世界に広がる弁護士の活躍できるフィールド

大塚圭介先生

経歴  愛知県立岡崎高校卒業
    慶應義塾大学法学部卒業
    慶應義塾大学法科大学院修了
    司法試験合格
    クリフォードチャンス法律事務所 外国法共同事業入所


         
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

大塚圭介弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 高校生の頃までは法曹に対するイメージは明確には持っていませんでしたが、2008年頃に起きたリーマンショックが弁護士という職業について知るきっかけになりました。当時、リーマンショックの影響もあって派遣切りが社会問題となっており、東京では宇都宮健児弁護士が名誉村長となった年越し派遣村が設置されていました。年越し派遣村は直接には法的な活動ではなく、社会運動の側面もありましたが、その時に弁護士が社会で弱い立場にある人の味方になって助ける仕事というイメージを持ちました。
 そして、今思い返すと、弁護士になろうと思った具体的なきっかけは、私の通っていた大学一年生の憲法の授業で伊藤真先生の講演を聞いたことです。大学の学部は法学部でしたので、弁護士という職業は将来の選択肢としてはありました。しかし、司法試験に自分が本当に合格できるのかという不安や、どうやって勉強していけばいいのかが全くわからない状態でした。そんな中、伊藤真先生が「こんな勉強法で先輩達は合格しています」というエピソードや、法律家の仕事の魅力を、熱意を持って伝えている姿を見て、「自分ももしかしたら弁護士になれるのではないか」と思い始めました。また、伊藤真先生の講演の後に周りの友人と話していて、「伊藤塾に行ってみよう」という空気が出来上がっているのを感じました。当時、自分が本当に弁護士になれるという自信はありませんでしたが、弁護士という職業も自分の将来の道の選択肢としては面白いなと思い、司法試験合格を目指して伊藤塾で勉強を始めることにしました。

私はクリフォードチャンス法律事務所で弁護士としてのキャリアをスタートし、現在5年目になります。現在はアジア、ヨーロッパなど世界各地の投資家や銀行、事業者が携わるファイナンスの案件を担当することが多く、特に担当することが多いのはプロジェクトファイナンスです。例えば、海外の事業者の方が日本の再生可能エネルギー事業に投資する案件などを担当し、契約の交渉をしています。また、日本や海外の金融規制について、クライアントの方にアドバイスを提供する仕事もしています。

 クリフォードチャンスは外資系の法律事務所ですので、たくさんの法域が関わる大規模な案件を世界中にいる同僚達と協力しながら進め、その案件を無事に成功させることができたときに仕事のやりがいを感じます。海外の事業者が関わるような場合、案件の進行が早かったり、時差の問題もあったりして大変なことも多いです。そんなときでも、ヨーロッパやアメリカにいる同僚が寝る間も惜しんで作業してくれるおかげで、東京で仕事が始まる時間にはドラフトができあがっていて、日本でスムーズにお客様とコミュニケーションがとることができます。直接は会ったことのない方も多いのですが、案件が終わった時には同僚たちと「無事、案件が成功してよかったね」などと電話で話したりお祝いのメールを送り合ったりします。

受験生時代を思い返すと、伊藤先生がよく講義の中で「原理原則から考える」ということを仰っており、その考え方は今の仕事でも役に立っていると思います。仕事では、海外の依頼者や海外の弁護士に対して日本の法制度を説明するような機会も多いです。しかし、彼らの中には、日本法の知識や日本の弁護士が当たり前に知っていることを知らない方も多くいらっしゃいます。彼らに納得してもらうためには、まずは自分が日本の法制度について「そもそもなんでそうなっているのか」という原理原則のところから理解し、基本原理に立ち返って説明していかねばなりません。そのようなときに、伊藤塾で学んだ思考法が大変役に立っていると感じます。

 法律家の資質は、人それぞれ色々な考えがあると思います。私が思うのは、「わからないことを理解していく」というプロセスを楽しめる人は弁護士に非常に向いているということです。
 日々の仕事で対応するクライアントからの質問には、必ずしもどこかに回答があるというものではなく、「誰も考えたことのない問題」を聞かれることが多々あります。そういったときに、「やったことがないから困る」というネガティブな発想ではなく、むしろ聞かれたことに対し「自分が成長するチャンスだ!」とポジティブに考えて、自分の頭を使って解決策を導くことを楽しむのが重要だと思います。
 これは受験生時代の司法試験の勉強でも同じことが言えると思います。自分が理解できない論点について丸暗記してしまうのではなく、きちんと原理原則から考えてその論理の流れを理解するというプロセスを楽しめれば、受験勉強も少しは楽しくなるのではないでしょうか。

弁護士の仕事については、「これから需要が少なくなる」「稼げない職業になる」と、ネガティブな意見もあると思います。ですが、実際に働いてみると、日本だけではなく世界中に弁護士の活躍できるフィールドは広がっていると感じます。まだまだ開拓の余地のあるビジネスの分野もたくさんあると思うので、受験生の方には是非アンテナを高く張っていただいて、自分が好きだと思う分野や目標を見つけて、将来自分が弁護士として活躍する姿を想像しながら頑張ってもらえれば受験勉強を乗り越えられると思います!是非頑張ってください。

クリフォードチャンス法律事務所 外国法共同事業

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