法律学習を勧めつつ職業選択をじっくり考えたい。
司法試験入門講座で1年生から学習開始
I.Y さん(22歳)
◆ 受講講座 : 司法試験入門講座本科生、国家総合職面接対策講座
◆ 最終合格 : 国家総合職(法律区分)
◆ 内 定 : 総務省
◆ 予定進路先: 総務省
※プロフィールは、2018年合格時点のものです。
はじめに
公務員を職業として選択するということは、中学生の時から何となく候補には入れていました。地元が路面電車を活用したまちづくりを進めているのを、小学校時代~高校時代まで目の当たりにし、行政が都市設計・管理において果たす役割の重要性を認識し、公務員として働くことに魅力を感じていました。
そのような美しいまちづくり、居心地のよいまちづくりを進め、住民の方々との信頼関係を高めてゆくなかで、(抽象的ですが)よりよい社会の構築に貢献できればとは考えていましたが、法曹の仕事にも魅力を感じていたので、差し当り法律学習を着々進めてゆこうと考え、伊藤塾に入塾しました。
このようにもともとは国家公務員を進路として決心して目指していた訳ではなく、法曹になることも選択のひとつであったので、法律の学習を進めつつ職業選択をじっくり考えるという趣旨から、司法試験入門講座で学ぶことにしました。伊藤塾を選んだのは、仲の良い友達が通っていて、すすめてくれたからです。
進路自体については決めかねていたとはいえ、公務員試験自体は、自分自身の法律学習の到達度のひとつの指標として受験するつもりではいました。結果的に合格し、(法科大学院進学を念頭に置いていたので)官庁訪問に行くか迷っていたところで、3年生の時にインターンシップに行っていた総務省の方から、官庁訪問にぜひ来ないかと声をかけていただき、職員の方のお話を聞くだけでも自分のためになるという自己研鑽の目的から官庁訪問をし、私が総務省に相応しい人間であると励ましていただいたので、再考し、就職を決断した次第です。
私は1年生の秋頃から伊藤塾での学習をはじめました。早い時期に学習をはじめることで、公務員・法曹両にらみで学習できる、進路の幅が広がると考え、早期の学習を決めました。結果的には、時間的な余裕があったので、大学での学習、サークル活動や旅行、帰省時の家族との時間、友人との時間のどれもあまり犠牲にすることなく、じっくりと学習を進めることができたかなと思う向きもあります。
内定を得るにあたり、伊藤塾で良かったと思うのは、筆記試験だけでなく、面接についてもしっかり対策を提示してくださったことであると思います。人事院面接ではどのような内容・答え方で応答すべきか、官庁訪問ではどのような姿勢を強調すべきかについてアドバイス頂いたことで、(実際に面接官はどのような印象を抱いたかはわかりませんが)私自身の印象が多少なりとも肯定的なものになったのではないかと思っています。
私がとった勉強方法
専門試験(多肢選択式)について
専門試験の多肢選択式では、判例についての細かい知識が問われていたかと思います。その点は、司法試験入門講座の講義で判例について丁寧に解説してくださっていたのが役立ったとは思います。判旨もさることながら、事案に関するエピソードから判決の傍論に至るまで、様々な興味深いお話をして頂いたので、記憶に定着し、問題を解くときに思い出す「引き出し」が増えたとは思います。とはいえ、あまり多肢選択式の勉強はしなかったので、あまり良い成績ではありませんでした。過去問題集や各種講座に積極的に参加して対策を積まれることをおすすめします。
専門試験(記述式)について
一次試験合格後の解答番号調査の特典としてお送り頂いた論文対策のテキストが役に立ちました。論文全体の構成から、論証パターンに至るまで、記述式試験で解答するうえで覚えておくべきこと・身につけておくべきことをエッセンスとして凝縮してあったので、それを徹底的に消化しました。
また、司法試験入門講座のテキストの論文ナビゲートテキストは、大変役に立ちました。論文ナビゲートテキストで紹介されている論証は、その論点自体が試験頻出のもの、すなわち学習するうえでの要点に絞ってあった、それを着実に身につけることで、問題を見ればおおよその解答の方針がつく、という程度にまで到達することができました。
基礎能力試験(多肢選択式)について
基礎能力試験は、市販の過去問を多少は解きましたが、あまり勉強しませんでした。そのためあまり良い成績ではありませんでした。過去問題集や各種講座に積極的に参加して対策を積まれることをおすすめします。
政策論文・総合論文試験(記述式)
