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弁護士資格=好きな世界で働ける「パスポート」

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國松崇先生

2006年 3月    同志社大学法学部法律学科卒業
2008年 3月    東京都立大学/首都大学東京法科大学院卒業
2010年 9月    司法試験合格 (選択科目:労働法)
2011年12月    第64期司法修習修了
2012年 4月    株式会社TBSテレビ入社
2012年 6月    弁護士登録(第一東京弁護士会)
2014年 5月    厚生労働省 知的財産管理技能検定試験委員(現在に至る)
2016年 4月    日本組織内弁護士協会理事(現在に至る)
2016年10月    東京リベルテ法律事務所入所

「自分の力で仕事がしたい!」「何かにチャレンジしたい!」その2つの思いでリスタート!

弁護士という職業に興味を持ったのは、弁護士という仕事の中身すらよく分かっていない、小学生、中学生ぐらいの頃からでした。たぶんテレビのドラマとかドキュメンタリーとかそういったものに触れて、「弁護士って仕事は面白そうだな」「人助けをしてみたいな」といった単純なところがきっかけだったと思います。学生時代に色んなことを経験する中で、他にもやってみたいことや憧れる世界なんかもたくさんありながらも、そのことは常に頭の片隅にはある感じではありました。なので、大学はやはり法学部を選んで入学しました。ある日、授業で仲良くなった友人が、実は弁護士を目指していて、伊藤塾に通っていると聞きました。自分の周りには不思議と法曹を目指す友人が多く、そういった仲間たちから、すごく刺激を受けたのを覚えています。そういった仲間の姿をみて、やはり法律をちゃんと勉強してみたいなと思い、法学部の授業とあわせて伊藤塾の入門講座を受けることにしました。
ところが、恥ずかしながら、学生生活がどんどん楽しくなってくるにつれて、伊藤塾には通わなくなってしまいました。授業やゼミ活動ではそれなりに勉強も頑張っていたのですが、やはり「将来は弁護士しかない」という風にまでは確信を持てずにいたからかも知れません。とはいいつつも、やはり学年が上がるにつれて、次第に将来のことを考え出すようになります。その時、普通にサラリーマンとして民間企業に就職し、そのまま永久就職するという道ではなく、漠然とではありますが、自分自身の責任と能力によって仕事がしてみたいと思ったんです。そこで、大学を卒業してすぐに就職するのではなく,もう一段さらに自分を高めるため、何かに全力でチャレンジできることはないか、と考えた結果が、ロースクール受験、そしてその先にある司法試験への挑戦だったんです。法律の勉強が肌に合ったということや、仲間に弁護士を目指している人間が多かったことにも、影響を受けたと思います。大学3年生の終わり頃に弁護士を目指すことを決めてからは、本棚の奥にしまい込んだ伊藤塾の教材を引っ張り出して、自分でロースクールに入るための勉強をしたといった感じです。一度決めたら中途半端に終わるのが嫌な性格だったこともあり、真っ白な教材を改めて目の前にしたら、とにかく最後までとことんやってみようという気持ちが沸き上がってきましたね(笑)。このように、今振り替えってみると、自分の力で仕事がしたいというのと、何かにチャレンジしたいという2つが大きかったと思います。あとは単純に法律の勉強がすごく楽しかったということと、学部レベルとはいえ、授業を通じて法律の勉強をするにつれて、自分が社会に出たあと、法律を知っているのと知らないのとでは全然違うなと感じたこと。それが、さっき言ったチャレンジしたいという気持ちとうまく重なって、だったら司法試験を目指すのが自分にとっては一番いいのかなと思いました。

