法的弱者を救済して、笑顔を見た時に、司法書士になって本当によかったと思います
【京都府】 西大路司法書士法人 西村 知憲 先生 (司法書士)
■Profile
2005年10月 京都府京都市 「荒木合同事務所」(現:西大路司法書士法人)入所
2005年11月 司法書士試験合格
司法書士を目指した動機
司法書士は市民にとって最も身近な法律家であり、一般社会への貢献の度合いが大きいところが魅力であり、また司法試験の勉強で得られた知識を活かせると思ったからです。
また実際に、司法試験および司法書士試験の受験時代に修得した知識は、現場で十分活すことができています。
入塾のきっかけと講座の感想
伊藤塾で最初に受講したのは、司法試験の講座でした。きっかけは、説明会の中で伊藤塾長の憲法に対する思いや熱意に共感したからです。その後、司法試験の学習が活かせる司法書士スピードマスター講座(現:司法書士入門講座 山村クラス速修生)を受講しました。感想としては講義自体も非常に分かりやすかったですし、入門、基礎、応用とカリキュラムが組まれていて、とても学びやすかったです。
司法試験と司法書士試験
司法試験の択一の勉強で、普段から条文を頻繁に確認していたおかげで、司法書士試験の午前の部の憲法・民法・刑法にはあまり苦労せずにすみました。
ただし、司法書士試験は、試験科目全般で条文・判例の知識を問われることが多いので、憲法・民法・刑法以外もきめ細やかに知識をおさえていくことが必要だと思います。
現在の主な業務
不動産登記法、商業登記法、債務整理、裁判と幅広く業務をしていますが、特にこの中で、不動産登記、商業登記を担当しています。まずは、司法書士としての中心業務である登記業務に取り組んでいます。一般社会では登記はやはりなじみが薄いものなので、登記に対する知識を一般社会に提供していくことは司法書士の大きな役割として重要であると考えています。
やりがいを感じる瞬間
不動産の売買に関して税金(譲渡税、不動産取得税)がどのようになるのか、節税のために不動産の名義変更の原因をどのようにするのが良いのか(売買、贈与など)等を色々と検討し、不動産の決済をスムーズに行うために事前準備(必要書類の手配・作成)をしっかり行なって、無事に決済が終了した時には達成感があります。
商業登記では、会社法の施行により取締役会の廃止★、監査役の廃止★、株券の廃止★、役員の任期伸長★などの依頼が多くなっており、司法書士として法的なアドバイスを行い、会社の方針決定に貢献できた時は、仕事のやりがいを強く感じます。
司法書士法人としての利点
司法書士法人の場合、業務の委任は法人として受けることになるので、複数の司法書士で業務をフォローし合い、業務の円滑化が図られます。また、一人の司法書士ではなく、法人として対外的な信用を得ることになるので、業務の継続性が図れることは大きなメリットだと感じています。
法的弱者を守る視点
憲法の理念といえるのかどうかは分かりませんが、社会には法的弱者というのは実際に存在しています。消費者金融で借金をしている人はその典型例と言えます。
グレーゾーンのことを知っている人は利息制限法で引き直しを計算した分を支払えば済みますが、このことを具体的に知らない人は請求された分を一生懸命支払うわけです。こういう法的弱者から相談を受けて、救済することがすることができた時や相談者の笑顔を見た時に、司法書士になって本当によかったと思います。
また、様々な相談事(不動産の決済に関連すること、相続、商業登記に関すること)に対して法的知識を提供して相手方のニーズを満たせた時、司法書士という仕事の重要さ、責任の重さ、やりがい等を感じます。
これからのビジョン
市民は様々な場面で法的知識を必要としています。しかし、そのような時に、一人だけでは解決は難しいですし、身近に法律の相談が出来る人の少ないのが現状だと思います。司法書士はそのような市民にとって、身近な法律家として存在していかなくてはならないと思っています。市民からの法的ニーズにできる限り応えられるような司法書士になって一般社会に貢献したいと思っています。
受験生へのメッセージ
司法書士の業務範囲には様々なものがあり、市民の法的ニーズに応えられる範囲も広くなっていることから、社会への貢献も十分に果たしていくことができる仕事だと思います。市民にもっとも近い法律家として、市民の幸せのために仕事をしたいと思われる方は、まずは試験を突破できるように全力で頑張ってください。応援しています!
(2008年6月・記)
★CLOSE UP:取締役会の廃止、監査役の廃止、株券の廃止、役員の任期伸長
かつては、株式会社において取締役会、監査役の設置は必須とされていたため、取締役の人数は最低3名、監査役は1名必要とされていました。そのことにより、小規模な会社では実際には1人で会社を出資し経営しているにもかかわらず、役員の人数をそろえるために経営に参画しない家族を役員にしている会社がありました。そのような小規模な会社を、「3ちゃん会社」(おじいちゃん[おばあちゃん]、お父ちゃん、お母ちゃん)などと呼ぶことがあります。取締役や監査役には、それぞれ会社経営に関する法的な責任があるため、このような実体は好ましいとはいえない状態でした。
会社法施行により、株式会社であっても、取締役会や監査役を設置せずに、取締役が1人で経営を行う会社類型が認められることになりました(機関設計の柔軟化)。このことにより、小規模な会社の取締役会や監査役を廃止し、実際に経営を行っている者のみを取締役とする会社類型も認められることになりました。
また、かつては、株式会社においては、株券(株式を表象する証券)を発行しなければならないとされていました。しかし、実際には株式会社でも小規模な会社が多く、株式の譲渡が行われるような会社が少なかったので、実際には株式会社であっても株券が発行されていない会社が多く存在しました。この実体にあわせて、会社法においては、株券を発行しないことが原則とされ、株券を発行したい場合は、定款でその旨を定めるものとされました。従来の株式会社は、定款に株券を発行する旨があるものとみなされているため、株券を廃止するためには、その定款規定を廃止する旨の定款変更の手続が必要となります。
さらに、かつては会社の役員の任期は取締役が2年、監査役が4年とされていましたが、会社法では、株式の譲渡を規制している会社においては、その任期を定款で10年に伸張することができるようになりました。
Information
■事務所プロフィール
西大路司法書士法人
〒604-8437 京都府京都市中京区西ノ京東中合町56番 パレット御池201号
■業務内容
不動産登記、商業登記、債務整理、裁判業務
■現在の「ある一日のスケジュール」
07:00 起床・朝食
08:30 出勤
仕事の準備
09:00 決済の立会い
銀行等への書類のお届け
書類作成
法務局での仕事
書類作成 等々
↓
明日以降の準備
書類の作成
20:00 退勤
20:30 帰宅