実務に就いた今も、伊藤塾のテキストを傍に置いて仕事をしています!
成瀬翠先生
経歴 東京都立八王子東高等学校卒業
早稲田大学法学部卒業
一橋大学法科大学院修了
弁護士法人港国際法律事務所横浜主事務所入所
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。
成瀬翠弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~
大学の法学部に入学したとき、最初から司法試験を目指していたわけではなかったのですが、定期試験対策のために入っていたサークルで、司法試験を目指している方が多かったんですね。先輩も同期も非常に多く、そういった中で私はそもそも仕事として何か資格を身につけたい、長く働くことのできる仕事をしたいなと漠然と考えていたところでしたので、法律は実用的ですし、また色々と勉強する中で、検察官や弁護士は、会社などで指示を受けて働くのではなく、自分で自由に働けることを知りました。法学部に入っていたということもあるので、せっかくだからできるところまでやってみようと思い、司法試験にチャレンジすることにしました。では、どこの受験指導校に通おうかなと考えたとき、周囲は皆伊藤塾に通っていたということもあり、大学2年生の途中より、伊藤塾に通うことにいたしました。サークルの影響が大きかったと思います。
法曹三者の中で、弁護士になろうと思ったのは、実は司法試験に合格して司法修習が始まってからでして、司法試験の勉強を始めていた当初、大学生の頃は検察官を目指しておりました。検察官を目指した理由というのも、テレビドラマでも言われるように、日本の刑事裁判の有罪率99.9%と言われるような中、検察官が起訴するか不起訴にするかという広い裁量を持っていて、さらには捜査を指揮する権限も持っているということで、刑事事件において主導的な役割を果たし、最も真実に近いところにいるのが検察官という立場だなと思い、そのような裁量の広い仕事に憧れて検察官を目指していました。ですが、司法修習において、指導担当である弁護士の先生の仕事ぶりを見て、その先生がとても楽しそうに仕事をしていて、弁護士は事務所で働くこともありますし、裁判所に行くこともありますが、それ以外にも色々なところに出かけたりですとか、様々なところで相談に乗ったりする様子を見て、多様な分野に関わり、事件の方針を自由に立てて、自分で好きなように仕事を進められる弁護士という職業も楽しそうだなと思いました。
港国際法律事務所の取扱い分野は非常に様々でして、多いのは一般民事と言われる離婚、相続、労務、債権回収、交通事故などが多いのですが、それとは別に中小企業の企業法務なども扱っていますし、インターネットの投稿削除ですとかネット関連の案件も扱っている弁護士もおりますので、案件としては様々です。事務所の特色としては、港国際法律事務所という名前でもあるとおり、海外案件の問い合わせは多くて、実際に業務として扱っている件数としては日本人同士のトラブルが多いのですけれども、問い合わせは他の法律事務所よりは外国人絡みの事件が多いのかなとは思います。
私個人としては、一般民事が中心でして、今年3年目になるのですが、今のところ特定の分野に注力しているというよりは、様々な分野の経験を積みたいと考えておりますので、特にこの分野に限定してということはありません。そういった中で、比較的多いのは事務所では女性弁護士が私を含め3名なのですが、私が中堅にあたるので、例えば「女性弁護士希望」というお客様がいらっしゃる時は私が担当することが多いです。男女関係のトラブルですとか、離婚とかそのような問い合わせは私の名前宛に問い合わせがくることが比較的多いかなと思います。
私が担当したエピソードを紹介しますと、実務に就いて1年目の時の話なので、一人の力でということもないのですが、事務所で依頼を受けてから10年くらい経過している相続案件があり、調停もまとまらなく訴訟になっても解決しなくて、控訴審までいったのですが、10年越しでようやく解決したということがありました。担当弁護士も変わったりもしていたので、当初の状況を紐解くため、膨大な記録を読み込みました。当事者としてもここまで時間をかけたということで、法的なところよりも、感情的にも譲れない部分もあって、最終的には和解で解決できたのですが、そこの落としどころとして、相手の弁護士とも事件の解決に向け、お互いに落としどころを探りつつ、何とか10年越しで解決できた事件でした。親族は関係は続いていくわけですから、あまりバチバチやって関係に亀裂が入るのもよくないということもあるので、法的なことも勿論そうなのですが、感情的になってどうしようもないというところで、弁護士が間に入ったことによって解決できたなと達成感を感じたことがありますね。