エンターテイメントの仕事に関わりたくて

司法試験に合格し、修習期間中に就職活動をしたのですが、修習64期というと、就職が非常に厳しいと言われていた時期と重なっていて、それこそ就職説明会を事務所がやろうものなら希望者が殺到して事務所が困ってしまうというような時代でした。その中で、危機感のない私はどこか楽観的というか、就職は大変という思いはありつつ、弁護士になったからといって、法律事務所に入ることが全てではないだろうという思いがありました。今でこそ一般的になりましたが、それこそ会社に入ってもいいし、もっといえば、弁護士の資格や法律知識を活かして全く違う職種に挑戦することだって別にあってもいいのでは?という考え方をしていました。なので、法律事務所の就活をしながら、一方で、その当時はまだ珍しかったインハウスロイヤーの仕事にも自然と目が向くようになっていました。そこで考えたのは、一度まっさらになって、弁護士になってさあ何がやりたいか?どんな仕事がしたいか?ということです。せっかく働くなら、自分が興味を持って関われる場所がいいと思いますよね。好きな世界で働きたいし、その世界で頑張っている人をサポートしたい。ビジネスの世界で法律が関わらない場所はないはずで、弁護士の資格を持っていれば、どんな業種、どんな場所であってもニーズがあるはずだと思っていました。そして、私がたどり着いた答えが、テレビの世界です。私は、法律家とは別に、いつか関わってみたい仕事の一つとして、映画やテレビなどのエンターテインメント業界に憧れがありました。見る人に感動や驚き、あるいは小さい頃の私がそうであったように、将来の夢や目標を与えてくれる映像メディアの世界で働いてみたいと思ったんです。
とはいえ、私には何の情報も伝手もありませんでしたので、思い切ってテレビ局に直接電話してみました。代表電話に電話して「私は今修習生ですが、テレビ局で働きたいと思っているので話を聞かせてくれないか」といった感じです。今振り返ると無謀ですよね(笑)。ところが、偶然にも、たまたま手の空いていたTBSの人事部の方と話すことができ、「就職とか一回抜きにして、一回遊びに来たら?」ということで縁を頂きました。修習生の飛び込みは非常に珍しかったということもあって、その方は私の話も熱心に聞いてくださいました。その後、紆余曲折ありながらも、結果的にはそれが縁となって、採用面接⇒キャリア採用という形で、TBSに入社することになったんです。TBSは当時社内に弁護士がおらず、インハウスローヤー第一号ということも、まさにチャレンジという意味で、私にとってはこれ以上ない就職先でした。
繰り返しになりますが、法律は何だってどの世界だって必要なことですから、そういう意味では、好きな世界で働くことができるパスポートみたいなもので、このことは、まさに自分の実体験として感じたことです。私の他にも、単純に好きなことに関わりたいという気持ちで、業種や場所にこだわらずにあらゆる業種にまたがって活躍されている方もいます。例えば、音楽業界に興味があるから音楽業界に就職し、次は映画が面白そうだなと思って映画会社に行く、といった感じですね。何かと比べて司法試験を目指すかどうか迷っている人は、一度弁護士資格をそんな風に考えてみてもいいかなと思います。

縛られず幅広く考えることの必要性

就職の場合、企業や事務所が採用のために作った採用システムの中でどこに応募しようか決め、必要な準備を整える、と考える方が多いと思います。ですが、採用側には採用システムの先に、当然採用担当者として「人」がいます。だとすれば、その人とコミュニケーションを取ろうと思えば、例えば、どこかの街角で会えば仲良くなれる可能性だってあるわけです。それが就職に繋がるかどうかはわからないまでも、企業側が採用のために作ったシステムとは異なる形で、そういった方々と人間関係を形成することはいくらでもできるということです。与えられた選択肢の中で、与えられた行動やフォーマットに沿って動かなきゃいけないということは決してなく、意欲や根気次第では、自分から動いてルートを作ることだってできるということを意識しておいて損はないと思います。やり方は自分次第。企業に限って言えば、一般職の新卒の採用より、専門職としてのキャリア採用なんかは、はるかに柔軟性があると思います。優秀な人がいれば、いつだって誰だって採りたいと思っているはずですからね。
弁護士としてのキャリアをインハウスから始めるという人の悩みの一つとしてよく聞くのが、会社の中で本当に色々な経験をさせて頂くなかで、勉強にもなるし、成長にもつながるという実感がある一方で、会社の業務分野に縛られてしまうというジレンマがある点です。その分野での専門性や実力は当然伸びるのですが、例えば、いわゆる弁護士としてのベーシックなスキル、つまり訴訟や保全執行などの手続きに関する実務経験の不足、あるいは大切な友達・家族などのトラブルに対して、就業規則の縛りから直接手を貸してあげられない、といったもどかしさが出てくる、ということです。今まで散々周りの人に助けられてきた私は、特に後者の点で、悩みを抱えるようになりました。弁護士としての看板を掲げる以上、身近な人や近しい人が困っているときにスッと助けてあげられるような能力、そして業務の多様性・柔軟性が欲しいと。そこで、悩んだ結果、今このタイミングで会社の外に出ることが自分には必要なんじゃないかな、という考え方に至ったわけです。基本的にあんまり安定志向じゃないというか、5年先10年先、自分がどんなことをしているか想像できる人生よりは、いい意味で自分がどうなっているか想像できないような環境の方が燃える性格だということもあったかも知れませんが(笑)。甘い考えだとは思いますが、人生の中で、「今のいい状態をできるだけキープしていく」という状況に至るのは、できるだけ後ろ倒しにして、フットワークの軽いうちは、たとえ上げ下げが激しくても、色々なことにチャレンジしてみたい、人生一度きりで限られた時間しかないから好きなことをやるべき、そういう思いを常々持っています。

