努力や工夫次第で可能性が拡がっていく…司法書士はそんな仕事だと思います

2009年7月掲載

【東京都】 都内の司法書士事務所に勤務 関口 英典 先生 (司法書士)

■Profile
2005年 司法書士試験合格
2006年 東京都内の司法書士事務所に入所

はじめに

伊藤塾で所先生の入門講座を1年間受講して、2005年度の司法書士試験に合格しました。その後、新人研修、特別研修等の研修に参加し、2006年度の簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格しました。現在は、都内の事務所に勤めて2年と2、3ヶ月が経ったところです。

司法書士を目指した動機

正直、勉強を始める時には、司法書士という資格自体あまりよく知りませんでした。どういう仕事なのかも具体的に全然分からなかったのですが、大学が法学部でしたし、比較的短期で合格することが可能である点に魅力を感じました。また、開業・独立に向いている資格なので、地元に帰って仕事をすることも可能だろうと考えたのも大きな動機の一つです。

伊藤塾を選んだ理由

大学の学部試験対策として伊藤塾長の「試験対策講座」(弘文堂)を使用していたので、伊藤塾に馴染みがあり、司法書士対策としても伊藤塾の講座にしようと思いました。加えて受講料が安かったのも魅力でした。また、ライブの講義を受けたいと思っていたので、他校含め担当講師のライブ説明会を聴いて色々と検討した結果、私には所講師の講義が自分に一番合っているのではないかと考えました。所講師の講義は非常に丁寧で、速度もゆっくりで、優しく説明していただけるので、消化不良をおこすことなく聴くことができました。時折、講義の中で冗談や洒落も出てくるので、楽しく勉強が続けられるのもよかったです。

伊藤塾の個別指導について

所講師をはじめクラスマネージャーの方は、私の漠然とした質問にも最後まできちっと答えてくれました。伊藤塾ではゼミ形式の講義も受講しましたが、聴くのが中心の講義と異なり、ゼミでは質疑応答が繰り返されるので、自分の頭の中でよく考えたうえで返答する必要があります。このことが、講義内容を深く理解することにつながったと思います。現在の実務でも、依頼者の方に対して的確な質疑応答が求められますから、伊藤塾でのゼミ受講経験が役立っていると思います。

現在の主な業務

今勤めている事務所は、登記業務が中心です。商業登記と不動産登記の割合は半々くらいで、他の事務所と比べると商業登記の割合が多いように思います。
私が担当している仕事の大半は、書類作成、依頼者から提出された資料の確認、本やインターネットでの関連事項検索、依頼者との打ち合わせ、などです。主に事務所内での仕事が多く、書類やパソコンに向かうことが多いのですが、できるだけ依頼者の方に直接お会いしてお話を伺うよう心掛けています。

司法書士の拡がる業務

多くの会社が、会社法によってできた新制度を利用しようとしています。その点、既に司法書士は会社法手続きに関しては最も頼られる存在であると思います。税理士などの他士業や会社の法務・総務の担当者から多くの依頼や質問があるので、その信頼に応えるだけの準備、勉強を続けていくことが、今後の業務をさらに拡げることにつながると思います。
新会社法★の施行により実務もかなりの部分が変わりましたが、これは逆に新人の司法書士にとっては大きなチャンスといえます。きちんと会社法を勉強して合格した人は、実務に出ても即戦力になれると思います。
もう一つ感じるのは、社会の高齢化による変化です。契約の当事者や相続手続きにおける相続人、会社の経営者などにも高齢の方が多くなっています。これには、後見手続きなども含めた意思確認や円滑な事業承継のための準備をするなど、後々の紛争を予防するためにも注意を払わなければいけないところでもあり、同時に司法書士が必要とされる場面でもあると思います。私の地元などではこの傾向はもっと大きいでしょうから、これから力を入れて勉強していく必要のある分野だと感じています。

