何か一つ人より秀でた長所があれば弁護士という職業に向いています

長谷川達紀先生

経歴  2009年 福島県立白河高等学校卒業     2013年 中央大学大学法学部卒業
    2015年 慶應義塾大学法科大学院修了
    2016年 豊島総合法律事務所入所
    2016年 弁護士法人かりゆし本部芝神谷町法律事務所入所
    2021年 弁護士法人若井綜合法律事務所入所

   

     
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

 私の父は企業に勤めるサラリーマンなのですが、私が小学生の時、父が働いていた会社が潰れてしまいました。その理由が会社の役員の不正会計でした。もちろん会社が潰れたのでクビになってしまい、当時父は課長だったのですが、家族もすごく大変な状況に陥り、しかもバブル崩壊後だったこともあり転職も厳しい時代でした。私の両親はとても仲が良かったのですが、当時私は小学三年生ではありましたが、子供である僕にも「働きもしないでタバコを吸っている」とか母親が愚痴を言うようになりました。役員の不正会計というこちら側に全く非のない理由で不利益を被って家庭も壊れるようなことを防ぐことができれば、不幸な家庭を産まなくて済んだという思いがあって、法律を用い事前に防止できる仕事、チェックできる仕事は弁護士だと小学生の頃に思いました。
 中学に進んで大学のことなどを調べていくうちに、「中央大学が、最も司法試験の合格者が多いんだ。であるならば中央大学に行こう」となって中学生時代の多くは中大合格に向けて考えていたりとかして、それで勉強を頑張って文系に進もうとなりました。

 弁護士になってから、今の事務所が三つ目の事務所になるのですが、一つ目の事務所が先ほど申し上げた通り不正会計に関する企業の予防法務などを受け持つ事務所でした。使用者側の事務所だったのですが、不当解雇とかそういうところを無くそうと予防的なことをしている事務所に入りました。すごく良い事務所だったのですが、やってみたら僕は細かいチェックとかが苦手であることに気づきました。就労規則のチェックなどが苦手で嫌いなんです。そのことに入所してから気づきまして、夢を見ていたけどやはり適材適所ってあるなと思いました。そのことから企業法務は自分に合わないと思ってやめて、真逆の方に行こうと思い離婚を専門に取り扱っている事務所に行きました。自分は結構話をするのが好きなので離婚事件にすごくマッチして、それで「自分はここだった」と思って、5年間くらいは離婚事件を専門にやってきました。離婚事件は最初に感情的になっている相手方とやり合ったり、調停員と話をして交渉したり、裁判の手続きとかも学べて書面も作らなければいけないので書面の作成能力も問われます。基本的な弁護士の必要なノウハウや知識、その辺りを学べたのである程度どんな案件でも最低限対応できる能力は身につけたかなと感じたので、離婚という専門分野、得意分野を作ったので、そろそろステップアップして他にも幅広く色々な案件をやっている事務所に入ろうと思って、今年の7月からこの事務所にそのような経緯で入所させていただきました。
 今の事務所も基本男女トラブルと銘打っているのですが、幅広い分野を取り扱っていて、ストーカー被害に遭っていますとか、不当な金銭の要求をされていますとか、そういう事件を多く扱っている事務所です。感情的になって言ってくる相手方に対して説得して解決に導くみたいなことをやったりしています。あとはシンプルな債券回収とか、幅広く今はやっております。皆さん良い方ですごく楽しく仕事させて頂いております。
 以前の事務所で離婚案件がたくさんあったので、かなり経験を積ませて頂きました。午前に調停2時間やってそのあと移動して午後調停やって、そのあと裁判やって帰ってきて、そのあと新規の相談を二件やってみたいな感じでした。
 一所目と二所目を比較すると毛色が全く異なる事務所で、担当している分野も異なりますが、それぞれの経験はかなり活きています。どっちも知っているので、最初の事務所は企業法務ですごく真面目な事務所でしたので、マインドは教え込まれたというか鍛えられました。それこそ午前2時くらいまで働いていたりしました。そこで鍛えられたからこそ二所目の離婚関係で感情的になる依頼者と対峙したりしてもそういう経験がベースになっているみたいなことがあったりすると思います。
 相談者にも色々なタイプがありますので人間性を見極める必要があります。捲し立て自分が悪いと思っていないタイプの人は説教タイプで行くのもありますし、今は感情的になってめちゃくちゃになっているけど、この人は話せばわかるなという時は、まずは説教から入って途中から「別にあなたの気持ちを理解してないわけじゃないんですよ」と宥めるとかもあります。
 メンタルはかなり鍛えられますね。弊所の弁護士はその辺りは慣れているというか強いです。全く臆さないです。

