伊藤塾の基礎マスター刑法で養った「法的なものの考え方」が実務に直結

澤木謙太郎先生

経歴  2009年 立命館大学法学部卒業
    2012年 中央大学法務研究科(法科大学院)修了
    2014年 司法試験合格
    2015年 第一東京弁護士会登録
         浅沼・杉浦法律事務所入所
      


※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

澤木謙太郎弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 弁護士を目指したきっかけですが、ぼんやりとしているのですけど、なんとなく社会に携わる仕事をしたいなと高校生の時に思い、記者などもいいなと思ってはいました。そのような中、色々と話を聞いて行くうちに、事件や社会の問題などに直接携わって解決できるのは弁護士という仕事なのかなと思いましたので、弁護士になろうと思いました。
 大学に入学してからは伊藤塾には一応通わせて頂いていたのですが、正直なところ遊び呆けてしまいました。弁護士になりたいなと思っていたものの、二の次で遊んでいました。
 本格的に勉強をスタートしたのは、大学を卒業した段階です。ロースクールの受験をするため伊藤塾で勉強をして、答練なども週一くらいで受け始めました。当時地元の静岡の方に帰っていて、34ヶ月根詰めて勉強をし、それでロースクールに合格してという感じです。遊び呆けていたというものの、法学部ではありますので、若干の法律知識はあったのですが、再度勉強をスタートした際の伊藤塾の答練が自分にとってとても身になったと思います。またシケタイなども情報がまとまっていることから、知識を整理するのに役立ったと思います。
 学部時代、自分の周囲に司法試験を受験する人がいませんでした。大学は立命館なのでいるはずなのですが、周りの友達に不真面目な友人が多かったのでいませんでしたね(笑)。そのような状況でしたので、私は法科大学院を受験する段階だとあまり情報がありませんでした。そのことからも伊藤塾さんに通い様々な情報を得ることができたので、本当に助かったなと思います。正直なところ、大学の授業で何かを得たということは少なかったです。伊藤塾では基礎マスター、特に刑法などは面白かったので当時刑法的なものの考え方に興味を持ち、自分で基本書を買って読んだりもしていました。そういうところで知識を蓄えていったのかなとは思います。

 浅沼・杉浦法律事務所は少し変わっている事務所です。先代の浅沼が開いた事務所でして今二代目の代表である杉浦が勤めている事務所です。先代の浅沼がゾルゲ事件の弁護人をしていたりですとか、今の杉浦は元法務大臣を勤めていたり少し変わった経歴の事務所です。今いる同僚がロックバンド「フジファブリック」の初期メンバーでしたり、僕以外すごい人ばかりです(笑)。案件につきましては、個人も法人も半々くらいなのですが、普通の法律事務所より幅が広いかなとは思います。あまり他だとできないような事件もやっておりまして、例えば医療事件なんかもやりましたし、建築関係の事件もやりました。あとは名誉毀損関係などもやりました。一般民事では個人の相続とか離婚もやりますし、法人関係の案件もやります。あまり普段やらないような事件も多いので、知らない分野と出会い、その度に新しい知識をインプットしなければならないため、その時の対処は結構大変だったりします。初めの頃はできるのかなといった不安が強かったのですが、今は出来るか出来ないかという話ではなく「やらなきゃ」となり気持ち的も楽にはなってきました。


