ゼミでは合格に求められる論文の書き方に加え、
「官僚に求められる思考」について丁寧に学べます!
総務省 I・Uさん
明治大学早期卒業
慶應義塾大学法科大学院
◆ 最終合格 : 国家総合職 教養区分
※プロフィールは、2021年8月時点のものです。
公務員を目指したきっかけ
国家公務員を目指すきっかけは、大学2年の夏に英国留学ではじめての海外生活を経験した際、私の日本人という性質を客観視し、日本国が現在、世界の中で「良い国」であることを実感したことで、私が日本国をより良い国にし、日本人が日本国を好ましく思う社会を創りたいと考えたことです。
もっとも、日本を良くするためのアプローチは公務員のみとは限りません。むしろ、非常に多くの民間企業、個人が日本社会に貢献する事業を行っていると思います。それでは、私が何故国家公務員で日本を良くすることを選んだのか。それは、私が実現したい事柄の中心に、日本国民が日本国を好きになることがあったからです。人々が日本国を好きになるには、日本の政治や政府を好ましく思うことが必要だと考えました。そのため、日本の行政が日本国民に好まれる状態を作出したいと考え、その実現のために自ら国家行政を改善するため、国家公務員を目指しました。
学習スタートのタイミング
伊藤塾に入塾したのは大学1年生になる前、大学受験が終わったあとの高校3年生の3月でした。当時は、法律系資格試験の指導に定評のある伊藤塾に入塾し、国家公務員試験に加え、司法試験も視野に入れて、両にらみで学習をはじめました。
早期に学習を開始することで、将来の可能性を狭めることなく試験勉強ができると考えていました。国家公務員総合職試験にターゲットを定めたのは、大学2年生の10月ごろでした。それまでに法律の学習を進めることができていたので、公務員試験一本に絞った後に、自信をもって教養区分の対策をしっかり行うことができました。大学入試の直後から、就職のための試験勉強に乗り出すのは骨が折れるかもしれませんが、大学2年生までに公務員試験対策をはじめていたことで、法律科目にしっかり取り組むとともに、行政科目や人文社会科目にも十分取り組めたため、時間的にも精神的にも余裕のある試験対策ができたと実感しています。
伊藤塾のここが良かった!
私が伊藤塾を選んで心から良かったと思う理由は、佐藤講師が担当する「国家総合職ゼミ」を受講できたことです。
佐藤講師の講義では、テキストに記載された知識に加えて、背景となる情報やテキストの記述を解釈するためのロジックを補完してくださったため、合格に求められる知識量を効率的にかつ実践的に覚えることができました。
このゼミでは、佐藤講師が合格に求められる論文の書き方に加え、官僚に求められる思考について丁寧に根気強く解説してくださいました。この方法論と思考論を体に染み込むように論文演習で訓練を重ねたことで、教養区分の総合論文試験、企画提案試験それぞれで平均点を上回る点数を取ることができました。
佐藤講師のクラスの特長のひとつ目は、講義内で過去問演習を行うことです。この演習時間が、知識の定着には重要だと思います。受講生として意識したことは、講義内の演習で満点をとることではなく、実際の試験問題を限られた時間で解き、解答に必要な思考の手順を実践し、その精度を講師の解説で確認することです。そして、解答解説で得た知識を、復習してアウトプットできるまで定着させました。自分一人での過去問演習では、自分の思考手順が正しいのかどうか、過去問の解答解説に記述されていない背景知識があるのかどうかについて判断することが困難です。講義時間内に講師が過去問演習を行うからこそ、効率的な問題演習が可能だと思います。
また、佐藤講師のクラスのもうひとつの特長は、国家総合職試験対策として、行政科目を学習することです。行政科目の学習は、専門科目の学習に対して軽視されがちですが、教養区分対策では間違いなく必須で、官庁訪問対策としても重要です。教養区分では、多肢選択式試験の解答に行政科目(政治学や行政学)の知識を利用する機会が多々ありますし、総合論文試験では、政治学や行政学の学説に関する知識があることで、深みのある論理を構築できる出題が多いと思います。
