伊藤塾がなければ、専門区分・官庁訪問に向けて気持ちを切り替えるにはもっと長い時間がかかっていたと思います
外務省 H・Kさん
東京大学 教養学部
◆ 最終合格 : 国家総合職 政治・国際区分
※プロフィールは、2021年8月時点のものです。
公務員を目指したきっかけ
小さい頃から国家と国家の関係に漠然とした興味を抱いており、高校生の頃に世界史で学んだイギリスのパーマストン外相の考え方に衝撃を受け、日本の外務省を志すようになりました。大学では国際関係論を専攻し、具体的に日本を取り巻く国際環境の課題を学ぶ中で、外務省への志望がより強まりました。
大学3年生の春から伊藤塾に入塾して対策をはじめました。秋の教養区分では残念な結果となったため、春の政治・国際区分を受験しました。
学習スタートのタイミング
公務員試験の受験は大学1年生の頃から考えておりました。2年生の後期に、大学のキャンパスで開かれていた伊藤塾の公務員試験のガイダンスに参加して、伊藤塾で対策をしようと思い入塾を決めました。
他の受験指導校ではなく伊藤塾に決めた理由は、ひとえにガイダンスで説明してくださっていた佐藤講師の説得力や指導力が魅力的だと感じたからです。それまで漠然としていた教養区分の試験内容を、どこで何点取るのかという戦略的な視点で見ることができるようになりました。
伊藤塾のここが良かった!
①教養区分のゼミ ②試験前のカウンセリング ③官庁訪問前の模擬面接 ④スタッフの方々のサポート体制という4点において、伊藤塾を選んでよかったと考えています。
①について、教養区分という同じ目標に向かって高いレベルの議論をできる仲間ができたことはとても役に立ちました。②について、教養区分が厳しい結果になると分かった後に講師の方にカウンセリングをしていただき、専門試験でどの区分を受けるのか、どのように勉強計画を立てるのか等について丁寧にアドバイスをいただきました。このカウンセリングがあったからこそ、落ち込む期間を最小限に留めて次の段階へと目を向けることができたと思います。③について、官庁訪問の前に志望者同士での模擬面接を重ねてはいました。しかし、講師の方にやって頂いた模擬面接では、やはり学生同士では出せない(良い意味での)緊張感・圧迫感の中で練習できたため、とても良い練習になりました。④について、SNSのアカウントでつながっていたスタッフの方がとても丁寧にサポートしてくださいました。特に、教養区分後に春の専門区分に向けて講師の方とのカウンセリングを設定していただいたり、また直前期のお願いにもかかわらず政策論文の過去問題集をすぐに発送していただいたり、細やかで迅速なサポートを受けることができました。
私がとった勉強法
専門試験(多肢選択式・択一式)について
伊藤塾の講師の方がカウンセリングの時におすすめしてくださった政治学、国際関係、行政学、国際法、憲法の基本書と、先輩から譲っていただいた過去問題集を使用していました。いきなり基本書を読みはじめると「どの部分が重要なのか」「どの知識は他の受験生と差がつきにくいのか」などがわからず知識の濃淡が付けにくかったため、問題集の目次と問題数から頻出の分野を予測してから一定の当たりをつけて読むように意識していました。
専門試験(記述式)について
概ね1次試験の択一対策と同じ基本書と先輩から頂いた過去問題集を使用していました。また、伊藤塾のスタッフの方の引き合わせで、政治国際区分を受験する仲間と知り合うことができました。その自主ゼミ仲間と、同じ問題について各自解答を作ってきて議論をしたり、(試験作成者の教授が発表されてからは)その著作を読んで予想問題を考えたりと、協力して対策を行ったことも効果的だったと思います。
基礎能力試験(多肢選択式)・教養試験(択一式)について
教養区分のコースで頂いていた伊藤塾の教材を利用して対策を行いました。正直なところ純粋に基礎能力試験のために割いた時間はそこまで長くはありませんでしたが、社会科学の問題では専門区分(政治・国際区分)の択一対策で勉強した政治学や憲法、行政学の知識が点数につながったと思います。
総合論文試験、一般論文試験、教養論文試験などの記述式について
総合論文については伊藤塾の過去問題集を使用して対策しました。同じ区分を受験する友人と一緒に問題を指定して時間を計って解き、お互いにコメントを付け合っていました。専門区分での総合論文は受験生同士の差がつきにくかったと思います。総合論文に時間をかけすぎるよりも、専門記述試験の対策を集中してやったほうがいい、という講師の方からのアドバイスのおかげでうまく時間配分をできたと感じています。
