」は主に大学4年生が受験する試験で、出題される専門科目によって法律区分、経済区分、政治・国際・人文区分など、全部で11種類の試験区分が設けられています。
一方、9月末~10月初旬に行われる「秋試験」は受験可能年齢が19歳以上とされており、主に大学2・3年生を対象としています。秋試験で設けられている試験区分は教養区分の1種類のみ。春試験とは違って専門科目試験は課されません。
秋試験(教養区分)の受験可能年齢が「19歳」になったのは、2023年からでごく最近のことです。それ以前の年齢要件は「20歳」で、大学3年生のときに教養区分を受験し、結果が出なかった場合に大学4年生の春試験に臨む、というのがスタンダードでした。
今後、大学1~2年生の皆さんには、①大学2年生秋の教養区分、ダメなら②大学3年生秋の教養区分、結果が出なくても③大学4年生の春試験と、大学在学中に3回も国家総合職試験を受験するチャンスがあります。
大学2年生秋の国家総合職教養区分に合格することを目指して、早めに準備をスタートすることにはメリットがたくさんあります。中でも重要なものを3つご紹介します。
大学入試時の記憶がまだ残っている1年生は有利です
それ自体が高くなる
大学入試時の記憶がまだ残っている1年生は有利です
大学入試の知識を活かせる試験
国家総合職教養区分試験では、次のような試験種目が課されます。
第1次試験 | 基礎能力試験および総合論文試験 |
第2次試験 | 企画提案試験、政策課題討議試験および人物試験 |
このうち、第1次試験の基礎能力試験では、「自然・人文・社会(時事含む)、情報」という知識分野から30題が出題されます。自然・人文・社会で出題されるのは、科目でいうと次のようなものです。
基礎能力試験「一般知識」の出題科目例
出題分野 | 主な出題科目 |
自然科学 | 数学、物理、化学、生物、地学 |
人文科学 | 世界史、日本史、思想、文学・芸術、地理 |
社会科学 | 政治、行政、法律、経済、社会、国際関係 |
社会科学については、主に大学に入ってから学習する科目が中心です。一方、自然科学と人文科学については、多くは高校までに学習した内容です。大学入試で記憶した知識がまだ鮮明な1~2年生の皆さんは、少ない負担で効率よく対策できます。
英語力が最も高いのも大学入学直後
英語についても大学入試直後の実力が最も高く、段々と忘れていってしまうというパターンが多いかもしれません。けれども、国家総合職試験では区分に関わらず、次のような場面で英語が必要です。
●基礎能力試験(文章理解)
第1次試験で行われる基礎能力試験では、「知能分野」の一つとして文章理解が出題 されます。これは文章の読解力を試すものですが、その過半数は英文読解の問題です。
●総合論文・政策論文試験
総合論文試験(教養区分)および政策論文試験(春試験)は、提示される複数の 資料を読み解いて設問に答える論述試験です。資料の一つは英文です。
●英語スコアによる得点加算
TOEFL、TOEIC、英検など指定された外部英語試験のスコアを提出すると、その成績 によって総得点に最大25点が加算されます。
国家総合職職員は省庁を問わず、外国政府・企業などと折衝する機会が少なからずあります。一定の英語力が実務上欠かせないため、採用試験においても英語力が試されます。大学入試直後の英語力をキープできれば、アドバンテージになります。
すでに「合格者」の身分があるので採用側も安心です。
すでに「合格者」の身分があるので採用側も安心です。
国家総合職は「試験合格=採用」ではない
試験に合格しても、実はそれだけでは国家総合職職員になることはできません。採用までの流れを確認しておきましょう。次の2ステップです。
国家総合職になるまでの流れ
試験に合格する
志望する省庁から内々定をもらう
まずは、①「国家公務員総合職試験」に合格する必要があります。合格すれば『採用候補者名簿』に名前が載り、②志望する省庁への「官庁訪問」を行うことができます。そして内々定を獲得できれば、翌年4月から晴れて総合職職員です。
官庁訪問は春試験合格発表後の6月に行われます。採用を希望する省庁を訪問して面接や集団討論などの人物試験を繰り返し受けます。第1クールから第4クールまであり、全て突破してはじめて内々定獲得です。
