この職に就いたからこそ味わえる、弁護士としての仕事の醍醐味

梶山孝史先生

経歴 2009年  土浦日本大学高等学校卒業
   2013年  学習院大学法学部卒業
   2015年  早稲田大学大学院法務研究科修了
   2017年  東京南部法律事務所入所


※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

梶山孝史弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 小学生くらいの頃にテレビやドラマで弁護士に興味を持ったのがきっかけです。法曹に関するドラマをみて、単純に「かっこいいな」という印象を持ち、漠然とした憧れがありました。そういった法曹への憧れや魅力を感じていて、将来は法学部に進みたいなぁと漠然と思っていました。ただ、具体的にどのような弁護士になりたいとか、検察官や裁判官になろうというイメージはあまりありませんでした。
 法学部に進学して勉強を進めていき、その時に伊藤塾に入塾し、伊藤真先生から憲法をはじめとした色々な法律の知識の基礎やおもしろさ、弁護士としてのやりがいなどを教えていただきました。
 ちょうどその時、私が大学2年生の頃だったのですが、母が過労で倒れてしまいました。
 私の母は中学の英語の教師をしていました。学生の生徒指導や保護者会など、授業以外にも雑務がたくさんある中、朝早く出て夜遅く帰ってくることも少なくなかったです。そういったこともあり、くも膜下出血と脳梗塞というのを発症してしまい、生死を彷徨う様なことがありました。最初は命の保証ができないとも言われましたが、お医者様にもご尽力いただき、かろうじて一命を取り留めまして、今は元気になりました。この出来事は私にとってとてもショッキングな出来事で、同時に、母は命こそ助かったものの、世の中には、働き過ぎによって命を落としてしまう方もいらっしゃることを知りました。伊藤塾でも民法の講義で電通事件最高裁判決を勉強することがあり、過労によって亡くなってしまうという悲惨な事件が起きていることを知り本当に心を痛めました。被害者や遺族の方の為に何かできないかと思うようになりました。勉強を進めていくにあたって、救済されるべき事案であるにもかかわらず、ほとんど労災と認定されない時代があったこと、そのような不合理な労災認定基準を変えるために、大変長きに渡って尽力している弁護士の先生方がいらっしゃることも知りました。そのような弁護士に憧れを抱き、働く人のために尽力できる弁護士になろうと決意しました。
 高校生の時、高校のOB、OGが、学校に来てお話をしてくれる機会が年に一回くらいありまして、その時にちょうど裁判官と検察官の方が来てくださり、仕事内容や司法試験とはどういうものなのかというお話を聞かせていただきました。それで「こういうふうにやるんだ」ということを知りました。司法試験を突破するためには、法学部の授業だけでは大変なので、受験指導校に通って、ダブルスクールをしているというような方の話も聞いて、「そういうものなんだな」とイメージが膨らみました。司法試験を受けるとなると、伊藤塾など司法試験の受験指導校にと通うというのは重要な選択肢になるんだなぁとは思っていました。伊藤塾の説明会や、大学の法学部で司法試験合格に向けた話を聞く機会もありました。

 当事務所は、50年以上前にできました。当時、都心には法律事務所があったようなのですが、蒲田、大田区などこの辺りの地域にはあまりありませんでした。なので、この東京の南部の地域の働く方々や市民の方々、或いは中小企業もたくさんありますので、そういった方々のお力になれればということで設立されました。基本的には一般の市民の方々ですとか、羽田空港が近いものですから、航空関係の組合や労働者の方々ともお付き合いがあります。また、中小企業の企業法務などをしている弁護士もおります。何でも屋ですね(笑)
 そんな中でも特に労働事件には力を入れている弁護士が多いです。私も労働の分野に一番力を入れています。
 その中でも労災事件を弁護士登録後に何件か担当させていただく機会に恵まれました。やはり私が弁護士を志したきっかけも労災問題でしたので、労災事件でやりがいを感じることが多いです。過去に担当した案件では、脳疾患で亡くなった方の奥さんが依頼者で、労災申請や交渉をしたことがあります。一家の大黒柱を当然失ってしまって、経済的にも精神的にも辛いですし、小さいお子さんもいらっしゃっるという状況でした。藁にもすがる思いで事務所に来てくださって、労災事件を専門に取り扱っている先生からお声がけをいただいて、一緒にやらせてもらうことになりました。
 労災申請が認められて、企業からも適切な補償を受けて事件が解決できて、依頼者さんからとても感謝していただいたときはもちろん嬉しいですし、その後も依頼者さんから年賀状やお手紙をいただいて、お子さんの状況を知らせてくれたりします。そういった報告をいただけると本当に嬉しいですし、この仕事ができて良かったなとやりがいを感じます。

伊藤塾で学んだことは今の仕事にたくさん繋がっています。民法や訴訟法など、法律の知識はもちろん重要ですし、今の仕事にも役立っています。東京校(渋谷)で伊藤先生に教わっていたのですが、「合格後を考える」ということを常々仰っていました。憲法の話もそうですが、当時から合格後を見据えて行動するということを教えていただいたのが私の中で非常に役に立っているなぁと思います。当時、「明日の法律家講座」というのを受講していて、非常に面白かったです。ジャンルを問わず色々な先生のお話を聞けたので、楽しかったですし、非常に刺激になりました。刑事弁護の第一線で活躍されている先生、検察官、裁判官、企業法務を担当しておられる先生など、非常に楽しい体験でした。受験勉強の期間は長いので、モチベーションの維持もできたと思います。

 法曹に関して向いている人についてですが、弁護士は代理人として活動することがほとんどですので、誰かのために働ける人、誰かのために働きたいなと思える方が向いているのではないかと思います。もちろん検察官や裁判官はそうではないので、一概には言えませんが、弁護士に関してはそうだと思います。特に今私が扱っている分野では、そういった方こそ弁護士になっていただけたらいいのかなと思います。共感する力はとても大切だと思いますが、依頼者と一心同体のような形になるのはあまり良くありません。第三者的な立場での検討でしたり、ものの捉え方、事件の捉え方が必要だと思うので、難しいところですね…。その辺りは気をつけながら仕事をしています。

 私は今、町弁として弁護士をしていますが、本当に日々楽しく仕事をしています。幼い頃漠然と憧れを抱いたあの「弁護士」と違うところも無いわけではないですが、日々中々味わえないようなこともこの職に就いたからこそ味わえるものだと思っています。他の色々な企業で働いている友人や、裁判官検察官の友人の話を聞いても、それぞれ良いところややりがいがあるという話も聞くので、ぜひ法律家を目指していただければと思います。きっと後悔しない選択にはなると思います。

東京南部法律事務所

■事務所住所

〒144-8570
東京都大田区蒲田5-15-8蒲田月村ビル4階
03-3736-1141
http://nanbu-law.gr.jp/