法律学習の楽しさは「難しいことを理解し、腑に落ちる瞬間」にあり。
吉原祐介先生
経歴 2009年 千葉県立千葉高等学校卒業 2013年 早稲田大学法学部卒業
2015年 慶應義塾大学法科大学院修了
司法試験合格(69期)
2016年 第二東京弁護士会に登録
ひかり総合法律事務所入所
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。
吉原祐介弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~
私が法曹を目指したきっかけですが、大学の法学部に入学したことが一つの大きなきっかけです。4月から大学で法律を勉強し始めて、まず、法律を学問として面白いなと感じました。その後、ご縁があり、大学1年生の後半から法律事務所でアルバイトを始め、そこでより弁護士という仕事に興味を持つようになりました。自分が大学に入学した頃は予備試験もまだ始まっていない時代で、周囲の友人や先輩の多くが大学2年生の初めくらいから受験指導校に通っていましたので、私も同様に大学2年生になって伊藤塾に入塾しました。
法律学習の楽しさについてですが、難しいことを理解するのが楽しかったのかもしれないです。「ああそういうことか」と腑に落ちてスッキリする感じです。
法律事務所でアルバイトをした理由は、たまたま仲のいい先輩がアルバイトをしていて誘ってもらえたということもありましたし、なんとなく弁護士の仕事に興味を持っていたからです。業務内容は、法律的なことには触れず、電話対応、コピー、郵便物やFAXの配布等でしたが、法律事務所の雰囲気を見ることができたという意味ではすごく良かったのかなと思います。
大学での法律学の授業を順調にこなしていくコツは、学生同士で情報交換をすることではないかと思います。極端な話をしますと、大学教授によってはレジュメを読むだけの教授もいます。そのようなこともあるので、もちろん、学生側の理解力や勉強の進み具合の問題もあるのですが、教授について「この教授の授業はわかりやすい」とか「この教授の授業はわかりづらい」という話が学生間で話題に上がることがあります。ですので、学生間で情報共有をしたりするともう少し楽しく大学で勉強できるのかなと思います。
受験生時代、伊藤塾では、論証パターンというテキストを自分で加工して使うなどしていました。論証パターンの内容を理解せずに丸覚えするというのは、いざ問題を解こうと思った時に、使い所を間違えたり、過度に論証が長くなるのでよくないのですが、やはり条文の趣旨や定義はきちんと覚える必要があります。例えば、刑事訴訟法で出てくる「強制の処分」の定義ですとか、行政法で出てくる「処分」などは定義が決まっていて、答案を書くときに「定義はなんだっけ?」といちいち思い出すようでは時間をロスするだけで、ものすごく勿体無いです。ですので、そういった定義を何回も声に出して読んで、紙に書いて覚えました。
講義に関しては、自宅が遠かったので、主にインターネット受講で講義を聴いていました。ネットで講義を聴く場合は2倍速でも聴くことができますので、2倍速で聴き、わからないところがあったら巻き戻して、スピードを落として聴き直すということをしていました。電車の中では基本的に論証パターンを見るなどの暗記系の勉強をやっていました。
事務所の紹介を少しさせて頂きますが、弊所は、知的財産に関する業務を中心に、大企業・中小企業のサポートや個人の方の業務を取り扱っています。知的財産に関する業務については、特許の訴訟もありますし、あとは著作権や商標権といった知的財産関係の紛争の対応ですとか契約書チェックなどを行っています。あとは、いわゆる一般民事といわれる、交通事故、相続、離婚、こういった業務です。なんでもやっているという状況です。もちろん知財財産に関する業務以外にも大企業・中小企業のサポートはさせて頂いておりまして、顧問業務、契約書のチェックですとか、訴えられてしまった場合の対応、逆に訴える場合の対応ですとか、そのようなこと全般を取り扱っているという状況です。
弁護士の仕事をしていてやりがいを感じる瞬間ですが、やはり依頼者に喜んでもらった瞬間です。事件によってはいわゆる勝ち筋のものや、旗色が悪いものなど色々とあるのですが、勝ち筋の案件で、きちんと結果を残せて喜んで頂けると勿論やりがいを感じますし、少し旗色が悪い中で「逆転」といいますか、良い結果が残せるとものすごく喜んで頂けますのでやりがいを感じます。あとは旗色が悪くて、残念な結果に終わってしまったものの、傷を浅くすることができた案件についても、「先生にこれだけ話を聞いてもらって、これだけ事実を汲んでもらって、うまく主張してもらって、この結果だったら納得して先に進めます」と言って頂けると、やってよかったなと思います。「先生に話を聞いてもらい心がスッキリしました」などと言って頂けることもあるので、話を聞くことに時間を割くというのは個人的にはすごく大事だと思っています。忙しい時に長電話がかかってきくるようなこともあるのですが、そのような時でもしっかりと話を聞いて「その話使えるかもしれませんね」と言って書面に組み込むと、依頼者に納得してもらえますね。
その反面、依頼者の言いなりになってもまずいとも思っています。すごく難しいところですが、言いなりになってそのまま聞いたことを全部書面にすればいいかというと、そういうわけではありません。そのようなことをしてしまいますと、法律家の作る書面ではないようなものになってしまいます。したがいまして、依頼者の話をしっかり聞いた上で依頼者に対して、聞いた話を書面に組み込むことができないときちんと理由を述べて説明する必要もあります。
法律家に向いている方は、粘り強く物事を考えられる方だと思います。やはり実際に起きている紛争というのは複雑で難しいものばかりです。一度書面を書き上げてもあとで見てみると「やはりこういう表現の方が裁判官に伝わりやすいかな」といったことが後から見えてくるというのはよくあるので、一回作った書面もそのまま出すのではなく「もっといい書面ができるのではないか」ということでちょっと時間を置いて見直して、書面をブラッシュアップしていくというような粘り強さが必要なのかなと思います。あとはやはり人の話を聞くということだと思います。依頼者がどういうことを考えていて、どういう希望を持っていて、それをどうやって叶えられるかを考える上で、依頼者の話をしっかり聴くということは重要だと思います。
よく弁護士業界も飽和していて「もう仕事がない」なんてことが言われることもあるのですが、私自身はそうは思っておりません。中小企業の経営者の方とお付き合いをしているとまだまだ支援の手が届いていないのが実情です。税理士は税務対応の関係でどうしても必須になってくるので、中小企業についておられるのですが、弁護士がついていないとか顧問がいないとか、そういった中小企業はまだまだ多いので、潜在的なニーズはまだまだあるのではないかなと思っています。あとは最近だとAIとか、新しいビジネスも色々出てきていますので、こういったことに対して弁護士として対応するというのが今後も必要になってくると思います。弁護士はまだまだ希望のある仕事だと思います。夢を持って頑張って頂きたいと思います。