官庁訪問における内々定率は例年35%前後。試験合格者の3人に1人が採用されるイメージです。ライバルは皆、国家総合職試験の合格者、というハイレベルな選抜になるため試験に合格するよりも狭き門といえるかもしれません。
2年生合格者はじっくり準備できる
さらにやっかいなことに、採用は「官庁訪問」一発勝負ではありません。各省庁では、毎年夏頃から翌年以降の総合職採用に向けて様々なイベントを開催します。受験生はイベントにできる限り参加して省庁への理解を深めるとともに、省庁担当者と関係を築いていくのです。
3年生以上であれば、この活動を試験勉強と併行して行う必要があります。一方、2年生合格者はすでに試験を突破しているわけですから、集中して、また時間をかけて取り組むことができます。
イベントで学んだことをしっかり消化し、省庁担当者からのアドバイスに真摯に向き合うことで確実に成長できます。イベント参加などを通じた成長が官庁訪問での内々定獲得へとつながっていくのです。
また、採用する側の視点でいうと、期待の採用候補者であっても試験で不合格となれば採用はできません。すでに官庁訪問の資格を確保した2年生合格者は、安心の人材といえます。
勉強漬けの大学生活にはなりません。
大学生活も充実
勉強漬けの大学生活にはなりません。
学習時間は「1日1時間」
例えば大学1年生の夏・秋から学習をはじめて翌年の教養区分試験合格を目指す場合、平均的な学習時間は週5~7時間ほど。ガツガツ勉強する必要はありません。
土日はフリーにして平日は毎日1時間ずつ勉強する、逆に平日は勉強せず週末に集中して取り組むなど、生活スタイルに合わせて柔軟に学習計画を立てられます。
学習に割くべき時間はごくわずかなので、サークルや部活、アルバイト、友達と遊ぶ、趣味、ボランティアなど何でも好きなことと両立できます。
合格すれば自由な時間が手に入る
2年生秋の教養区分試験に合格すれば、もはや試験勉強に縛られることはありません。その先の1年間は本当に自由に使えます。
続けてきたサークル・部活にさらに打ち込むもよし、留学やバックパッカーで海外に飛び込んでみるもよし。学生時代しかできない体験をぜひどうぞ。
民間企業のインターンシップに参加して、就活に取り組むのもおすすめです。特に、志望する省庁が所管している業界を見てみると、「なぜ官僚なのか」「なぜその省庁なのか」という志望動機がより明確になるでしょう。
知識をキープさらにブラッシュアップ
教養区分の第1次試験では、基礎能力試験と総合論文試験の2つが行われますが、その合否はなんと基礎能力試験の成績のみで決まります。基礎能力試験で合格ラインをクリアできなければ、総合論文がどんなによく書けていても採点されません。
教養区分対策の中では、総合論文試験の対策が、配点の高さや難易度からいって最も重要です。とはいえ、基礎能力試験の対策をおろそかにすることは絶対にできません。満点をとる必要はないので、「何度受けても常に合格ラインは超えられる」という準備をしましょう。
基礎能力試験で問われる知識は、大学入試の知識と多くが重なります。今ある知識のキープに努めましょう。時間に余裕があれば、大学入試では選択しなかった科目のうち、取り組みやすいものに挑戦してみるのもアリでしょう。
また、英語については早いタイミングでTOEICなどの外部英語試験を受けておくことをおすすめします。成績に応じて最大25点も加算されるので、早めに高スコアを確保しておくのが得策です。
時事トピックはコツコツ学習
時事知識は、教養区分試験のほぼ全ての場面において必要となる重要なものです。それぞれの試験種目でどのように時事知識が問われるか確認しておきましょう。
●基礎能力試験(一般知識)
一般知識分野の出題内容は「自然・人文・社会(時事を含む)、情報」とされており、時事と関連づけて自然科学、人文科学、社会科学それぞれの知識が問われます。
●総合論文試験
総合論文試験は2問出題されますが、「具体的な政策課題」について論じさせるⅡ部では、最新の動向(数値や実施されている政策)を踏まえて論述する必要があります。
●企画提案試験
企画提案はテーマとなっている行政課題を解決するための企画=政策を考えプレゼンす る試験です。提案内容は当然、現状をふまえたものでなければ説得力がありません。