官庁訪問では、受験生は、行政官と政治、行政官と国民の関係をどのように捉えて社会人として過ごしてゆく心積もりかが問われます。政治学や行政学は、それら行政官として検討しておくべき哲学について重要な示唆を与えてくれます。そのため、専門科目のみならず、行政科目を学ぶことが、幹部候補として期待されて採用される総合職の国家公務員には重要だと考えます。
私がとった勉強法
基礎能力試験(多肢選択式)・教養試験(択一式)について
[知能分野]
文章理解における日本語と英語の問題については、本質的には言語力を高める必要があるので、一朝一夕には成長しません。この本質的な言語力を高めるためには、大学受験向けの文法書や演習書を利用するのがよいでしょう。一方で、あくまで筆記試験なので、点数を獲得する技術を修得する必要があります。これは、国家総合職試験過去問演習を通して、言語体系がもつ論理構造に抽象化して設問文章を分析することが重要です。言語に関する問題では、それぞれの設問における具体的な文章における具体的な方法論を学んでも意味がありません。
判断・数的推理の対策は、伊藤塾が提供している過去問集と、中学受験対策のテキストで行うのが良いと思います。問題演習を積むという視点では、過去問集を用いればよいですが、ここで求められる思考力は、数学的というよりは「算数的」であることが重要です。そのため、参考書(教科書)を参照したい場合、高校受験・大学受験向けのものではなく、中学受験向けのものがよいでしょう。特に、国家総合職試験の判断・数的推理は、他の公務員試験に比べて難易度が高いため、中学受験向けの参考書の中でも、上位校~難関校向けのものが適していると思います。
[知識分野]
知識分野では、さまざまな専門科目から出題があります。各人が勉強経験に合わせて取り組む科目を選ぶことになります。私は、司法試験入門講座受講生用のフォローを利用して、国家一般職試験の専門科目向けの講座を受講していました。また、大学受験では国立の文系学部を受験したので、自然科学以外の科目を勉強しました。
さて、私が学習した経験上、時事・国際関係・政治学・行政学・社会学・財政学は、万全に準備するべきだと思います。政治学・行政学・社会学・国際関係については、それぞれの科目が伊藤塾で開講されていますので、それを受講し、テキストに記載された知識を、講師が紹介して補完する知識とロジックに従って理解し、講師が紹介する方法で問題演習を通して知識の定着と運用速度を高めることが肝要であり、それを行えば合格点に届くと思います。これら科目の知識が、総合論文試験の基礎知識となるからです。政治学・行政学・社会学における知識(理論や学説)は、政策を検討する「作法」や「必要性」を補強します。時事・国際関係の知識は、政策課題の発見と分析を行うためには不可欠な知識です。また、伊藤塾では経済事情と題するテキストがあり、ここに記された内容は、時事の対策に大いに役立ちます。
総合論文試験、一般論文試験、教養論文試験などの記述式について
国家総合職ゼミにおいて、佐藤講師が合格に求められる論文の書き方に加え、官僚に求められる思考について丁寧に根気強く解説してくださいます。この方法論と思考論を体に染み込むように訓練を重ねました。
国家総合職ゼミでは、政策立案に必要な思考プロセスを紹介されるので、そのプロセスにそった思考とはどういうものか、なぜそのプロセスが必要かを理解することからはじめました。次に、そのプロセスを経るために必要となる事前知識の収集に努めました。これは、佐藤講師が参照すべき資料と、資料をもとに収集先を広げる工夫を紹介してくださるので、その資料にあたりながら、政府が取り組む政策課題と実施している政策に関する知識を集めます。その知識を収集すると同時に、政策課題について、自分なりの対処方法を考えました。これは、現に政府が実施する政策をもとに、自分ならどのような改善を行うかという視点で考えをまとめました。この際、政策の必要性(理念・学説的な論理性・効果)に加え、許容性(どうやって実現するか、財源・人材)についても言及できるように準備しました。