伊藤塾での勉強は結構仕事に繋がっていると思っていて、大学の授業などは自分で噛み砕くのが難しかったりしますので、伊藤塾のテキストをベースに、教科書とか自分で購入した参考書などで必要な箇所を加筆してカスタマイズしていました。頭の中には分野ごとに今も引き出しができていて、仕事をする上で初めて関わる案件でも、伊藤塾で学んだときのことがスムーズに出てくるので、そこはとても助かっています。
あとは司法試験の試験科目ですと行政法がありますが、実際、事件として多く扱うかというと、あまり馴染みのないものなんですね。ですが、たまたま行政事件の相談を受けたときに「やったことないぞ」と思ったのですが、伊藤塾で学んだ知識が自分でも驚くほど、すんなりと出てきて、試験勉強だけということでなくて、今の仕事にそのまま結びついているなあと度々実感しています。行政訴訟とかまでなると荷が重いのですが、日常的な相談で地方自治法に関する相談などで、論点としては行政法の勉強で学んだところでしたので、何とか回答できてよかったなというところです。今から行政法を1から勉強してというのは、現在の業務との関係でなかなか難しいのですが、昔きちんと勉強をさせて頂いたおかげで基礎はできていることから、新しく見る法令なども読み解けるので、やっておいてよかったなと思っています。今でも定期的にテキストを引っ張り出して見たりしています。
司法試験に向けた勉強のコツですが、私は基本的に一人で勉強をしていたところ、1回目の試験は不合格でした。同期の友人は合格していって、一人取り残されてしまいましたが、友人から役に立ったテキストなどを譲ってもらい、「こういう風に勉強したらよかったよ」などとアドバイスをもらいました。色々な方にサポートしてもらったおかげで、2回目の試験は合格することができたのだと思っています。勉強仲間は必要だと実感しました。一人で勉強していると答案とかも独りよがりといいますか、他の人が見たら読みにくいものになってしまっていることもありましたので、2回目に受験するときは大学院の先生に見てもらったり、伊藤塾でも答練をたくさん添削してもらったりもしました。やはり一人だけでは限界があるなということで、友達でも先輩でも先生でも誰でもいいのかもしれないですけど、他の人に見てもらうことが大事だったかなと思います。
弁護士は色々なタイプがいていいのかなと思うのですが、強いて言えば、合格したら勉強しなくていいというわけでなくて、法律そのものもそうですし、実務上の運用も社会の状況も日々変わっているので、仕事しながらでも知識や考え方をアップデートして、勉強を続けていくことが大事なのかなといつも思っています。合格した時点で一定の知識があるということだとは思うのですが、その後も勉強を続けていける人が弁護士として仕事をする上では、続けていきやすいのかなと思いますね。受験生でも実務家としても勉強を続けることが大切です。
これからについて、私は今のところ具体的に明確なビジョンがあるというわけではないのですけど、分野としても引き続き、幅広くやっていきたいなとは思っています。年次が上がっていくと経営の方に力を入れる弁護士もいますが、私はいつになっても現役といいますか、どちらかといいますと職人気質ですので、裁判所宛の書面を書いたりですとか、個々の相談に乗ったりですとか、日常的な弁護士業務が楽しいと感じておりますので、ずっと自分が当事者の代理人として、主体的に関わっていきたいなと思っていますね。
それぞれの弁護士によって事件の解決方法も異なって、そのどれもが筋が通っていて、お客さんが納得してくれるということであれば、それはそれで一つの適切な解決方法だと思います。その個々の弁護士の力量がそのまま解決に繋がるという点では大変な部分もありますけど、目指すだけの価値ある仕事だと思います。これまで勉強してきたことが試験勉強だけでなくて、そのまま仕事に結びつくということは無駄がないといいますか、努力が報われる職業だと思っています。今勉強している方や、これから始める方に対しては「今やっていることがそのまま結びつくから、合格してその先について楽しみに勉強を続けて欲しい」と伝えたいです。不合格となって、途中で諦めてしまう人もいるかも知れませんが、どのような道に進むとしても司法試験に向けた勉強が全く役に立たないということもないと思いますので、勉強が将来に結びつくことを意識して勉強されると良いのかなと思います。
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