“合格後、即実務”の司法書士の魅力を実感、塾で学んだことは実務でも日々活きています
2008年4月更新
【大阪府】 大阪市内の司法書士事務所 中西 博之 先生 (司法書士)
■Profile
2005年 司法書士試験合格
2006年 大阪市内の司法書士事務所に勤務
はじめに
大学2年の時、大学生活をただダラダラと過ごすのではなく何か始めようと考え、法学部なので法律を扱う仕事しようと司法書士を目指しました。
受験するにあたり色々と調べてみると司法書士は登記業務だけではなく、法律の専門家として色々なことを実現できる 資格と分かり、受験を決意しました。
現在の主な業務
大学在学中に2005年度司法書士試験に合格し、卒業後2006年の春から司法書士事務所に勤務しています。
司法書士は、試験合格後すぐにでも独立開業できる資格です。それが魅力の一つなのですが、大学在学中もしくは卒業後すぐに合格した場合は、社会経験を含めた色々な経験を積むため、まずは「勤務司法書士」としてキャリアをスタートするのが一般的です。
私もまた、恵まれた環境で勤務司法書士としてのキャリアをスタートすることができました。
現在勤務している事務所及びその業務内容についてご紹介します。
事務所は現在、所長を含めて5名のスタッフで運営しているので、アットホームな雰囲気です。所長を中心に、それぞれのスタッフが案件を担当し、処理しています。司法書士事務所というとデスクワークを想像されるかもしれませんが、法務局・裁判所等の役所や顧客のところに出向いたりすることも多く、意外と「外回り」の仕事もしています。
業務内容としましては、企業関係法務、不動産登記関係法務を中心とし、またその他にも債務整理等、その時々の依頼に応じて幅広い範囲の法務分野を扱っています。
特に力を入れている分野の一つである企業法務についてご紹介します。企業法務として、役員変更や設立といった比較的定型化された登記案件はもちろん、合併等組織再編といった高度な登記案件、法改正対応その他、登記以外にも生じうる日常の諸問題にも広く対応しています。
企業法務を広い視野でとらえたならば、企業は様々な法的問題に直面する可能性のある人間の集まりであり、登記の専門家もしくは身近な法律家としての司法書士の活躍舞台に適した場面が多く存在していると思います。
やりがいを感じる瞬間
司法書士になって良かったと実感するのは、お客様や社会の役に立っていると思えた時です。例えば、ごく身近な例であれば、お客様の分からないことについて的確にお応えし、安心していただけた時です。
また、不動産関係であれば取引の安全、会社関係であればコンプライアンスの強化、債務整理関係であれば債務者の救済というように、自分の仕事が大きな視点で見て、何かしら社会に対して貢献をしているのだろうな、と思うような時です。
これらとは少し次元の違う話ですが、困難な仕事や複雑な案件をこなした時にも個人的にとても大きな達成感を味わうことができます。
仕事をするうえで心掛けていること
また、最近は「法律以外」の問題についても対応できるように、少しずつですが勉強しています。例えば、税務や財務ですが、司法書士には、税理士や公認会計士並みの知識は必要ないとしても、税務上・財務上の問題点を認識し得る程度の「引き出し」は持っておくべきだと思います。
実際、ある手続きが「法的にOK」であっても、法律以外の何らかの問題に抵触する場合もあるので注意が必要です。
一生勉強ということですね…。
伊藤塾で得たもの
私は伊藤塾で勉強し、1回の受験で合格できたのですが、伊藤塾で学んだことが現在の司法書士業務に対する考え方に大きく影響していると感じています。
たとえば憲法はマイナー科目として扱われることが多いのですが、伊藤塾ではじっくりと学ぶことができました。この時に学んだ憲法の理念が、法律家としての仕事に対する考え方や思考回路など精神的な核心になり、現在も職務姿勢の根底にいつもあります。単に知識や合格するためのスキルだけを身につけるのではなく、法律家として自分はどうあるべきかを考えるきっかけを与えてくれました。これは受験勉強をしている時より実務についた今、大きく実感しています。
例えば、「悪法は法か?」という問題があります。法律の仕事をしていると、悪法とまでは言えなくても無意味、非効率もしくは時代遅れだと思われる法律の条項に出会うことはよくあります。また、役所・役人の理不尽な「取扱い」や「前例」に頭を悩ませることもあります。このようなものが「壁」として立ちはだかった時には、うんざりした気持ちになったり無力感を覚えたりもしますが、憲法の理念や法律・法制度の趣旨といった切り口から何とか状況を打開できないかと考えたりします。
また、所講師の講義で教わった申請書式作成の際のアプローチの仕方は、実際の業務にも役立っています。
たとえば、受験勉強時代の「書式問題の間違えた箇所チェックリスト」などは、今でも書類提出前の最後の確認に活用しています。伊藤塾で使用したテキストも全て手元に置いてあり、実務を行う際にも参照したり確認したりしています。改めて受験勉強と実務は直結していると感じています。
今後のビジョン
地域社会の中で「町医者的な」という表現で言われたりしますが、そういった法律家の存在が必要であると信じ、また、目指しています。
法律はそれ自体が目的ではなく、幸せを実現するための「手段」だと思っています。法律の仕事を通して、多くの人の幸せが実現し、地域社会の発展に貢献することができたら最高ですね!
これから司法書士を目指す方へ
大学の法学部に入った頃は、自分が司法書士という法律専門職の道に進むとは予想していませんでした。法律にそれほど興味がなかったですし、法律の勉強もあまり面白く感じていなかったからです。
色々きっかけがあって司法書士を目指すこととなり、伊藤塾で勉強することとなったのですが、その1年少々の期間で法律が“勉強する意義ある面白い分野”であることに気づき、とても好きになりました。
伊藤塾の講師の方々の講義は分かりやすく、熱意があり、面白かったですし、また講義以外にも様々なイベントを通して法律家としてのあり方を考えながら、有意義な受験期間を過ごすことができたからだと思っています。
沖縄スタディツアーというイベントにも参加したのですが、平和について考えながら楽しい旅行ができて、今でもいい思い出として心に残っています。
(2008年7月・記)
Information
■業務内容
企業法務、不動産登記、債務整理、裁判業務など
※会社・法人関係業務に力を入れている。 顧問として契約している企業もあり、支社の登記業務、社員の法律
問題もこなす。福岡など遠方へ出張することも年に数回ある。
■現在の「ある一日のスケジュール」
8:50 出社(通勤には約1時間) 仕事の準備
9:00 書類の作成 電話応対
13:00 法務局へ登記申請 お客様の企業へ訪問し商談
17:00 書類の作成 確認業務
20:00 明日の準備をして退社