総合論文試験は、意見論文を書くのではなく、政策を論述する試験であるという性質上、論説文を書く時とは全く異なる作法があります。その作法に則って論文を書けるように情報を集めます。その作法の内容は、ゼミにおいて紹介されるので、ご安心ください。
企画提案試験・政策課題討議・面接・集団討論などの人物試験について
[企画提案試験]
企画提案試験では、人事院に指定された資料に関する政策課題について、総合論文試験以上に具体的に施策を企画することが求められます。
まず、指定された資料を、「資料のなかで扱われている政策課題とは何か」という視点と「その政策課題に対してどのようや施策が行われているのか」という視点で分析します。例年、伊藤塾が資料の解説を行った講義を提供しますが、受験生は、まずは自分自身で資料を全て読み、自分自身で抽象する(どこを捨象するのかを検討する)ことを行うべきです。そのうえで、講師が抽象した資料の内容を踏まえて、資料に対する理解を深めるのがよいでしょう。
次に、資料にある各政策課題に対して、「反論が出ないような施策目標」を用意します。これが企画提案試験という「テスト」で高得点を取得する鍵になります。目標や意義を明確にしたら、施策の内容を具体的に考えます。私が取り組んだ経験を踏まえると、国家総合職ゼミで教わる「政策立案のポイント」の中でも、財源や人材に対する配慮や、実効性の確保についてしっかりと検討を加えることが得点を伸ばすことにつながると思います。
[政策課題討議試験]
政策課題討議試験は、レジュメ作成と討議の2つから成ります。それぞれ、政策アイデアを練る時間、グループで話し合って意見をまとめる時間です。
レジュメ作成の対策は、政策の内容面とレジュメの形式面(レイアウト面)の2つを行う必要があります。重要なのは、自分の立場を支持する明確な論理を組み上げる訓練をすることです。日ごろから報道内容を参考に、賛成と反対がわかれそうな事柄について、それぞれの主張とそれらの反論を思いつくための訓練を行うのがよいでしょう。
討議の対策は、国家総合職ゼミにおける討論の対策を行うときに習う「得点を伸ばすポイント」をしっかり理解し、それに合わせた振る舞いができるように訓練することが肝要です。他者の不規則な発言のなかで自分の発言を紡がなければならないので、討議の対策は、実際に受験生同士でディスカッションの練習を行うしかないと思います。伊藤塾の模擬政策課題討議も利用して訓練し、練習量を以て自信とすることをおすすめします。
官庁訪問について
伊藤塾の官庁訪問対策に関するサポートは、講師のカウンセリングと、官庁訪問に向けた自己分析・志望動機作成があります。官庁訪問を経て内々定を獲得するためには、各省庁に対し、「自分はどのような人物か」「自分は『学生時代に』日本行政のどのような問題意識をもったか」「自分がその省庁において何を成し遂げたいか」「成し遂げたいことを達成する見込みが自分自身にあるか」「その省庁の組織にフィットする人物か」を伝える必要があります。これらを全て上手く伝えることができれば、相手組織から魅力的な人材と判断してもらえると考えました。
そこで、伊藤塾のサポートを利用しながら、「自分がやりたいこと」と「自分に向いていること」をそれぞれ検討しました。「自分がやりたいこと」を考えるとき、将来像から現在の自分を逆算的に検討することになります。一方、「自分に向いていること」は、過去の経験の積み重ねを色眼鏡なく観察し、客観的に適性を判断することになります。この二つのアプローチで「自分が『やりたい』かつ『向いている』こと」を見つけることが最も重要です。
