法律は外国語!「これは日本語ではない」と頭を切り替えるのがコツ!
松本利哉先生
経歴 1998年 高輪高等学校卒業
2003年 法政大学法学部卒業
2005年 弁護士登録
2019年 弁護士法人ステラ入所
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。
松本利哉弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~
私が弁護士を目指そうと思った一番初めのきっかけは、大学を受験する際です。どこの学部にしようかと考えた時に、昔から人に何かを教えたりすることが好きだというのがあり、教師になるのかそれとも他の職業に就くのかということを考えました。そこで、純粋に「法律家ってかっこいいな」と思い、法学部に入ったというのが出発点ですね。法学部の中で大学3年生の時に刑法ゼミに入りました。そのゼミの先生が学者をやりつつ弁護士をされている方で、その姿を見て「なんてかっこいい人だろう」と思ったのが法律家の中でも特に、弁護士を目指したきっかけですね。
大学は法政大学だったのですが、ゼミが3年生からでした。大学1、2年生のときにあまり勉強をしていなかったことから、そのままゼミに入ったとしても何も分からないだろうなと思っていました。そんな中、少しでもゼミを実りあるものにしたくて伊藤塾の講義を受けに行きました。法律はそもそもどう考えるのかとか、そういうことも全く分からなかったので、まずは講義を受けてみようと思いました。学部成績は1、2年の頃が酷かったということはありますが3年生からは上がりました。
弁護士法人ステラは私を含め在籍弁護士数6人の事務所でして(当時)、交通事故を中心に対応しています。9割方は交通事故の被害者側からのご相談かなと思います。あとは個人的な繋がりでしたり、代表が案件を持ってきたりする破産や相続などの一般民事全般を受け持っているというところです。企業法務については個人的な繋がりで依頼を受けている先生もいます。
当事務所に就職を決めたのは、恥ずかしい話になるのですが、司法修習が高知でしたので帰ってきたのが10月ごろで、そこから二回試験の準備になって、就活を始めたのが、二回試験が終わってからなんです。あれこれ探す中、弁護士法人ステラのホームページに代表がバンと載っているのですが「優しそうな方だな」と感じ、「お話を聞きたいな」と思い、履歴書を送ったのがきっかけです。自由だというのは代表から聞いていましたし、所属されている先生に面接をして頂いた後、「飲みに行こうか!」と言われました。そこで「うちは自由だよ」と教えて頂き、入所したところ本当に自由でしたね。
仕事だけでなく、プライベートの話もよくしますし、同期は私が入所した時には1人だったのですが一ヶ月後くらいに増えまして、そこからは雑談も含めて、かなりコミュニケーションがとりやすくなった感じがします。
弁護士になって「弁護士やってるな〜」と最も思ったのは刑事事件ですかね。通常一般人だと入れないところに入ることができたり、被疑者と接見し、被疑者の更生を考えたりしている時「特権階級だな」みたいな思いを抱きました。普段は交通事故中心なので、弁護士というより代理人という立場で、あまり弁護士になった感覚がなかったんですね。ですが、実際に裁判所に行くと「特別な仕事なんだなぁ」と感じます。
私はまだ3年目なのですが期が上の先生と話すことがよくあります。10期も20期も期が上の先生でも対等に話をしていかないといけないということも、バッヂをつけたら一人前なので「一年目だから勘弁してください」とかはないわけです。そこはやりがいというか、責任感が重い仕事だなと思います。
法律って言い方が独特だったりしますが、これから学ぶ方に対して言いたいことではあるのですが、法律って英語なんですね。「これは日本語でなない」と頭を切り替えるのが一番大事で、その切り替えができるならすんなり法律が入ってくるのかなと思いますね。
僕がロースクールのとき、友人がその当時大学で憲法学者をやっていまして、その方にどんな授業をしているのかと聞いた時に、桃太郎の話をしていて「桃太郎は実は強盗なんだ」とか、皆が知っていることを法律に置き換えるとどうなるのかといった話をしていました。一年生向けの授業だったのですが、すごく分かりやすいなと思いましたね。
実務の現場においても依頼者の方と話す時、法律に関して分かりやすく伝えようと心がけています。交通事故の時も、専門的な言葉がたくさんあって、言わないと分からないので言わざるを得ないのですが、それを説明しないと絶対に分からないことなので、いかに分かりやすくするかを常に心がけています。きっかけの話にも繋がるのですが、僕が小学生の頃、ドリルとかをやって「できた人からできていない人に教えなさい」というのがその時の先生の方針だったんです。そこで得意だったということもあり、僕が早く終わらせて人に教えるということをずっとしていたので、ロースクール時のゼミにおいても、教えたり教えられたりしていました。そういうのが元々好きだったので、相手の考えていることを読み解くのは得意なのかなと思います。
法律家に向いている人物像としてはコミュニケーションをしっかりと取れる方ですかね。学力などという点もありますけど、コミュニケーション力さえあれば対人の仕事で専門性の高い仕事を除けば弁護士も接客業だと思います。コミュニケーション能力がない人はやらない方がいいと思います。僕には兄弟がいて、男三兄弟で一番下なのですが、コミュニケーションをとる機会が多かったので聞き上手になれたということが、法律家としては大事なのかなと思います。うちは兄2人がうるさかったので聞かざるを得なくてそうなったという感じですかね。
弁護士に話をするということは、普通の状況ではないというのは理解しているので、欲しい情報以外のことも言わせてあげるのを意識しています。ピンポイントで聞きたいことはあとで聞くという形を心がけています。
中には、感情的になっている依頼者さんもいます。特に私が話をするのは被害者側ですし、被害者の方もなりたくてなる人はいないので「なんでこんなに辛い思いをしないといけないのだ」という気持ちを受け止めて法律に乗せて相手に伝えるのが仕事だと思っています。なので、どういう感情を持っているのかというのは、ある程度引き出さないといけないのかなと考えていますね。
先ほど言ったように、法律とは英語や古文と一緒で、日本語とは別の言語だときちんと意識することが大事だと思います。単語を覚えたり並び方を覚えたり、一番難しいと思いますが「なんでそうなっているのか」と疑問を持ち続けることが弁護士になっても一番必要な能力かなと思います。