このほか、政策課題討議試験や人物試験においても、時事知識があれば有利になる場面があるでしょう。さらには、合格後に行う官庁訪問では、時事トピックや主な政策についての知識があることは当然の前提として選考が進められます。
このように、教養区分の試験対策は、大半が時事トピックと関連づけて行うものといっても過言ではありません。「一気に暗記する」といった詰め込み型の学習には適さないため、伊藤塾では月1~2回ペースでコツコツ学習するプログラムを提供しています。
総合論文の「出るかも」テーマを網羅
教養区分の総合論文試験は、4時間で2題の論述問題に解答する試験です。Ⅰ部では「政策の企画立案の基礎となる教養・哲学的な考え方」に関する問題、Ⅱ部では「具体的な政策課題」に関する問題が出題されます。
難易度の高い教養区分試験。一度出された問題が全く同じ形で再度出題される、なんてことは絶対にありません。一方で、同じテーマについて別の視点で問う問題や、現在の状況を踏まえた論述を求める問題が出題されることは十分あり得ます。
教養論文試験で高得点を狙うには、今後も出題が予想される「出るかも」テーマについて、自分の考えを、論述できる形で整理しておくことが大切です。
伊藤塾では、『国家総合職ゼミ』において、過去問を素材に重要テーマを網羅的に学習します。単なる過去問解説にとどまらず、「この問題が今年の試験で出るとしたら」という視点で、押さえておくべきポイントを白書などの公的資料を用いてチェックしていきます。
約1年間の『国家総合職ゼミ』でじっくり学べば、問題分析力、答案作成力、そして穴のない政策テーマの知識を身に付けることができます。
2023年にはじめて実施された「19歳以上」対象の教養区分試験。全体平均の合格率10.5%の試験に挑戦した伊藤塾受講生は約6割が合格されています(32名中19名)。2年次に受験するメリットについて合格者の皆さんにお聞きしました。
2年生で受験して良かった思うことを教えてください
今年ダメでもまだ何回かチャンスがあると思うと、当たって砕けろの精神で余計なプレッシャーを感じず取り組むことができた。
入試知識が残っていることはかなり他受験者に対し優位に立てました。
残っていた入試の知識(特に世界史、日本史)や英語力を生かせた。もし落ちてしまっても来年がある、というマインドで臨むことが出来た。また、履修科目の関係で2年の前期は大学の定期試験がほぼなかったので、大学の勉強にリソースを割かれてしまうということがなかった。
サークル等が忙しくなかったので、夏休みに勉強時間を多く取ることができた。
省庁イベントに参加してアドバンテージを感じましたか?
早めの時期から志望省庁の説明会に参加することで、官庁訪問までに やらなければいけないことが明確になります。また、様々な省庁を見ることで、 視野が広がるとともに、志望理由がより解像度の高いものになります。
早く試験を受けたからこそ、早めにイベントを確認する意識が生まれたと思う。早めにイベントに参加していることで、イベント開始前の時間などで採用担当の方とお話できる機会が頻繁に得られると思う。
春休みに説明会に行ったが、周囲が今年の訪問者ばかりだったのでリラックスして質問できた。
大学3年生の1年間、どう過ごしますか?
法務省について調べているうちに法曹に興味が湧いたため 予備試験の勉強を開始しました。
見聞を広めるという意味で民間含め就活も少しずつやりながら、サークルや趣味に注力したい。学部の勉強も公務員を考えている以上はきっちりこなしたい。秋以降は官庁対策をしつつ、4年次の官庁訪問に備えたい。
現在は外務省を中心とする希望省庁の説明会に参加しながら、民間の夏インターンの準備をしています。夏までに業界をある程度縛り、秋以降はある程度限定して民間就活を行いつつ、省庁でのイベント参加に注力したいと考えています。ただ、ゼミやサークル活動も引き続き行っていく予定です。
部活・バイトを頑張りつつ、民間の就活も頑張りたい。ワークショップに行った時に、民間の就活をして、色々較べてから官庁訪問した方がいいと言われたので、民間就活も頑張る。
民間就活に、より時間をかけている。インフラを中心にさまざまな企業を見ている。官庁もイベントに参加予定である。
2年生合格者も利用したおすすめ講座
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