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自由な風土で働ける喜び

今の事務所は、昔から第一線でご活躍されている大ベテランの先生お二人を中心に、元高裁長官や元官僚トップだった先生、ほかにも司法研修所教官やロースクールで教鞭をとられている先生など、多様なバックグラウンドをお持ちの先生方が多くいらっしゃいます。いわゆる雇用形式ではなくて、代表パートナーのお二人の先生を筆頭に、みんなが事務所の経費を負担し合って共同経営しているという感じです。仕事に関していえば、自分で取ってくる分には好きなだけ取ってこいと。報酬に関して事務所に一部納めるといったこともなく、決められた定額の分担金さえ支払っていれば、あとは全て自分の収入にしていいという感じです。用事がなければ事務所に来なくてもいい、自宅で仕事したければしてもいい、とにかく自由なんです。それぞれの弁護士が、このリベルテという名のもとに繋がってはいるのですが、実は箱の中ではみんながそれぞれ独立して好きな仕事をやっているという感じですね。ただ、もちろん困ったことや相談事があればいつでも他の先生に話を聞いてもらったりできるし、お願いして事件を一緒に受けてもらうこともできる。最近は勉強会なども盛んにやっています。そういう意味では非常に働きやすく、自分の好きなペースに合わせて仕事ができる環境が整っています。ガツガツやりたい人はいくらでもガツガツ仕事して、ワークライフバランスを取りたい人はマイペースで仕事をする、といった雰囲気ですね。あとは、ロースクールで教鞭を取られていた先生は、若手の育成のことを常に考えていて、個々人の自由を尊重しつつも、可能な限り事件を若手に振って、事件を通じて人を育てていく、という意識がとても高い事務所だと思います。

