長く働き続けられる仕事をしたい思い。育児をしながら弁護士業務を。
八幡優里先生
経歴 2007年 渋谷教育学園渋谷高等学校卒業
2011年 早稲田大学 法学部卒業
2014年 東京大学法科大学院修了
2016年 弁護士登録(東京弁護士会)
2021年 東京エクセル法律事務所入所
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。
八幡優里弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~
まず小さい頃から漠然と「長く働き続けたい」という気持ちがありました。私が小さい頃は、「バリキャリ」とか「キャリアウーマン」っていう言葉が広く言われるようになった時代で、あまりワークライフバランスであるとか、仕事と家庭の両立とかの面についてはまだあまり注目されていない時代でした。そんな中で子育てもして働いてというのは将来的に肩身が狭くなるのではないかなという気持ちが漠然とあったのを覚えています。その際、両親と話しているうちに、資格業であれば子育てをしながらでも、例えば産休育休を取った後でも復帰ができるのではないかというふうに話が進み「あ、そうか」と思いまして、長く働き続けられる資格を取ろうと思いました。その中で、父が法学部出身だったということもあって「弁護士という強い資格であればきっと子育てした後でも復帰できるだろう」ということで、それがきっかけで弁護士を目指すことになりました。
私は今子育てをしながら弁護士業務をしているのですが、思い描いていた通り産休を取って復帰することができましたので、その点は本当に良かったと思っています。仕事を続けられるかも不安だったのですが、実際に今子供を産んだ後もこういうふうに弁護士としての仕事を続けることができたので、その点は資格業の強みだと思っています。
弁護士として働くにあたってのワークライフバランスの取りやすさは担当している事件でしたり、お仕事の内容によると思います。私の場合、子供を産む前は基本的には訴訟等の事件が多かったです。事件となるとやはり緊急に対応しなければならないことも多く、基本的には夜も働くし必要な時は土日も働くという形ではあったのですが、今は仕事量をセーブしたり、仕事の性質を変えていくことでワークライフバランスが取れるようになってきたと思います。
具体的に司法試験に向けた勉強をスタートしたのは大学に入ってからです。法学部に入ったのですが、結局のところ法学部生は司法試験の勉強をする人と就職する人で分かれ、勉強量が全然違ってきます。それに気づかず大学1年生の時は学部の勉強だけをしていて、それだけピンポイントで対策すれば結構良い成績が取れたりするのですが、それで安心していたんです。ところが大学2年生になって「あれ、おかしいな」となりました。どうも司法試験を勉強している組と知識量も実力も違ってきていると段々気付き始めて「これはまずい」と思いました。私は司法試験のルートに乗っていないということに気づいて、大学2年生の時に伊藤塾に入らせていただきました。
大学の学部で大教室の授業だとあまり関係ないとは思うのですが、ゼミなど少人数になってきて、教授とのやりとりが勉強の主になってくると、伊藤塾で司法試験向けの勉強をしているか、していないかで全く応答が変わってくるという印象です。
私の所属する東京エクセル法律事務所は、パートナーが各自で色々な分野を取り扱っている事務所です。したがって私がご紹介できるのは私がやっているところだけになりますが、現在労務関係がメインになっています。社労士の先生方からの労務相談であったり、使用者からの法律相談に回答する等です。ほかには契約書のレビュー、新規事業の開拓にあたっての法令調査や裁判例調査のリサーチなどの一般的な企業法務を行っています。あとは個人のお客様ですと、前に所属していた事務所でも多く取り扱っていた家事事件が多いです。
元々労務関係の仕事に特別興味があったわけではなかったのですが、労務実務の最前線を走っている社労士の先生からの労務相談を続けていくと、これが楽しいんですね。色々経験を積んでいく中で興味のある分野が開拓されていき、それに注力していくという感じです。実は前の事務所で一緒にお仕事をさせて頂いていたパートナーの先生がこちらの事務所に移籍していて、私は妊娠を機にキャリアについて考えることがあって前の事務所を辞めたのですが、その後に縁があってこちらに移籍させて頂いたという経緯です。
弁護士の仕事にやりがいを感じる瞬間ですが、特に個人のお客様ですと、法律相談に来た時点はものすごく顔が暗いことがほとんどです。人生最大のストレスです、という面持ちで、とても落ち込まれて来られる方多いのです。ただ、法律相談の短い間でもきちんと見通しが立って、それが仮に自分が望むような結果や見通しではなかったとしても、見通しが立つことによって顔が明るくなるんです。「あ、こうなるんだな」と、将来が見通せて不安が減るようです。それで「良かったです、ちょっと落ち着いて帰れます」と言っていただける瞬間にすごくやりがいを感じますね。こちらが不安な顔をしているとご依頼者もさらに不安になってしまうので、私は絶対に不安な顔をしないようにしています。
例えば離婚の家事事件ですと、ご依頼者にお子さんがいることがとても多いです。お子さんの話も聞いていくわけですが、だんだん事件が解決していくなかで「この間子供から「お母さん顔明るくなったよね」と言われました!」というような、家庭の中の様子も明るくなっているのが見受けられる時があって、その時は本当に嬉しいですね。
伊藤塾で学んだことが今繋がっているという点は、実際知識がどうというよりかは話し方ですね。講師の先生方って法律的なことがよくわからない人に噛み砕いて教えるプロなので、難しい用語を使わずとも感覚的に理解できる言葉を選んで説明して頂いていたんだなというのがありまして、それを念頭に置いて依頼者に話すようにしています。
弁護士に向いている人についてですが、これは私の周りの先生方を見ていてもよく思うのですが、良い意味ですごく「お節介」であることと思っています。人の世話を焼くのが好きな人が多いです。最終的に今の分野に注力したきっかけとか、色々なことを他の先生方に聞いたりもするのですが「人の役に立ちたい」という方がとても多く、そういった意味で「人の役に立ちたい」「人のお世話を焼く」「自分の知識を活かして人を救いたい」などといったマインドのある人が実際向いているのではないかなと思います。
求められる力としてよく思うのが、司法試験に受かっても次は2回試験、ということで法曹の道はとにかく試験が多いです。試されることが多くて、伊藤塾でも答案出してはボロボロになって返ってくるというのがあったので、へこたれないと言いますか、「どこがダメでどうすれば良くなるのか」というのを石にかじりついてでも頑張れるというのが資質として大事なのかなと思います。
司法試験受験生は周りの制度からの影響を大きく受けやすいと思っています。旧司法試験がなくなってロースクールができ、予備試験が創設され、そうかと思ったら合格者数を一気に1500まで減らしましょうとなったり、外からの影響を受けやすいです。コロナで日程がずれることもありましたし、そういう意味で言うと「合格」って言う一点だけを目指していると本当にぶれやすいのかなと思います。今勉強していることは必ず、合格してもしなくても役に立つと思い、勉強していただく方がいいのかなと個人的に思っています。