合格後すぐに、企業法務中心の事務所を開設、
伊藤塾で合格し、本当に世界が広がりました
2013年8月更新
司法書士・行政書士 いがり綜合事務所 猪狩 佳亮 先生
■Profile
2007年 司法書士試験合格
2008年 「司法書士 いがり事務所」開設
2013年 「司法書士・行政書士 いがり綜合事務所」に変更
会社員時代に見た夢を現実のやりがいへ
会社員時代に、法律家を目指してみたいという想いの中で「司法書士」という選択をしましたので、当初は「企業法務のみに携わる法律家」を目指していたと思います。しかし、司法書士の先輩や事務所に来てくださる依頼者の方と接していく中で、成年後見や相続、あるいは裁判業務といった、個人のお客様に寄り添う・本当に困っている方の話に耳を傾けるという「法律家像」が、自分にとってのやりがいとして形作られてきた気がしています。自分で言うのもなんですが、高齢者の方には人気があると思います(笑)。相続をご依頼のお客様が、事務所にいらっしゃるたびに亡くなったご主人とのエピソードを2時間近くお話されていたのが最近では印象的です。相続手続とはまったく関係ない話だけど、お聞きしていて楽しかったし、喜んでくださっていました。
企業法務との関係では、年に1~2件ですが、大規模な企業再編に関わらせていただくことがあります。他の士業の方々とともに連携して、会社法・商業登記法の知識をフル回転しながら、創業者の夢や理念の実現に役立てるシーンは、法律家としてのやりがいを感じる瞬間といえます。
伊藤塾で司法書士を目指す魅力
伊藤塾の講義は素晴らしい。これは当然です。1年で合格できたのは、山村拓也講師をはじめとする伊藤塾講師の皆様のおかげです。学習内容を分かりやすく教えていただけるのはもちろん、勉強の方法、「何を」「どこまで」やればよくて、やる必要の無いものは何か、を明確にしていただけますので、自信を持って勉強を進めることができました。
そしてもう1つ伊藤塾が素晴らしいのは、伊藤塾を通じて合格後にたくさんの出会いができたことです。志の高い受験生が集まるのが伊藤塾であり、近い将来、「一緒に司法書士業界を盛り上げていきたい」と思える、そんな仲間に出会える環境がある。それが、伊藤塾だと思います。
受験勉強は大変です。求められる努力は、並大抵のものではありません。中途半端な気持ちでは受験勉強は続かないことでしょう。そう言われてもなお、司法書士になりたい、司法書士としてこんな仕事をしてみたい、という強い想いのある方は、ぜひ伊藤塾で勉強してください。受験勉強は大変です、と言いましたが、特殊な才能・センスが必要なものではありません。合格するための情報は、伊藤塾の入門講義で必要十分です。あとは自分が講師に指示された通りの勉強し続けることができるか、ただそれだけです。乗り越えようとする信念さえあれば、あとは伊藤塾のカリキュラムに沿って勉強することによって、結果はついてくるはずです。
140年の歴史の上に発展し続ける司法書士
司法書士って、いい仕事してます。試験合格までは大変ですが、その先には何倍も何十倍も魅力的な世界が待っています。2012年、司法書士140周年を迎えました。140年の歴史の上に、司法書士業務はさらに発展する、させてみせたい、そう共感してくれる仲間と、この業界で一緒に仕事がしたいと思います。ぜひ頑張ってください。応援しています。
2009年6月掲載
はじめに
私が法律家という職業を意識し始めたのは、大学2年の時です。
弁護士を目指して伊藤塾の司法試験入門講座を受講し、司法試験を2度受験しました。残念ながら論文試験で結果が出ず、卒業と同時に一般企業に就職しました。
就職後は主に法務部で働いていました。2006年の会社法改正を機に再度、法律資格を目指そうと思い、「職域が拡がっている法律家・司法書士を目指す」という選択をして、会社員を続けながら、伊藤塾の「山村クラス入門講座」と「できる! 記述式」を受講しました。
「合格」を見据えた合理的・情熱的かつ質の高い講義を受講し、講義で与えられた教材および過去問演習のみで、運にも恵まれ2007年の司法書士試験に合格できました(受験時代の入門講座テキストは、今でも悩んだら見直すこともあります)。
