依頼者から感謝の言葉をいただけた時は司法書士の仕事をやっていてよかったと思える瞬間です

2010年4月掲載

【愛知県】 司法書士 土地家屋調査士 野崎合同事務所  柴田 静篤 先生 (司法書士)

■Profile
2008年1月  愛知県春日井市 「司法書士 土地家屋調査士 野崎合同事務所」入所
2008年   司法書士試験合格
2009年5月 司法書士登録

司法書士を目指した動機
私が司法書士を目指したきっかけは、大学3年生の夏にインターンシップで司法書士事務所に行ったことからです。当時、大学卒業後はすぐに社会に出て働きたいと考えていた私は、就職活動をし、企業に就職しようか、それとも大学も法学部に在籍していたので、法律に携われる仕事をしようか悩んでいました。司法書士は、資格さえ取ればすぐに働ける法律関係の仕事だということが分かり、興味を持ち、大学で募集していたインターンシップに応募し、実際の仕事を見学する機会を得ました。そこで、さまざまな業務を見学させていただきましたが、特に強く印象に残っているのは、先生を信頼し訪ねてくる依頼者が、相談を終えた後満足した顔で帰っていく様子でした。印象に残っている言葉で、先生の「感謝されてお金ももらえる仕事は司法書士だけだ」という言葉に、なるほど!司法書士ってすばらしい仕事だなと思い、司法書士を目指すことになりました。
現在の主な業務
不動産登記、商業登記が中心です。不動産登記に関しては不動産取引の立会いの依頼が多いです。依頼者はハウスメーカー、金融機関、不動産仲介業者が主です。仕事の基本的な流れは依頼書とともに、売買契約書、評価証明書、登記事項証明書をFAXでいただき、それらの資料を基に登記手続きの方針を決め、見積もり、必要書類の連絡をします。不動産の売買は案件によって事情が様々であり、成年後見人や、破産管財人がついて
いたり、会社と役員の利益相反であったり、任意売却であったりします。それぞれのパターンに論点が含まれており、必要書類や打ち合わせ方法も異なるので、見落としがないように最初に時間をかけてすべてチェックをします。関係者全員が決済当日に向けて動いている途中で、自分のミスで問題が発生することは許されないので非常に神経を使います。また、人・もの・意思の確認も常に怠らないように気をつけています。登記に必要な書類がすべて整ったことが確認できたら、融資があれば金融機関に実行を促し、現金であればその場で代金の授受をしてもらいます。たまに、ジュラルミンケースに現金1億円を積んで持ってくる買主がいます。自分の一言でその1億円の資金が動くと思うと重圧を感じる場面です。それと同時に取引の安全を確保するという司法書士の職責の重さを感じる場面でもあります。

やりがいを感じる瞬間

依頼者に感謝の言葉をいただいたときはうれしく思います。ある相続の案件で、遺産分割協議書の押印を依頼者に指示しており、相続人全員の押印そろったから書類を取り来て欲しいと言われ、依頼者の自宅に伺ったことがあります。しばらく待っているとその依頼者は、被相続人の仏壇からその遺産分割協議書を取り出してきました。話を聞くと、遺産分割協議書を仏壇に供え、遺産分割の内容を被相続人に報告していたというので
す。そして、線香の匂いのついた遺産分割協議書を預かって登記申請をし、しばらくして登記が完了したので権利書を届けに再び依頼者の自宅を訪ねました。そこで、「無事に相続の手続きがすべて終わって、被相続人も喜んでいる、お世話になりました」という声をかけていただきました。相続の場合、人の死をきっかけに案件が発生します。おそらく仏壇の前で相続の対象となった不動産についての思い出も語られたに違いありません。司法書士がする登記の手続きとしては戸籍の収集、書類の作成に過ぎませんが、そこには家族の様々な思いが含まれていることを忘れてはいけません。そう思うと、必要な手続きを完了し、感謝の言葉をいただけた時とは、司法書士の仕事をやっていてよかったと思える瞬間です。

司法書士に求められる「プロフェッショナリズム」とは

常に依頼者の満足する仕事をすることを心掛けることにあると思います。依頼者は決して安くない報酬を払い司法書士に事件を依頼します。事件の結果に対する満足はもちろん、その打ち合わせ過程の対応や、処理のスピードも重要な要素です。その依頼者がどういう人で何を求めているのか瞬時に見極め、それぞれの状況にあった対応が必要です。また、依頼者の希望通りに叶えることができない場合でも、その理由をきちんと説明すれば納得していただけるし、代替案を示すことで満足していただける場合もあります。そのためには手続きに関する正確で幅広い知識はもちろん、コミュニケーション力と忍耐力も常に向上させるよう努める必要があります。

伊藤塾で得たもの

現在、私の仕事は不動産登記、商業登記が中心で、これらは今後も司法書士の中心業務であり基本であると思います。ただ、司法書士の業務はこの他にも訴訟、後見、債務整理などもあり、家事事件や少年事件などへの拡大の動きもあります。司法書士が扱える業務が拡大することは依頼者である地域市民にとっても利益であると思います。ある依頼者と話をしていたとき、「司法書士は電話で気軽に相談に乗ってくれるし、比較的費用も安く、近くに事務所があって相談しやすい」という評価をいただいたことがあります。「街の法律家」を自称している司法書士がこのような声を実際にいただけたことは大変うれしく思いますし、その地域の司法書士が長年信頼に値する仕事をしてきたからこそだと思います。業務の拡大も先輩の司法書士の仕事が評価されてのことです。また、折角このような広範囲の業務を扱える資格なので「とりあえず相談してみよう」というような気軽な気持ちで何でも相談してもらえるような司法書士を目指したいと思います。
受験生の方は司法書士に出会う機会があれば積極的に会って話をされるといいと思います。私自身受験勉強を始めたきっかけは司法書士の先生との出会いであり、受験勉強を続けられたのも具体的な業務がイメージできていたからこそモチベーションを保つことができたからだと感じています。
伊藤塾は実務家講演会などで受験生と司法書士が出会える場を提供しているので、そこで疑問をぶつけてください。必ず司法書士という仕事の魅力を再確認し勉強への気力も沸いてくるでしょう。これから同じ司法書士として共に仕事ができる日を心より願っております。

(2010年4月・記)


事務所プロフィール
■事務所プロフィール
司法書士 土地家屋調査士 野崎合同事務所
〒486-0929
愛知県春日井市旭町3丁目25番地 2F
TEL:0568-32-5925(代表)
URL: http://legal-planner.com/
 
■業務内容
不動産登記 、会社・法人登記、電子定款、裁判業務、遺言、債務整理、オンライン申請 など
 
■現在の「ある一日のスケジュール」
08:00 出社
10:00 銀行で不動産取引の立会
11:30 法務局に登記申請
12:00 昼食
13:00 外回り(書類受領、お届け等)
16:00 依頼者と電話で打ち合わせ
17:00 事務所にて登記申請書類作成
21:00 退社