ここで私が注意したことは、「やりたいこと」や「向いていること」を探すとき、「一番」や「最も」を探す必要はないことです。「やりたいこと」や「向いていること」を検討するのは、ひとつに絞るのではなく、それぞれ集合として見つけて、両者の共通要素を炙り出すことに焦点があるからです。自分の中の「一番」を探すために必要以上の時間をかけて思い悩むことはありません。
▲就活ノート。
各省庁の業務説明会やOB訪問の聞き取り内容や
質問事項のメモ、自己分析、
生活の中の気付きなど、
就活期間に考えたことを全てこのノートに書き留めた。
就活に困ったときに必ず読み返した。
「自分が『やりたい』かつ『向いている』こと」がみつかれば、それぞれの理由を説明できるようにしておけば、面接は自分自身の考えを曝け出すだけです。避けるべきことは、相手省庁にとって聞こえの良い内容や、着飾った内容を話すことを目的に準備することです。自分自身を曝け出したとき、自然と相手省庁に合う内容となるように、自分に合った省庁を選ぶのです。そのために、「何がしたいか」だけでなく、「何が向いているか」をも基準にして希望省庁を選ぶべきだと思います。
普段の生活と試験対策について
私の場合、受験年度はコロナ禍で、大学の講義がオンラインとなり、外出も自粛していたため、独り時間を効率的に割り振りました。
内定獲得に影響した活動は、受験年度以前に取り組んでいたことでした。特に役立ったことは、国会議員事務所のインターンシップと留学・国際交流の経験です。それぞれのでき事で具体的に取り組んだ内容よりも、それらを通して私の内面的に成長した部分が就職活動にとり有意義だったと思います。人間関係への感受性を高めることや、組織を思いやり、日本国や日本行政への思いを強くする経験は、国家総合職として内々定を目指すなら、役に立つのではと思います。
内定獲得との関係でも業務説明会にたくさん参加しておいて良かったです。
モチベーションの維持の図り方
▲勉強に使用している万年筆。
留学先で購入した思い入れのあるペン。
このペンを握れば幾何か気分が高揚して勉強に臨める。
退路を断つことも、ひとつの方法だと思います。より楽な選択肢があるとき、私たちはどうしても苦しい選択肢から逃げてしまいたくなるのは仕方がないことだと考えました。そのため、より楽な選択肢をとれない環境に自分を追い込みました。そもそも逃げられなければ、そこには「やる」以外とり得る行動はありません。
それでも、苦しさそのものを感じないわけにはいかないので、気持ちを紛らわせることは必要かもしれません。その時には、おそらく自分が国家公務員として為したい夢への情熱を思い起こし、どうして自分を苦境に置いたのか、自分自身で納得することがモチベーションを失わない方法ではないでしょうか。
最後に
無事に内々定を取得することができ、安堵しています。ここからは、行政官になる者として、残りの学生生活を更なる成長の機会とできるよう努めていく所存です。官庁訪問において内々定をいただくことは、目標のひとつではありますが、私のゴールではありません。私の夢を成し遂げるまで、引き続き精進してまいります。
本稿を読んでくださる皆様が国家公務員を職業の選択肢のひとつとして検討しているならば、日本の国家行政という立場だからこそ得られるスケールの大きい仕事に魅力を持って目指してほしいと思います。その一方で、職業選択は自分自身がどう生きるかをつくる重要なライフイベントですから、自分にとって良い選択となるよう検討に検討を重ねて判断してほしいと思います。
真剣に自分自身と向き合い続ければ、公務員試験対策、官庁訪問対策、民間企業研究など、全ての就職活動が、いつか自分の将来を豊かにするのを助けてくれるはずです。自分の限界を自分で決めることなく、可能性があれば全てに挑戦する勢いで就職活動に臨んでほしいと思います。応援しています。
最後となりますが、伊藤塾講師・スタッフの皆様の手厚いサポートに改めて深く感謝いたします。なかなか校舎に伺うことができない受験生生活でしたが、近々校舎に伺い、直接お礼申し上げたいです。今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。