司法書士という選択のきっかけは、正直なところ司法試験制度の変化を意識してのものでもあります。
しかし最後は、活躍できるフィールドの広さに魅力を感じての決断であり、結果的には、学生時代に想像していた「法律家」の仕事の大半が、司法書士としての仕事でも実現できている、というのが私の率直な感想です。
開業のきっかけ
合格後は、司法書士事務所で半年~3年ほど補助者として働き、その後開業するというのが一般的ですが、私は合格していきなり開業をしました。
知識も経験も経営能力もすべて未熟であり、「開業して本当に大丈夫なのか?」と悩んだ時期もありました。
しかし、これまでの企業法務の経験を活かせる部分も多いであろうこと、企業法務の分野だと修行を積める事務所もあまり無かったことから、「だったら、新しい司法書士像を自分で作ってしまえ」と思い、思い切って開業してしまいました。
主な業務内容と現在担当している業務
主に、企業法務と簡裁代理等代理業務を中心に仕事をしています。
(1)企業法務1 ~予防法務とコンプライアンス~
「企業法務」とは、抽象的に定義するならば、「仕入れ・販売・広告宣伝・人事労務…企業を運営していく上で発生するあらゆる法的問題を、すべて解決していくこと」です。
基本的には「法的トラブルが発生しないような仕掛け作り」、すなわち「予防法務=コンプライアンス体制の構築」こそが、司法書士の得意とする企業法務フィールドではないかと思っています。
契約書や法的文書の作成・チェックはもちろんのこと、意見書の作成、あるいは経営者に法令遵守のアドバイス・忠告をする。あとは、従業員を対象のコンプライアンス研修なんかも、企業法務の一環となります。
民法・会社法はもちろんのこと、労働基準法・労働契約法、独占禁止法、不正競争防止法、特定商取引法、景品表示法、著作権法、個人情報保護法…私が扱っている法律の一部を並べてみましたが、ここからもご想像いただけるように本当に幅が広いです。
法律相談を受けたら、書籍とインターネットをその都度調べて回答しています。問題点があった場合にどの書籍を調べればいいか、という知識の網を自分の中に創っています。またインターネットは、主に省庁・裁判所のホームページを参照します。“リーガルリサーチ力”は、これからの法律家には、欠かせない素養の一つだと思います。
また、問題点を発見する、趣旨から考える、対立利益に配慮するバランス感覚など、伊藤塾で教えていただいた法律家の基礎姿勢が、未知の問題を解決する場面で大いに役立っているように感じます。
(2)簡裁代理等代理業務 ~企業法務でも140万円の範囲でかなり仕事ができる~
簡裁管轄の事件は、たいてい訴訟提起前に和解で終わることが多く、むしろ代理人として内容証明郵便を送付し、和解書を作成する業務の方がメインです。
内容証明が届くだけで入金がなされたり、明らかに不当な請求が止まる事案は多いです。
いま私が顧問契約をしている企業は売上100億円を超えていますが、一般個人を対象とするビジネスのため、その企業から受任する案件で訴額が140万を超えるものなどないです。
社会の中で140万円以内のトラブルに困っているのは、誰なのか?を見極める力があれば、十分活躍していける分野なのではないかと思います。
(3)企業法務2 ~ M&A業務~
司法書士になって一番最初に受任したのが、M&A業務でした。
業界再編時代にあって、興味をお持ちの方も多い業務かと思いますので、少し詳しくお話してみましょう。
具体的には、機密保持契約の作成・レビューからはじまり、意向表明書の作成、そしてデューデリジェンスの立会い、そして成約した場合には合併あるいは株式譲渡契約書の作成・レビューと、最初から最後まで関与することが多いです。
この中でも中心になるのは、「デューデリジェンス(DD)」という業務です。これは、ある企業を買収するにあたってその企業価値を見定め、あるいは内包するリスクを把握するものです。そもそもこのM&Aを実行するか、実行するとして売買価格はいくらが妥当か、経営者が判断するのに必要な情報を調査し、分析をします。