企業案件と個人案件の「やりがい」の違い

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現在、私は個人・法人ともに色々と仕事を受けていますが、会社に対する弁護士としての仕事と、個人に対する弁護士の仕事では、「やりがい」の質が違うと感じています。これは法律事務所に入って個人の案件を受けるようになって初めて気が付きました。
会社に対する貢献とかやりがいというのは、やはりその会社のビッグプロジェクトや、あるいは命運を分けるような大きな決断に関わることの醍醐味だと思います。例えば、会社の不祥事やトラブルをあえて公表するかどうか、公表するとしたらいつのタイミング、どのような形が最も適切か、といったことを判断する場面で呼ばれることがあります。そこでは、自分のアドバイスや意見を踏まえて方針が決まり、大きな組織がそれに従って動いていくことになります。そしてすぐに、社会の反応はどうだったか、ニュースではどう扱われいるか、といった「結果」をまさに目の当たりにするわけです。これはものすごくプレッシャーを感じる反面、めちゃくちゃしびれるというか、色んな意味ですごくやりがいを感じます。アドレナリンが湧き出るといったイメージですかね(笑)。
一方で個人は、会社と違ってまさに依頼者と一心同体というか、代理人として自分のやったことの全ての結果が、依頼者を通じて自分にもダイレクトに返ってくるような感覚があります。会社の案件は言ってみれば会社のお金や責任の問題であり、一つの案件の帰趨が当該組織の一個人の人生までを大きく左右するといった場面はほとんどありません。ところが、個人の依頼者については、まさに一つの案件の結果が、その人の後の人生を左右するという場面が決して少なくありません。私も離婚などの家事事件や、騙し取られた大金を取り戻したいといったケースでそういう場面を経験しました。そうなってくると、交渉や訴訟の進行がうまくいかないときは依頼者は時に激怒し、時に涙を流します。逆にうまくいけば、依頼者は声を上げて喜んでくれますし、すごく感謝されます。その依頼者から受け取る思い、感情の熱量みたいなものは、やはり会社のそれとはレベルが違うと感じることが多いです。依頼者が人生を左右する場面で私を選び、依頼をしてくれているという責任の重さ、そして、結果として、その案件がうまくいったときに泣きながら依頼者から受ける「本当にありがとうございます」という言葉、これにやりがいを感じないわけはありませんよね。まるで自分のことのように嬉しいし、本当にこの仕事をやっていて良かったと思う瞬間の一つです。

ドラマの法律監修とは

テレビ局で働いていたことが縁で、時折ドラマ等の法律監修を依頼されることがあります。もともとのきっかけは、まだTBSの企業内弁護士だったころに、ドラマ部に配属されていたTBS入社同期から立ち話に近い相談を受けたことでした。それがいつの間にか事前に脚本を確認するようになり、小道具のアドバイスをしたり、現場にも立ち会うようになり、といった感じで、その後は様々な形でTBSのドラマに関わるようになりました。小さいころからドラマっ子だったので、そういった形で制作に参加させていただけたのは、素直にすごく嬉しかったですね。TBSを辞めた後も、いくつかの作品に関わらせていただいていて、本当にありがたく思っています。
実際何をするかというと、例えばあるドラマでは、企画の段階から相談を受け、大枠のストーリーに法的、あるいは実務的な矛盾がないかといった確認作業を行います。その後、出来上がっていく脚本の隅から隅まで目を通し、削っていく作業・付け足していく作業などのアドバイスを行います。時には自分でセリフを書いたり、ストーリーのアイディアを出すこともあります。セリフについていえば、弁護士らしい言い回しを入れてみたり、あるいは弁護士がこんなことは絶対言わないから削る、といった感じですね。小道具などについても、例えば内容証明、訴状、供述調書などは法律系のドラマの中で頻繁に出てきますので、そういった専門的な文書は、小道具担当の人に自分が起案したサンプル文書を渡してアレンジしてもらったり、それをまた確認する、といったやり取りを行っていきます。
ドラマ制作のプロである監督やプロデューサーの采配で、「このシーンは演出的にあえてリアルを無視してでもこうしたい」、あるいは逆に、「ここは徹底的にリアルにいきたい」といった個々の判断があります。私の仕事は、その考えを最大限に優先しつつ、「さすがにここ嘘ついちゃうと法律的に全部成立しなくなってしまう」といったクリティカルな問題点を可能な限り早い段階で抽出し、制作サイドに共有することです。台本が出来上がり、役者さんがそれを覚え、現場でリハーサルまでやったら、いくらあり得ない描写があったとしても、その段階で大きな変更は不可能ですからね。実はこれが結構プレッシャーです(笑)。
あとは撮影の立ち合いがですが、例えば法廷シーンだと、役者さんの中には弁護士役をやったことがありませんという人がいます。なので、細かいことで言えば、異議を出すときは立った方がいいですかとか、このシーンはメモを取っている感じですか、といった具合に、色んな質問が出てきます。それを私の経験の範囲で、ここはそんなに大事な場面ではないので適当に流してる感じでOKですとか、ここは非常に大事な証言が出るシーンなので前のめりで真剣に聞いているはずです、といったように現場で一つ一つ対処していきます。それと、立ち会わなければ絶対に分からないことの一つに、「イントネーション」もありますね。例えば、とあるドラマの法廷シーンで、全ての審理が終わったタイミングで、裁判官が「それでは結審します。」というセリフがあったのですが、役者さんの「結審」のイントネーションが違ったので、指摘して直してもらいました。リアリティを出すためには、そういったところも実は大切なのかなと思っています。

