受験生時代に塾長より学んだ「当事者の生の声をしっかり聞く」ということ
坂本千花先生
経歴 2000年 社会福祉士試験
2003年 司法書士試験合格
2008年 司法書士坂本事務所開業
2011年 早稲田大学大学院法務研究科入学
2013年 早稲田大学大学院法務研究科修了
2014年 司法試験合格
2016年 68期司法修習修了、弁護士登録
2016年 坂本千花法律事務所開設
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。
坂本千花弁護士インタビュー動画 ～法律家を志す皆さんへ向けて～
私は元々高齢者福祉施設で働いていました。高齢化が深刻になってきた時代の20年ほど前のことです。認知症になって判断能力が低下してきた方への財産管理の問題や、そういった方が契約をする際のサポートなど、福祉の分野に法律家が関与する可能性が高まってきた時代でした。福祉の分野で働いていたときに、「法律の勉強をしよう」ということは思っていませんでしたが、高齢者福祉の分野に、法律家が関与する必要性を感じるようになり、法律を勉強してみようと思いました。
まずは司法試験ではなく司法書士試験を目指しました。元々法律の知識に関して下地が全くなかったので、司法書士の勉強をするのはかなり大変でした。そして司法書士になって、それから司法試験を目指しました。司法試験では、同じ法律家で試験科目の被りもありますが、求められ方の違いがあるので難しかったです…。
司法修習が終わった後、即独立開業をしました。即独立しようと最初から決めていたわけではなく、周りに伝手もありませんでした。最初はどこかでイソ弁（アソシエイト弁護士）として修業させていただきたいと思っていました。ですが、修習生の就職が難しい時代だったので即独することに決めました。司法書士時代に、法律事務所と司法書士事務所で少し修業をして独立していたので、事務所を切り盛りする経験は一応ありました。
今は独立をして5年になるのですが、元々福祉系の仕事をしていて、高齢者の財産管理などに興味があって法律家を目指したというキャリアがあったので、成年後見業務が多いです。今現在9名の方を担当しています。成年後見の仕事は郵便物も多く、1人でやっているので大変です。後は、離婚と相続の相談が多いです。
実務を通じて大変だったことは、どうしても当事者の方はトラブルを抱えている状態で、すごく悔しい思いや辛いも思いをしている方達です。なので、メンタルが弱っていることが多いです。1人2人ではなく、何人も担当しているので、寄り添うのが大変です…。
一方で、依頼者さんの思いが叶った時にとてもやりがいを感じます。まるまる100%というわけにはいきませんが、大方ご希望に沿うような結論が出た時ですね。
相手方の事情もあるので、こちらの一存だけで結果が出せるわけではありません。思った通りの結果が出ないことの方が多いです。なので、うまくいった時は良かったなと思います。
受験生時代に「当事者の生の声をしっかり聞く」ということを塾長がよく仰っていて、その考え方が今役に立っています。生の声というのは、お金を払ってもらいたいのか、建物を渡してもらいたいのか、お金を払いたくなのか、そういったことです。それを叶えるために、どう法的主張するのかを分析するというのを最初に仰っていて、その言葉は今の仕事にも活きていますね。ご相談にこられる依頼者の方は、弁護士に相談するほど困っているわけなので、悔しい、辛いなどの自分の思いやエピソードを事実関係も滅茶苦茶なまま語ることが多いです。そこから何をどうしたいのかをしっかり聞き取って、法律上の主張にするのが弁護士の仕事です。依頼者の方は、「責任をとってほしい」などの言い方をするので、それを法的な主張に翻訳する作業が必要です。実戦でも活きてくることなので、その時の塾長の言葉は今でも役に立っていると思います。問題文を読んで論文を書くのと実務は、根本的にはそこまで変わらないと思います。
弁護士の仕事は多岐にわたるので、どんな方でも弁護士業務に向いている一面はあると思います。弁護士として、どういう分野でするのかは向き不向きが出てくると思います。みなさん、どんな人でも弁護士になれる素養はあると思います。
塾長に言われたことなのですが、自分のその時の実力レベルに応じたトレーニングをするのがすごく重要だと思います。例えば10段階のうちの3のレベルであれば、3から4に上がるためのトレーニングをする、そこで7のトレーニングをしてもなかなか伸びません。まずは自分の実力をきっちり把握するのが受験勉強をする上で大切だと思います。レベルにあった勉強をすれば、必ず伸びていくと思います。