DDには、大きく分けて、財務DDと法務DDとがあります。このうち財務DDは、基本的には会計士が担当します。
我々が行うのは法務DDであり、法的リスクをピックアップすることが主な業務内容です。
具体的には、契約書はもちろんのこと、定款・議事録といった会社法関連の書類、所有する不動産の登記事項証明書、就業規則や規程類、その他様々な書類に目を通す。それを元に、関係当事者にヒアリングを行う。そして発見した法的リスクを、DDから帰ってきて数日のうちに「意見書」としてまとめ提出する。 ここまででDD業務は一応完結します。
個人的な感覚ですが、財務DDは「いま」の会社の価値を検討する仕事なのに対し、法務DDはM&Aの後までを視野に入れながら検討を加えるので、経営者のビジョン構築・経営判断に資することもできます。
仮に自分が社長だったら…と考え提案すると楽しいものです。
これ以外には吸収合併がいいのか、それとも株式譲渡によるグループ会社化がいいのかという具体的スキームの提案、M&A契約書作成・チェックなど、司法書士の行うべき業務は少なくありません。
やりがいを感じる瞬間
ありきたりで申し訳ないのですが、クライアントに喜んでいただけた時です。
同じM&Aでも、敵対的買収とか、従業員のリストラを伴うような案件は、正直あまり好きにはなれません。
企業法務というと、ついつい「ハコ」としての会社をどう設計するか(たとえば株式・役員構成・合併など)に目が行きがちですが、会社には多くの従業員やその家族、取引先など多くの人が関与していることを忘れてはいけません。
できればM&A後に従業員には新しい活躍の可能性が生まれ、両社のノウハウを融合させて新しい商品・サービスを開拓し、その会社に関わる多くの人に幸せを生み出すような仕事ができればと思っています。
会社を買収される経営者の中には、創業者として数十年にわたりその会社を経営し続けてきた方もいます。彼らは人生の大半を経営に費やしてきたわけで、心の休まる日など一日も無かったでしょう。
我々では想像すらできない莫大な責任感・プレッシャーから解き放たれて安堵の表情を浮かべる創業者を見ると、買収先には「ハコ」としての会社だけでなく、経営理念こそ引き継いでいって欲しいなあ、と私は感慨に浸りながら、創業者に「お疲れ様でした」と声をおかけしてしまうのです。
これからのビジョンと受験生へのメッセージ
「信念を持って決断できる法律家」というのが、私の目指す司法書士像です。
うるさがられても、正論を言える法律家が1人、経営者の傍にいたならば、と悔やまれるケースを度々目にしてきました。
また、弁護士に比べて身近に感じてもらえるというのも、我々司法書士の特質でしょう。
当事務所では上記のような観点で、「顧問契約ライト:月2万円(月3時間まで法律相談し放題)」というコース(商品?)を設定し、中小企業の方でも気軽にメール・電話・面談等で相談いただける体制を作りました。
将来的には、数人の司法書士や他の士業の方と組んで共同事務所化したい、というビジョンを持っています。
今、山村クラスで頑張っている塾生たちと話す時、「数年後に山村クラスの卒業生で事務所を立ち上げよう」などと語ることもあります。
ただ受験知識を学ぶだけではなく、熱い心を持った仲間たちと出会えるのも、伊藤塾ならではの特徴だと思っています。
合格してから、本当に世界が拡がりました。ぜひ合格を勝ち取っていただいて、一緒にこの業界を盛り立てていきましょう。
伊藤塾出身の、信念を持った法律家の誕生を、心からお待ちしています。
(2008年11月・記)
Information
■事務所プロフィール
司法書士・行政書士 いがり綜合事務所
〒210-0835 神奈川県川崎市川崎区追分町3-10
http://www.ss-igari.com/
■業務内容
不動産登記、商業法人登記、相続・遺言業務、民事訴訟業務、企業法務支援等
■現在の「ある一日のスケジュール」
午前 :メールチェック、資料整理
午後 :東京都新宿にある顧問先企業へ広告表示、個人情報保護、特定商取引法等に関する法律相談
契約書レビュー
新サービス立上げ会議に出席
夜: 顧問先社員の方と意見交換会