企画提案試験・政策課題討議・面接・集団討論などの人物試験について
伊藤塾の講師の方や教養区分合格者の友人との模擬面接に力を入れていました。また2月頃から面接カードを書き添削を受けた方が良いと講師の方からアドバイスを頂いていたため、早めに準備をはじめていました。
人事院の受験要綱では、専門記述試験から人物試験までの期間が2日〜3週間と書いてあったため、専門記述試験まではとりあえず専門記述に専念して、その後に人物試験対策をしようとしていた人が大半でした。しかし実際には、政治・国際区分では専門記述試験の2日後に人物試験が実施されたケースが多く、伊藤塾の方のアドバイスに従って2月頃から面接カードの準備を行っていて良かったなと心底思いました。年度によって日程は大きく変わり得ると思いますが、記述試験から人物試験まで余裕がたっぷりあるとは想定しない方が吉だと思います。
官庁訪問について
同じ省庁を志望する友人たちと、知識を入れるための勉強会、志望動機の添削会、面接練習などを行っていました。時期としては、2〜6月にかけて勉強会と志望動機添削会を、5〜6月にかけて面接練習会を行いました。省庁の政策知識を細かくインプットする過程で、志望動機を言語化したり解像度を上げたりできたと感じているため、両者を並行して行って良かったと感じています。
普段の生活と試験対策について
3年生の前半までに概ね必修以外に必要な単位を取り切っていたので、特に大学の授業との両立が難しかったということはありませんでした。
アルバイトやサークルの活動もそこまで精力的に取り組んでいたわけではありませんでしたが、試験勉強だけではなく他の活動に頭を切り替えることでメリハリが生まれました。全ての予定を消して試験勉強に専念する、というスタイルは自分に合っていなかったのだと思います。
モチベーションの維持の図り方
・モチベーション維持:定期的に業務説明会や職員訪問の機会を設けて、自分がなりたい理想像を更新するつもりで職員の方の話を伺っていました。特に、オンラインと対面形式を選択可能な説明会の場合にはなるべく対面の回を選び、霞ヶ関の庁舎に実際に足を運ぶことがモチベーション維持にはプラスに働いたと感じています。
・気分転換:勉強中に集中力が落ちる時は、長時間同じ姿勢を取って血流の巡りが悪くなっていることが多いので、意識的に身体をリラックスさせるため色々な試みをしました。例えば、エア縄跳びやラジオ体操、軽いジョギング(室内でもOK)、ヨガなどが効果的でした。また、同じ省庁志望者や同じ区分を受ける友人と話して悩みや心配事を共有することも気分転換になっていました。
最後に
国家公務員という職業は、元来ジェネラリスト的性質の強い職業だと考えています。日々の忙しさに流されて2年毎の人事異動に対して受動的になってしまえば、ジェネラリストの皮を被った専門性に欠ける怠け者に容易になるのだと思います。入省前だからそんな理想を言えるという側面も否定はできませんが、少なくとも自分に対してこのような批判の目線を常に持てる公務員でありたいと思っています。このような自分への批判を忘れず、各分野で自分の知識や経験を磨き、大局的な視点から日本の将来を考えていきたいです。
公務員試験を受験される方は、どうか受験したいと思ったその時の志を忘れずに持ち続けていただきたいです。民間企業の内定を持っていると、なぜこんな辛い思いをして試験を受けなくてはならないのかと思う時もあるでしょう。しかし、「内定をくれたから行く」と受動的に決めるのではなく、「内定をくれた複数の主体のうち、このような理由で自分はこの主体を最初の職場として選択するのだ」という能動的な決断を後悔なく行う方が良いと思います。どのような選択をするにせよ、将来の自分が納得して仕事に向き合えるためには必要な過程だからです。
最後に、伊藤塾の方々には本当にお世話になりました。教養区分のあとに支えてくださった講師やスタッフの方々がいなければ、専門区分や官庁訪問に向けて気持ちを切り替えるにはもっと長い時間がかかったと思います。すぐに未来に目を向けて自分の足りないところを補う準備を行えたこと、またその準備の過程を支えてくださったことは、感謝してもしきれません。ありがとうございました。