やりがいを感じる瞬間

仕事を始めてまだ2年ですが、司法書士の仕事は世間からとても信頼されているものであることを日々実感しています。大事な権利書を預けていただいたり、家族の方にも話しづらいようなこともご相談いただくこともあります。これは資格を持っているということからくる信頼だと思うので、やりがいを感じるとともに、気が引き締まる部分があります。前述の会社法や事業承継などのように、司法書士のできることは社会の変化に応じてどんどん拡がっていきます。現在、司法書士の仕事として広く認められている成年後見、裁判業務、債務整理なども、先輩方が拡げていき認知されたものです。これからも社会の要請と自身の努力によって可能性が拡がってゆく…そんな仕事だと思います。
また、この仕事には一つとして同じ案件がありません。どの案件にも必ずといっていいほどイレギュラーな問題が存在し、最初は先が全く見えないこともありますが、その問題を見つけて調べて考えて、無事にゴールに辿り着いたときは、なんともいえない達成感を得ることができます。この緊張感と達成感を毎回感じられるというのも、司法書士の仕事の魅力だと思います。
そして何より、依頼者の方に「ありがとう」と言っていただけたときは、自分が人の役に立てていることが実感できます。とてもうれしく、この仕事をしていてよかったと思う瞬間です。

今後のビジョン

現在は登記業務が中心なので、まだ経験していない債務整理や、裁判関係の仕事をしてみたいです。また、将来は地元で開業したいと考えているので、幅広い仕事をこなし、経験を積んでいきたいと考えています。仕事の内容は勤務する事務所によって大きく違う部分があるので、独立するなら何ヶ所か事務所を経験しておくことも必要かと思います。そのような選択が可能なことも、資格を持っている利点だと感じています。

これから司法書士を目指す方へ

司法書士試験の勉強は、とても細かく専門的なので簡単ではありませんが、やるべきことをきちんとすれば誰でも合格できる試験だと思います。司法書士試験対策で勉強したことはそのまま実務でも役立つことが本当に多いので、“伊藤塾で学ぶことは、将来何一つ無駄にならない”と思って大丈夫です。短期で合格するのに必要なのは、とにかく集中すること、毎日勉強を続けること、諦めないこと、この三点です。皆さん頑張ってください。
 
(2008年9月・記)
 

★CLOSE UP:「新会社法」での大きな改正内容
【1、最低資本制度の廃止】
かつては、株式会社を設立する際においては、最低1000万円を資本金として設立時に用意しなければなりませんでしたが、会社法においてはその規制が廃止され、資本金が1円でも会社が設立できるようになり、起業がしやすくなりました。
 
【2、株式会社と有限会社との規律統一化(有限会社制度の廃止)】
会社法は2005年に制定、2006年から施行されたものですが、それ以前の商法において出資者全員が間接有限責任を負う会社類型は、大規模な会社として株式会社が、小規模な会社として有限会社という分類がされていました。しかし、実際は、株式会社であっても多くの会社は小規模な会社であり、その分類が意味をなさないものでした。したがって、新会社法では、人気のない旧有限会社を廃止し、旧有限会社を実質的に取り込む形で両会社類型を株式会社として統一的に規律する方式を採用しました。
 
【3、機関設計の柔軟化】
かつては株主総会、取締役に加えて、取締役会や監査役が必須の機関とされていましたが、新会社法では、必須機関として株主総会と取締役のみを定め、その他の取締役会、会計参与、監査役、会計監査人等は、定款で会社が設置を自由選択することができるようになりました。


Information
■業務内容
不動産登記、商業登記、企業法務、成年後見
 
■現在の「ある一日のスケジュール」
8:15 出勤
9:00 始業 今日は、法務局へ直行
   事務所へ戻る
11:30 午前中の書類の整理
12:00 昼食
13:00 電話応対
    お客様と電話で相談 書類の作成
    お客様の来所→事務所で商談
    書類の作成→所長にチェックをもらう
19:30 明日のスケジュールを確認し、退社
20:40 帰宅