先生方やスタッフの方々との距離の近さ。国家総合職に内定するために、非常に大きなメリット
O.Nさん
◆ 受講講座 : 司法試験入門講座本科生
◆ 最終合格 : 国家総合職 法律区分
◆ 内 定 : 出入国在留管理庁
◆ 予定進路先: 出入国在留管理庁
※プロフィールは、2019年合格時点のものです。
はじめに
私は浪人時代に弁護士の先生の講演会を聞き、問題を抱え、罪を犯した人々を弁護という形でサポートしたいと思い、弁護士になるため、ロースクールを目指しました。しかし、ロースクール在学中の弁護士事務所でのインターンを通して、何度も同じ犯罪を繰り返す人の話を聞きました。原因は貧困・孤独・病気など様々で、弁護士の仕事はその人が同じトラブルを起こさないようにするなど、今後起きるかもしれない問題には苦手ではないかと思い、もどかしさを感じました。「問題を抱える人に必要な支援を届けたい」というテーマをかなえるためには何ができるのかと思っていた時に、現在国家公務員として働く友人の話を聞き、国家公務員として制度を作ることが目的を達成する手段なのではと感じ、国家公務員に興味を持ちました。
ロースクールを修了し、1年がたったころ、それまで司法試験の指導をしていただいた伊藤塾において相談したところ、公務員試験対策の講座を紹介して頂き、面接の指導を重点的に行っていただきました。先生方も非常に親身に相談に乗っていただき、まったく面接慣れしていなかった自分でも、何とか試験を乗り越えることができました。先生方やスタッフの方々との距離の近さは非常に大きなメリットだと感じました。
今後は私自身の、「問題を抱える人に必要な支援を届けたい」という思いを実現するため、しっかりと現場を見つつ、政策立案に貢献したいと思っています。
私がとった勉強方法
専門試験(多肢選択式)について
司法試験の勉強をしていたことから、ある程度自分で勉強していました。しかし、行政法の択一など司法試験にはない科目などの対策について、先生と相談し、紹介していただいた教材を繰り返し何度も解きました。基本的には司法試験や予備試験の対策で使っていた教材をそのまま使えると思います。
専門試験(記述式)について
司法試験の論文マンツーマン指導で論文の対策をしていただいていました。公務員試験でも論文の書き方は非常に重要視されており、それを徹底的に叩き込んでいただいた経験が活きたと思います。また、司法試験よりも公務員試験のほうが判例を重視しているなどの特徴などをアドバイスしていただき、それらを意識することで点数を稼ぐことができました。司法試験の勉強をしてきた方でしたら、公務員試験でも論文試験が非常に大きな稼ぎどころになりますので、今までの勉強を活かしつつ、先生方に公務員試験の特徴を教えてもらうことで対策をされたらよいと思います。
基礎能力試験(多肢選択式)について
数的処理などはある程度自信があったので、手薄だった時事の直前対策講座を受講し、準備しました。直前対策講座では、出そうなポイントを重点的に解説していただくことができ、とても効率の良い勉強ができました。ロースクール生にとって知識分野が一つの弱点になりうるかとも思いますが、全てを取りに行くのではなく、ある程度絞って勉強し、点数を稼ぐところで稼ぐというのも一つの戦略とも思います。
面接・討論について
私は民間の面接もしておらず、そもそも志望動機をどう作成するのか全くわかっていませんでした。また、話も長くなってしまうところもあり、端的にポイントを話し、面接官との会話にすることに不慣れでした。何度も人事院面接の模擬をしていただき、丁寧に、時には厳しく指導してもらうことで、だんだんと面接官の方が何を聞きたがっているのかわかるようになりました。また、相手にどう伝えればわかりやすいのかという視点は、志望動機作成にも活かすことができました。民間の面接なども経験されていないロースクール生の方でしたら、進路を変更した理由なども含め志望動機の作成やその伝え方が非常に大きな課題だと思いますので、先生方に細かくチェックしていただくことがより重要になるかと思います。
また、集団討論についても、それまで経験がありませんでしたが、他の受験生の方と練習することで本番をイメージすることができました。先生方から改善点について指導していただくことができ、落ち着いて議論に臨むことができたと思います。
官庁訪問について
官庁訪問についての情報がほとんどなかった自分にとって、3月頃に行われた内定者の方々の講演会に参加した経験は非常に有意義でした。実際に官庁訪問を通して内定をもらった方々がどのように準備したかを説明してもらい、自分の準備に活かすことができました。
普段の生活と試験対策について
私は去年の官庁訪問では内定を頂けず、今年再び官庁訪問に臨み、内定を頂くことができました。去年の官庁訪問を通し、自分自身の原体験が少ないと感じ、また自己分析も不十分で、より説得的な志望動機にする必要があると思いました。アルバイトやボランティアをしつつ、自己分析を深め、志望動機を一から練り直しました。その中で自分の志望先も変わり、2回目の官庁訪問では全く違う省庁を回りました。
官庁訪問でよく聞かれたのはボランティアについてのエピソードでした。「もやい」という生活支援ボランティアを友人から教えてもらい、はじめました。ホームレスの人や、DVなど生活に問題を抱えた人の相談を受け、住まい探しや就労支援、行政の支援を受ける手助けをしたりする団体で、私も、相談者の方から直接お話も聞き、生活保護の申請に同行したりもしました。生活相談に来る人々の中には全財産が残り数千円という深刻な状況の方もいましたが、本人たちはどんな制度があるのか、どう制度を使うのかわからない、という状況でした。そのような社会の中で問題を抱えた人々にとって、相談できる人の存在が非常に重要だと感じました。また、その際は相談を聞く側の人間が、相手が何で困っているのか正確に判断し、制度を理解し伝えることが必要だと感じました。
この経験は、法務省や出入国在留管理庁でやりたい政策につなげることもでき、官庁訪問でも評価を頂けたエピソードだったと思います。
自己分析においては、私のように新しく話せる経験を増やすことも重要ですし、今まで自分がしてきた経験を通して自分がどう感じていたのか、それがどう志望動機につながるのか何度も洗い出すことも重要だと思います。
どのようにモチベーションを維持したか
去年の官庁訪問からの1年は非常に長く感じましたが、アルバイトやボランティアをしつつ、様々な省庁の説明会に行き、自分が国家公務員として働く姿をイメージすることでモチベーションを保ちました。また、友人と遊んだり飲み会を開いてもらったりすることで息抜きをしていました。基本的に公務員試験は長期戦になるので、あまり自分を追い込みすぎないことも大切かと思います。
最後に
私自身の軸は「問題を抱える人に必要な支援を届けたい」というもので、この初心を忘れず、現場の状況をしっかり理解しながら、政策立案を通して環境を整えていける公務員を目指したいと思います。
私自身、進路については二転三転した人間ですが、悩んだ経験があったからこそ、非常にやりがいがあり、納得のいく仕事に出会えたのではと思います。進路について悩む方もいらっしゃると思いますが、その経験が必ず活きるときがくると思います。この体験記を読んでいる方が、納得のいく仕事に出会えることをお祈り申し上げます。