木下和士さん

1996年 高校を中退し自分で生きる道を模索する
1999年 まわりの協力を得て「日焼けサロン”Chili”桂駅前店」を開業
2005年 「日焼けサロン”Chili”京都駅前店」(2店舗目)を開業
2010年 「日焼けサロン”Chili”河原町店」(3店舗目)を開業
2013年 行政書士試験に合格
2020年 司法書士試験に合格
2021年 山本拓生司法書士事務所に入所

高校を中退し学歴は中卒、手元には何にもなかった私が店舗経営者に、そして、これからは困っている人を救うために働く司法書士へ

司法書士試験を受験したきっかけを教えてください。

実は私は高校を卒業していません。高校1年生の時にある事情から停学が続き高校を辞めてしまいました。中卒ということで学歴コンプレックスをとても感じていたので、そこを取り戻すというのが一番の理由です。

高校を辞めてから、司法書士を受験するまで、興味深いご経験をされました。

高校を辞めて、まずは日雇いなど建築関係(といっても大工の見習いとかですが)で働きました。10代のころは仕事の関係もあり、筋肉を鍛えていて、ボディビルのジムにも通っていました。ジムには日焼けマシンがあるのですが、これが気に入って興味を持ちました。いろいろと人生を考えた時に「この先ずっとこの生活はきついな」と考えていたのですが、「日焼けマシン専門の日焼けサロンを経営したら、おもしろいんちゃうかな」と思いました。これについてもっと深く調べようと、さまざまな方に状況やノウハウを聴き、そして母に出資を依頼して日焼けサロンを起業しました。まだ若くて、世間の怖さなど何も知らない19歳のときでした。自宅近くにまず1店目をオープン、5年後には家族の協力もあり2店目を、そしてその5年後には京都河原町に3店目を開業しました。“ガングロ”ブームも重なって比較的順調に店舗展開を進めていきましたが、お客様がいらっしゃらなくて悩んだ時期もありました。しかし経営を続けることができたのは、トレーニング業界が大好きで、“この仕事で絶対に生き残ってやる“という覚悟と自信があったこと、そして何よりは家族の協力に支えられたことです。


母からのサポートもあり、サロンを開業

中卒で何も知らない状態からいきなり経営者、どのように学んでいったのですか。

特にどなたかに教えていただいたということはなく、自分で本を読んで勉強しました。母からは、「税務は大事だ」と言われ当初から税理士にお世話になりましたが、それ以外は経営関係やマーケティングの書籍を読んで、実際の日常業務で愚直にその真似をしていました。これで何とかやってこられたのですが、会社を大きくしていくと、労務関連や日常の問題、クレーム対応など、法律の知識が重要で絶対に必要なスキルだと思いました。そこで行政書士という資格を知り、「この資格をとれば自分に自信が持てる、学歴コンプレックスも克服出来るかも・・」と勉強を始め合格し、その後司法書士試験にもチャレンジして合格しました。

行政書士、司法書士はなぜ伊藤塾で勉強したのですか。

最初は書籍だけの通信講座で勉強しました。中学校以来、勉強をした経験がなかったので、用語がわからず、とりあえず受験をしましたがまったく歯が立ちません。そこで書店で伊藤塾の書籍を見てみるとわかりやすく、だらだら書いてあるのではなく、簡潔でわかりやすい説明が目を引きました。「これならできるかも」と思い講座を申し込んでみると、講義もわかりやすく楽しかったです。人生経験の中でも、初めて“教えてもらったことが理解できる”という感覚を覚えました。なので、司法書士試験も迷わず伊藤塾の入門講座で勉強しました。山村講師の講義はとにかく聴きやすいし、話し方もスピードも、私にぴったりでした。勉強がきつくなるタイミングでのご自身や合格者の経験の話はとても励みになりました。「合格者は酔っぱらっていても重要事項は頭の中でスラスラ言える」と言われたのでそれも目標にしました。また使用テキストもポイントが絞ってあって使いやすく、合格した今でも研修の講義の見直しに使っています。また、伊藤塾で勉強した人は記述が得意な人が多いのですが、この根幹である答案構成の手法は実務の論点整理に今でも活用しています。

もともと勉強は好きでしたか

おそらく、人生を重ねるうちに好きになったのだと思います。ただ単に事柄を覚える勉強は苦痛ですが、人生の役に立つための学びはおもしろいですね。私は小さいころからマナーにうるさく、こだわりを持っていました。いまでもルールを守らない人には“一言”言いたくなってしまいます。そのことからも法律が好きで、法律を通じて勉強の楽しさがわかったのだと思います。司法書士合格後の研修も、とても楽しく受講しています。特にディスカッションでは、自分の知識不足が心配で、事前にかなり勉強していくのですが、そうすると自然に発言したくなるし、発言できるとどんどん楽しくなります。いいサイクルができているのだと思います。以前は悩みすぎて診療を受けたこともありましたが、“悩んでも答えが出ないことは悩む意味がない“とわかってからは、神経質な生活よりポジティブに生きるようにしました。以前は人見知りでしたが、このころから意識して社交的に接するようにしていきました。

ポジティブシンキングは就職活動でも実践されていましたね。

今、お世話になっている事務所は、どうしても入所したくて、知人を介してその先生の知り合いを紹介していただき、アポイントをいただいて無理やりお会いしていただきました。その際には自分の経歴、ヤル気や思い、司法書士に対する熱意などを紙に書いて臨みました。地元が一緒でとてもパワフルで尊敬できる先生でした。幸いにも採用していただいたのですが、あとで聞いてみると「どんなやつか、とりあえず会って断ろうと思ったが、あまりに真剣だったので断りきれなかった」とおっしゃっていました。

これからどのような司法書士を目指していますか。

これから司法書士として学んでいくことはたくさんありますが、人の役に立ちたいというのが一番です。そしてゆくゆくは裁判業務をやりたいというのが昔からの夢です。司法書士の行う裁判業務は制限もあり、積極的に取り組んでいる方は多くありません。そこを増やしていきたい、困っている方を少しでも助けたい、裁判業務の代理権を広げる運動などにも積極的に関与していきたいです。司法書士がお客様から裁判業務の依頼を受けても、「制限があって、ここからは司法書士としては対応できません」、と言うのは、やはり無責任な話ですし依頼者も困惑します。司法書士の職域も含めて、何か世の中が良くなる方向への活動にも参加していきたいです。司法書士がもっと魅力的な職業に変わり、目指したいと思う人が増えていけばいいと思います。
 

最後に受験生のみなさんへメッセージをお願いします。

司法書士試験はあきらめずに勉強すれば必ず合格します。講師の話をしっかりと聴き、自分勝手に考えずにそのままやる、手を広げないこと、とにかく基本に忠実に勉強することが重要です。これは仕事をやるときも同じです。勉強していると不安になり、もっといろいろな教材を見たくなって、知識を増やしたくなります。でも、無駄な知識を増やすより基本をきちんとマスターするほうが合格には早道です。短期合格する方はみなさん講師の話を素直に聴いて実践しています。心配かもしれませんが講師の言うことを聞いて勉強すれば絶対合格できます。私が合格できたのだから大丈夫、応援しています。