私が司法書士を目指すことにした理由・想い
私が司法書士試験の挑戦を決心したのは大学3回生の頃でした。私の父が司法書士で、「その事務所を継ぐことが一番の親孝行になるのではないか」というのはただの建前で、本当は周りが就職活動や公務員試験を受ける中で将来を決めることができず、現実から逃げるために勉強をしていただけでした。そのため、最初は独学で勉強を開始し、広大な試験範囲にわけがわからず、無駄な知識だけが増え、貴重な大学での1年間をそうして過ごしてしまいました。
本当の意味でのスタートは伊藤塾に入った大学4回生の秋、入門講座に入って福満賢一講師と出会ってからでした。このとき、卒業後の進路については全くの白紙状態で、とりあえず試験のみ考えようという環境に身を置きましたが、逆に将来への不安に押しつぶされ、あまりうまくいきませんでした。
受験勉強中に私なりに工夫したこと
結局、最初の試験では勉強をはじめる時期の遅さと自分自身が半ば諦めてしまったような精神状態となってしまい、午前も午後も基準点に届きませんでした。就職は父の事務所を手伝うことになり、本試験の2週間前からは休ませてくれるなど、環境的には恵まれていたと思います。
それでも、学習時間は平日、帰宅後の数時間と土日に限られてしまいます。なので、しっかりとやるべきことを決めておくことが一番大事なことだったと思います。それに試験範囲が広大なので、一日に全教科回すとかではなく、「午前は民法だけ、午後は不動産登記だけ」など、絞り込んで学習することも重要です。これを曖昧にしてしまうと、絶対にだれてしまって上手くいきません。「今日はこれとこれとこれとこれをやるつもりやったのに全然勉強してへんやん・・・」と、私も何度も頭を抱えた経験があります。
ただし、絶対にスケジュール通りに上手くいくことはないということを肝に銘じてください。決められたことをできなくても、その日の勉強が失敗だったわけではありません。ここで落ち込んで、モヤモヤしたままだとモチベーションが下がってしまいます。
例えば、私はかなりネガティブ思考なので、あえて少しだけ厳しめのスケジュールを組んで、それをこなせなくても仕方がないと思い込んでいました。父にも、「決めたことの7割できたら良いほう」と言われていましたし、自分でもだんだんと気にしなくなりました。モチベーションの維持のためには、自分は勉強しているという実感を持つことが大切です。
伊藤塾のこの講座が良かった
受講していた講座の方はというと、今年度はどうしても、Webの受講が中心となっていました。私はテキストのみで勉強するのがあまり得意ではないので、できるだけ問題演習を中心に、択一や記述の答練をこなし、直前期までそれを続けていました。
基礎的な知識に関しては、最初に受けた福満講師の入門講座及びそのテキストでほとんど固めることができました。民法は改正があったため、テキストを継続して使うことはできませんでしたが、不動産登記や商業登記、商法やマイナー科目は全て入門講座のテキストをベースに、最後まで他のテキストを使うことはありませんでした。
伊藤塾の問題演習のうち、特に私に合っていたのは「択一実戦力養成答練」と「全国公開模擬試験」の解説冊子です。演習後の復習には最適で、かつ、一問一答形式になっており、解説も豊富で、入門講座のテキストに載っている図もあり、非常にわかりやすかったです。そのため、何度もこの解説冊子を使って、ただ過去問を回すだけの問題演習にならないようにしていました。
感謝している方へのメッセージ
今年はコロナ渦の影響もあり、なかなか講師の方々やスタッフの方々と直接お会いして話をすることができない日々が続きました。伊藤塾大阪梅田校に入る際、私の悩みや話を聞いてくださり、また、講座についての説明をしてくださったスタッフの方。ご退職されたとのことで、合格の報告ができずに残念です。気さくに話しかけてくださったスタッフの方。合格後、お電話ありがとうございました。そして、入門講座の頃からお世話になり、私が大学生の頃から様々なご報告をさせていただき、そのたびに親身になって向き合ってくださった福満講師。いままでありがとうございました。支えてくださった梅田校のスタッフの方々にこうして合格の報告ができ、本当によかったと思っています。
合格の発表は父とともにインターネットで見ました。実のところ、私の父から事務所を継いでほしいと言われたことは一度もなく、司法書士を目指すことについては反対だったかもしれません。卒業後の進路も不明確なままで、父には様々な苦労をかけてしまいました。合格して喜んでいる姿を見て、やっとひとつ恩返しができたかなと思っています。
伊藤塾各講師へのメッセージ
最後に、福満講師は入門講座が終わってから、何度もお話しすることができる機会を作ってくださりました。お忙しい中申し訳ありませんでした。受験前はもちろん、受験後や不合格後、内容としては勉強面よりも精神面でのカウンセリングが多く、私自身がはっきりしていないような、ぼんやりとした不安の吐露が多かったのではないかと思っています。今年度は残念ながらコロナ禍もあり、なかなかお会いすることができる機会がありませんでした。
受験当日、会場に向かう前にお話しすることができ、すごくほっとしました。かなり落ち着いた状態で試験に臨むことができて、いつもの実力を発揮できたと思います。
無事に合格の報告ができて嬉しさよりも安心感の方が大きかったです。また何かありましたらご相談させていただければと思っています。ありがとうございました。
学習中の方やこれから司法書士試験を目指す方へのメッセージ
最初、私は司法書士試験をなめていました。法学部卒業で、特に学生時代は単位の取得に苦しんだり、法律の勉強も苦痛に感じることはありませんでした。もっと簡単に受かるものだと思って勉強をはじめ、何度も挫折し、合格するまでの間は幾度となく後悔しました。
こういうことを書くのは気が引けるのですが、中途半端な覚悟のままで勉強していても、この試験は合格できません。絶対に合格するという気持ちで勉強を続けてください。もし学生時代の私に戻ったとしたならば、私はもう1度同じように試験勉強をしようとは思いませんし、もっと早くから伊藤塾に通って勉強をしていると思います。
合格者ではありますが、私は気持ちの面では失敗だらけです。直前期でも、本当に私は司法書士を目指していてよかったのだろうか、合格するまで何年もかかるのだろうか、などと不安に襲われていました。今年は試験が延期になりましたが、内心ほっとしました。受けるのが嫌でした。結果が出るまで基準点も見ることができませんでしたし、択一の点数は法務省からの通知で知りました。こんなんですが、受かります。みなさん自信を持ってください。
他の法律資格に向けた受験経験が活きたこと
私は行政書士試験を4回目で合格しました。学生生活の片手間として3回目までは受験し、3回目で合格点まであと少しのところまでは達していて、4回目は模試でも上位で、確実に合格すると思っていました。かなり慢心していたと思います。
本試験では自信のあった民法、商法で大失敗し、当日の採点ではギリギリのライン。自分が合格した年は出題ミスが1問あり、それに救われて合格点ちょうどでなんとか合格できました。
この経験は司法書士試験においても非常に大きかったと思います。自信がある教科であれ、本番で失敗する可能性はあること。模試がどれだけ良くても、それによって慢心すべきではないこと。合格確実だと勘違いして、勉強の質が落ちてしまっていること。
行政書士試験やその他の資格試験にもチャレンジされている方や、合格者の方のみが持つことができるのは、試験までどのようにして勉強してきたかという経験値だと思います。試験勉強についての自己分析等をする際に、他の試験ではどうだったか、過去を振りかえってみるのも大切だと思います。