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等身大でいることを心がけ、自分のできることで筋を通す

大きな人生観で行くと、「具体的にやりたいこと」というのは、常々変わっていっています。ですが、その時々で一度「これがやりたい」と心に決めたら、それを早く実現するために、まずは全力で目標に向かうことを心がけています。そして、それを実現したら、さらに極めていくのか、あるいは、また違うことを目標にするのか、その時に見えている景色を改めてじっくり眺めながら、選択していく。そんな生き方が自分には合っていると思っています。要するに、今の自分がやっていることが正しいのか、本当に自分がやりたいことなのかということを、定期的に振り返ってしっかり考えてみる、ということを心がけています。また、自分で立てた目標の実現から、常に逆算して今の自分の行動を決めていく、というイメージも大切にしています。
仕事に関しての志みたいなものはありませんが、大切にしていることは、嘘はつかないこと、そして、自分を大きく見せようとしないこと。結局、今の等身大でできることしかできないんだから決して無茶はしない、その代わり、できることの中で最大限努力をし、きっちりと筋を通す。こういう職業ですから、どうしても必死に頼られると、自分ができそうもないことでも、何とか頑張ってやろうとしてしまいがちだと思うのですが、それはやっぱり失敗することが多いような気がします。きちんと自分の能力や現状を振り返り、何ができるのか、あるいはできないのか、ということを考えながら動いていけば、大体のことはうまくいく、人生なんとかなる、そんな感じです(笑)。

未来に向けて

今はまだまだ法律事務所に移籍したときの目標が道半ばという感じです。せっかく素晴らしい事務所に拾ってもらったので、まずはここで沢山の経験を積みたいと考えています。今までできなかったことを一つ一つ身につけて、それを確実に自分のものにしたい、という思いが強く、それ以外のことは今のところ考えてないです。多様な経験を積み、ある程度の事件は自分で何とかできますとなったときに、じゃあその経験を持ってまた企業内弁護士として会社に戻ってもいいし、完全に独り立ち大きい事務所を作ってみることに挑戦してもいいし、あるいは、弁護士の経験を活かして弁護士業とは全く違うビジネスにチャレンジしてもいい、要するにその先はその先で、また自由な世界が広がっていて、色々な選択肢が出てくるんだろうと思います。何が一番やりたいことなのか、その時に、その時の自分で考えようと思います。今の目標を実現して、ようやく見える景色がきっとあると思うので、その中で一番いいと思ったところにまた走り出す、漠然とした感じですが、そういうイメージです。
これから司法試験の勉強を始める方に伝えたいのは、弁護士という仕事において必要とされる能力は、実は何にでも応用が利くということです。確かに法律や判例といった専門的な知識は法曹特有のものですが、一方で物事に対する法的思考とか、システマティックな法理論を構成するような能力というのは、どんな仕事においても必要とされるんじゃないかと思います。例えば、「ある主張があり、その主張はこういう客観的裏付けに基づく事実をベースに、こういった理論構造で結論が導かれている」という分析が正確にできれば、その主張に対する適切な反論やフォローができるようになります。これは別に弁護士じゃなくても、単に上司と部下、自社と取引先や顧客、あるいは競業他社、場合によっては家庭問題まで?(笑)全ての関係に応用が利くのではないかと思いますし、実際そういう場面も見てきました。法律の勉強はで大変で、覚えなきゃならないことも、分からないこともたくさんあると思うのですが、法曹はもちろん、たとえ違った分野であったとしても、それは間違いなく自分の可能性を広げる土台になるので、つまらないと思って諦めないで欲しいと思います。必ず自分にとって武器になるはずです。頑張ってください!

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