 仕事のやりがいについては、すごいベタですけど、やはり依頼者に感謝された時ですね。「本当に先生に依頼して良かったです」とか「ありがとうございます」とか、そこに尽きますよね。
 依頼者の方も和解となるとお互い譲歩しないといけないんです。結構和解で解決する案件が多いので、納得感の無い方も結構いて「先生早く事件を終わらせたいからこれで終わらせたんでしょ」みたいなことを後から言われることもありますし、それってやむを得ないので、最終的に依頼者のためになっているからここで和解した方が絶対良いという判断のもと、僕も「不満を持ちつつもその後その人は幸せになっている」と思い込んでクレームとかは目を瞑るようにしています。相手方よりも人柄を見るという意味でいうと依頼者ですね。「この人はこうやったら満足する、こう宥めたら納得してくれる」とか、依頼者の方の属性といいますか性格とかをよく見ますね。中には圧勝したのにキレる人とかいますからね。

 伊藤塾で培ったこととして、もちろん勉強面は当然役に立っているのですが、ベースである法律の知識という意味でベタな回答になってしまうのですけど、結構自分は先生とかとご飯を食べにいったりするんですね。そうするとやはり喋りが上手いと感じることが多いです。そこはすごく尊敬していて、伊藤先生もそうですけど話が上手いのでその辺りは普通の弁護士業務をやっている中でもやはりうまく話せると相談者も「この人だったら任せられる、期待できる。」というところで新規の受任にも役に立っているでしょうし、あとは相手方を説得するときも説得力があれば、そういった力は役立っていると思います。何かこの話し方を真似しているとかそういうわけではないのですけれど、上手いなと思うのでそこを目指してきたというのはあります。

 法律家に向いているタイプは色々とあると思うのですが、よくコミュニケーション能力が高い人とか聞きはするのですが、特にそれは関係ないと思っています。四大事務所とかでも部門が分かれていて、コミュ力があまりない人でも文献などのリサーチ能力に優れていて、訴訟部門に配属され、判例を調べて相手の主張の細かいところを突っ込むところで大活躍されている方もいるので、何か一つ秀でたものがあれば向いていると思います。能力としてなんでも良いと思うんです。僕はリサーチとかあまり得意じゃないのですが、人と話をするのと仲良くなるところが得意だと思っているので、そこが仕事にも活きていると思っていいます。何か一つ「自分はこういうところが得意です」というのがあれば全員向いていると思います。そういう意味で「こうだからこう」というのはないと思っていますね。みなさんそれぞれ特徴を持っていて、今の事務所とかは他の事務所に比べて冷静沈着なところがすごいなと思います。僕は結構相手方がめちゃくちゃなことを言ってくると怒ったりするので、自分が感情的になることもあったりしますが、淡々と処理する方もいれば書面がすごく上手な方もいれば、リサーチ能力がすごかったり物凄く真面目で丁寧さを心がけていたりとか、それぞれ大きな長所を持っていたりします。そこの長所に気づける方だったら全員向いていると思います。

 弁護士は飲み会とかに行っても人気者になれますよ(笑)。弁護士をやっていると言うと「え?弁護士さんですか!?」みたいな。医者の十分の一しかいないと言われているので、それで「どんなことやっているのですか」とか質問をされ、守秘義務の範囲内で話したりすると盛り上がったりします。あとはマニアックな話ですね。例えば離婚について色々と知られていない部分で、「DVの証拠三点セットはなんだ?」みたいなクイズを出したりなどして、結構人気者になれるので面白い仕事だと思います。

弁護士法人 若井綜合法律事務所

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