このためだけにとりたてて特別な勉強はしませんでした。
法律論文の練習を続けていれば、自然に筋道立った文章を書く能力は身についてくるのではないでしょうか。戦略論にはなりますが、この論文試験は、偏差が小さいので、対策をしても効果として出てくる得点はそこまで大きくない気がします。その時間と体力を専門試験(記述式)に割いた方が、費用対効果の面では効率的ではないかと考えます。
面接・集団討論について
人事院面接は、面接カードを記入し、そこから想定問答集を作成して読み返し、類似の質問をされたときに戸惑わないように対策しました。また、伊藤塾で模擬面接をしていただきましたが、ここで頂戴したアドバイスは大いに役立ちました。
過去、自分がどのような経緯で公務員を志望するようになったかを説いて聞かせるのではなく、就職してから何をしたいかという、未来志向の話をした方が良いとアドバイスをいただき、これを念頭に置いて、面接カードと想定問答の作成に当りました。
面接カードを作成するに当たっては、あまり内容を盛り込みすぎず、簡潔に要点を絞って書くと良いと思います。また、どのような質問をされるか予想のつきやすい内容にしておくと良いです。面接官からの質問をあれこれと予想するのも大事ですが、質問を誘導する形の面接カードにすると、面接が円滑に進むと思います。
官庁訪問について
官庁訪問では、できるだけ多くの知識や経験を職員の方から伺おうという、自己学習の気概で臨んだこともあり、聞いてみたいことをリスト化して頭の中に留めておきました。また、政策それ自体についても深遠な議論を引き出せたらと考えていたので、政策について自分が考えていること、自分がもし職員だったらこんな政策を提案したいというのを文書化し、提出していました。職員の方々は、一を質問すれば、議論を一でも喚起すれば、十を返してくださるような方ばかりなので、このように何を聞きたいかを予めいろいろ考えたり、官庁訪問先の政策についての自分なりの考えをまとめたりしておくと良いかもしれません。
普段の生活と試験対策
法学部に所属していたので、大学生活自体が自然と法律試験の受験勉強にもなっていました。
したがって、大学生活と受験勉強とで、何か意識してバランスをとる、というよりは、大学生活での学業(大学の講義、ゼミなど)に真摯にひたむきに取り組んで、結果的にそれが受験勉強にも結びつく、という様に勉強が進んでいったと振り返ります。
サークル活動は、鉄道研究会と法律相談所に所属し、どちらの活動にも比較的足繁く参加していました。もともと法科大学院進学を念頭に過ごしていたので、公務員試験のために何か特別なことをした訳ではありません。ただ、自己の学習の一環として、インターンシップには参加しましたし、暇ができたときに業務説明会にも何度か足を運んでいました。
内定と進路決定の理由
採用担当の方や、面接してくださった多くの方々に、私がこの就職先に向いている、ぜひ一緒に働きたいと強いお励ましを頂いたことによります。
大学院進学を念頭に置いていたとはいえ、公務員として勤務することにも関心があったので、そうした励ましを頂いたことから、学生を延長する形で大学院に行くのではなく、ここでリセットして、一度職場・社会というものに飛び込んでみようという決心がつきました。
どのようにモチベーションを維持したか
モチベーションの維持、ということはあまり気にしませんでした。
気持ちの浮き沈みは誰しもにあることだと思います。それを無理に矯正してやる気を高めることはせず、憂鬱になったら外へ出かけたり、友達と話したりしていました。公務員試験のために全生活を注力して取り組んだという訳ではなく、日頃少しずつ勉強はしていて、その定着度を測るために受験してみようという気持ちで臨んだ部分もあったので、その点そもそも気持ちに余裕があり、結果的にモチベーションというものが乱高下することがなかった、概ね平常心を維持できたのではないかと思います。
最後に
職場の内外問わず、多くの人々に慕われ、信頼される公務員になりたいと思っています。
そのためには、職務において真摯に取り組むことや、良質の成果を発揮することもさることながら、自分自身を人間的に高めるということ、つまり、公務員としてではなく、一人の人間として、その人格を高めることが求められると考えています。したがって、職業生活だけでなく、普段の私生活も充実した豊かなものにしてゆくこと。多くの趣味を作り、多様な人々と交流し、溌剌と日々を過ごしてゆくことが、なによりもまず肝要ではないかと思います。