 弁護士になってよかったなと思うのは、お客さんに喜んでもらった時に嬉しいというのは先ずあります。「本当にありがとうございます」と言ってもらった時はやっていてよかったなと思います。色々な方がいらっしゃいますが、自分が書面に込めた気持ちが伝わった時は本当に嬉しいなと思います。あとはさきほども出た話なのですが、専門的な知識を要求されるような案件で自分の前提知識が0みたいなこともあったりします。それは法律的にというよりも例えば医療の知識だったり建築の知識だったり、元々自分に前提がないようなところで書面を書かないといけないとなった際、企業の担当者さんと打ち合わせを繰り返しするのですが、法律以外の専門知識を自分なりに理解し書面に落とし込めた時はすごく嬉しいです。そもそも知的好奇心が高いのだと思います。ただ文系なので理系の知識があるかと言われると、そうではないのですが、やればなんとかなるという感じですね。あとは、解雇案件とかで会社側の案件を取り扱ったりするのですが、ある分野の経済的な市場の変遷とかも調べたりしています。経済的にこういう要因でニーズが上がったり下がったりというのを調べて、それを書面に落とし込めた時は嬉しかったですね。
 書面に落とし込み文章にするということは、自分の知識精度が上がっていないといけないと思います。依頼者さんに書かせてしまってそのまま出す事務所もあると聞くのですが、やはり自分が分かっていないと裁判官にも伝わらないのかなと思います。お客さんは専門家なので自分たちの言葉というか専門用語でそのまま解釈できますが、専門用語で書かれたことを僕らが見てもわからないですし。当然裁判官もからないので、それをいかに上手く説明するかというのは大変ではありますが達成感があります。法律以外の知識または事実についても依頼者さんが一番知っていますし、専門知識も一番あるのは依頼者さんなので、そこは当然依頼者さんの話を一生懸命聞くのがまず仕事かなと思います。それにはコミュニケーションも必須ですし、自分なりにこうじゃないかなと常に考えながら聞く力というものが必要だと思います。自分が納得できているのかという点は常に意識しています。
 私が思うのは自分で読んでわからないものは裁判官にもわからないだろうと思っていますので、常に意識しているということです。

 伊藤塾で勉強をしたことが今に繋がっていることとして、色々あるのですが、例えば基礎マスターの刑法を勉強した時に、刑法的なものの考え方があると思うのですが、要件がまずあって、そこにロジカルに事実を当てはめていくという、法的な考え方がとても役に立っているなと思います。受験生時代に勉強した内容が実務の現場で全く同じではないとは思いますが、大いに役に立ちます。やはり基本書などで勉強しているとブロックみたいに物事を考えることが法律では必要だと思うのですが、そういうのが中々身に付きづらいと思っています。伊藤塾で真面目に学んだ時の、特に刑法を学んだ時のブロック的に物事を考えるというのはその後実務の現場において活きているなと思います。
 あと、司法試験の時、自分は大学院の時に触れた問題に対し、常識に照らし合わせ「これはおかしい」と思ったりしていました。周囲の人などは「原則通りに考えたら」というところで終わっている人が多かったです。ですが自分は「それは常識的に考えておかしいだろう」ということで納得できずにそうではない答案を書いてしまったりもしました。答練でそういう答案を書いた時に一回二回やって駄目だったのですが、3回目に少し意識をして、原則をまず書いた上で応用させ、それで結構いい点を取れるようになりました。そこから書き方そのものが変わったなと思います。点がもらえるようになったので自分なりの回答を書きはするのですが、基本的な型を意識して表現するということを教えて貰ったからだと思います。
 答練につきましても、初めは低い点数が返ってきたら、くやしい思いを抱いたりしていましたけど、「何が駄目なのだろう」というのを意識して、「次は意識的に変えてみよう」と思い、その後、模範答案的な回答じゃなくても良い点を貰えるようになったのは、自分の中で司法試験への自信になりました。そこの変化が一番大きかったかなと思います。

 法律家に向いている人は、これは個人的な意見にはなるのですが、常識と法律の原則を常に照らし合わせて何が最終的にベストかというのを常に検討できる人かなと思います。これはそれまでの自分の経験などから得られた知識がそこに投影されると思います。自分が遊んできたなと思う分、その点はある意味強みになっているのかなと思います。あとは色々な分野の本を読んだりしているのでそういうところだったり、色々な人と話もしてもいるので、そういう経験が活きているのかなと思います。ですが、自分が「これが良いだろうな」と思っても、それが本当に正しいかどうかなんて誰も証明してくれないと思っています。裁判官は一応こうですよと言いますが、それが本当に客観的に正しいかどうかも分からないので、正解がわからない中においても自問自答し続けるということは大事だろうなと働きながら思っています。それは結構ストレスにもなったりしますし、逆にやりがいにもなるので難しいところですね。


 弁護士という職業は本当に精神的にも肉体的にも大変だと思います。みなさんが想像されているよりもストレスになりますし、大変な時は夜中ずっと仕事をしたりすることもよくあります。ですが、本当に良い解決ができた時の喜びというのは他の仕事では味わえないものがあると思いますし、法律という武器を使って物事を解決するというのは弁護士だけのものだと思います。受験も大変ですし、修習もそれなりに大変ですし、働き始めてからもそれなりに大変だとは思いますが、他の職業じゃ得られない楽しさのある職業だと思います。頑張ってください。

浅沼・杉浦法律事務所

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