法律家に向いているのは「社会に興味のある人」
小佐々奨先生
経歴 2003年 私立広島学院中学校卒業
2006年 私立広島学院高等学校卒業
2011年 早稲田大学法学部卒業
2013年 早稲田大学法科大学院修了(法務博士)
2015年 最高裁判所司法研修所修了(68期)
2015年 弁護士登録、法律事務所ヒロナカ入所
2022年 三村小松山縣法律事務所入所
(取材時2021年9月)※2022年1月より三村小松山縣法律事務所に在籍
弁護士になりたいなと漠然と思ったのは、おそらく小学校くらいの時だったと思います。自分の世代になると、「HERO」などのテレビドラマを通じ、法律家に触れる機会があり、法曹といった職業には興味がありました。幼い頃の文集などに、なりたい職業として「弁護士」などと書いていた気もするのですが、実際はそこまで熱望していたり、本当になりたいとはあまり思っていなく、なんとなく興味のある職業の一つでした。最終的に弁護士になろうと思ったのは大学生になってからです。それまでは理系に進もうと思ったりした時期もありましたが、法学部に行ったこともあったので、周りに目指す人間も多く、そういう中で伊藤塾に通う同級生もいましたので、自分も目指してみようかなと思い今に至るという感じです。
大学生活は、法律系サークルでの活動と伊藤塾が中心となり、大学の授業はどちらかというと試験中心主義の学生生活を送っていたので、興味のある授業しか真面目には受けていませんでした。伊藤塾と大学生活の両立という面において苦労することは全くありませんでした。というのも、法学部だったこともあって、伊藤塾で得た知識がそのまま活きるからです。伊藤塾で学ぶものは実務寄り、大学の授業は学問的に法律を学ぶことになりますが、根底は同じ法律なので双方関係があるといいますか、こちらで学ぶことも使えるし、あちらで学ぶこともこちらに使えるという具合に、お互いに邪魔し合うものがなく補完しあうものだったので不都合はなかったです。
伊藤塾には大学1年生の頃から行っていたので、ゆっくりできて余裕があったからこそ、他の活動に時間も充てられたのかなと思います。また、メリットとして早く勉強を始めることにより、自分が法律家に向いているか向いていないかということが早い段階で分かるということもあります。やはり大学生は3年生くらいになった時、本気で就職なのか、法曹になるならば予備試験なのかロースクールなのかということを考える際、その時になって悩み出し勉強を始めるということになると遅いですからね。
現在所属させてもらっている事務所は、法律事務所ヒロナカという事務所で、弘中惇一郎弁護士を代表とする事務所です。割と著名な刑事事件を扱っていることが特徴としてあります。ですので、世間的に刑事事件のイメージが強いと思いますけれども、事件件数としては圧倒的に民事の方が多く、その民事の中では名誉毀損の訴訟、週刊誌などで書かれている毀損されている側などの訴訟を多く扱っています。特徴をあげるとすればいわゆる訴訟系といいますか紛争系の事務所となっており、基本的には裁判所での訴訟を前提としたような依頼が多いです。顧問業務などがあっても紛争を前提とする訴訟や事件を多く取り扱っています。今8名の弁護士が所属しているのですが、大きな刑事事件の時は8名の弁護士フル動員で一つの事件にあたりますが、多くは2人1組くらいであたります。
弁護士の仕事としてやりがいを感じるのは、ありきたりなものとしては何か自分のことで紛争が解決して感謝されることです。弁護士は紛争の中でも場合によっては人生がかかったような時もあり、自分達が関与したことによって上手く収まった実感がある場合、達成感を感じます。紛争は初めにご相談を頂いた時から終わりが見えているといいますか「こういう解決しかない」ということが多いです。それでも勿論やりがいを感じますし、感謝されたりすると「いいことしたな」と思うのですが、そこで自分達が関わったからこそ落とし込めた解決があると、自分達の経験や知識が上手く噛み合ったと感じ、その瞬間というのは面白いですし、やりがいを強く感じます。
あとは日々のこととして、多くの人と関われるということです。同じ職種の人たちだけではなく、社会の中で働く仕事なので色々な場面において、色々な人と出会える。そういう出会いみたいなものもやりがいとしてはすごく感じます。
取り扱う事件について未知の分野のものもあります。その際は自分達だけで勉強することもありますが、多くの場合は依頼者が一番の先生といいますか、依頼者の方が自分の問題を解決するために私たち弁護士に一生懸命教えてくれます。ですので、依頼者と私たちはある意味チームのような形になるので、依頼者から抵抗なく色々なことについて学べるという印象です。法律の問題でしたら、新しい分野や争いのある分野ですと、「調べてみます」という感じで引きとることも多いですが、法的な問題以前の前提事実についてや、法律とは別の専門分野については、下手に知ったかぶりしても意味がないですから、紛争を解決するためにきちんと教えてもらいます。紛争を解決するために利益になるならば分からないことは分からないと言うべきですし、分かるまで時間をかけて教えてらうべきだと考えています。
あたりまえですが法律知識の前提は伊藤塾で勉強したことがベースであります。先ほどの話ではないのですが、今まで触れたことのない特別法など、訴訟上で関係してくるとなったら0から勉強しないといけないことになります。自分の場合は法律の勉強を始めたのは伊藤塾での勉強でしたので、全く知らない法律をどうやって勉強していくのかを学びました。伊藤塾で「こういうふうに最初は本を読み始め、体系的に見ていけば法律は少しずつ分かってくるよね」などといったことを学びましたので、そういう意味において今でも同じやり方をしていると思います。
先日、最高裁が主催となり弁護士会と検察庁と合同で企画した「法曹という仕事」という企画がありました。実務家と200人くらいの中高生とをZOOMで繋ぎ、オンラインでコミュニケーションをとる企画なのですが、弁護士側の代表で出させて頂きました。学生さんは皆「弁護士に興味がある」とか、「どういう人が向いていますか」といった質問をされ、私がその時に考えて思ったのはやはり法律家というのは実務家なので、どんな分野であったとしてもとにかく社会に興味がある人が向いていると思います。「自分は理系なので弁護士を目指すことをやめたほうが良いですか」という質問などについても、私は、全くそうは思わなくて、理系分野の弁護士もいますし、どれだけ社会の営みとか人々に興味が持てるかが大事だと思っています。そもそも法律の知識以外に興味がないと実務家には向いていないと思います。逆に興味があって何かをしたい、そのツールとして法律を使い何かをしたい、こうしてあげたい、こうなったらいいなといった具合に興味のある人というのは、目指すべき職業だと思っています。法律が好きというよりはとにかく社会に興味がある方ということです。学生さんにも言ったのは、とにかく色々な経験をしておくべきということを伝えました。自分は文系で弁護士になりたいから文系に進み、法学部に入り、法律のことしか考えないというのは勿体無いなと思っています。大学生や高校生はあまりアルバイトなどできないかもしれないですが、色々なアルバイトをして、色々と勉強し、「自分はこういうことに興味がある」と確認したうえで、弁護士になった人はその経験が全て法律家として意味のあるものになると思います。したがいまして、どういう方が法律家に向いているかというと、社会の営みに興味のある人達であれば全員法律家に向いていると思います。
今まで話したことと関係しますけれども、法律家というのは全てに興味を持っていないといけないですし、興味を持つだけではなく、その興味に基づいて勉強し続けなければならないと思います。それは法律の勉強もそうですし、そうではない勉強も含め常に何かしらに触れ、新しい知識を入れていかないといけないと思います。そういう意味では、先ほど伊藤塾のお話もしましたが、何事も最初の勉強というのは怖いしやり方も分からないし、どう始めたらいいか分からないものです。そんな中、自分なりにルールや、こうやって始めていけば少しは始められるというやり方を自分なりに作り上げて、あとは新しい分野を怖がらず、色々なことに手を出していき、常に新しいものを自分の中に入れていく姿勢を持って頑張っていただくのが一番法律家としては大切なことかなと思います。これから目指される方もそういう姿勢を大事にしていただければ良い経験ができるはずです。
法律事務所ヒロナカ
■事務所住所
法律事務所ヒロナカ
〒102-0083
東京都千代田区麹町2丁目4番地
麹町鶴屋八幡ビル5階
03-3234-0507
http://www.office-hironaka.jp
(取材時2021年9月)
※2022年1月より三村小松山縣法律事務所に在籍
【事務所プロフィール】
三村小松山縣法律事務所
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1丁目7-12サピアタワー8階
03-6275-6013
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