弁護士に必要な高いコミュニケーション能力は伊藤塾の仲間と培いました
稲葉 直樹 先生(弁護士)
はじめに
私が初めて弁護士になろうと決意したのは、大学1年の終わり頃でした。大学生になったばかりの私は、アルバイトと遊びに明け暮れ、暇があれば、サークルや飲み会に行っていました。しかし、1年ほど経ったあるとき、このままでいいのか、と考えるようになりました。そこで、司法試験を本気で考えるようになりました。 司法試験へのチャレンジを考えるにあたり、受験指導校選びが、最初の難題でした。いくつか受験指導校を回り、どのような講義をしているのか、費用はどうなのか、アフターフォローはどの程度やっているか等の観点から、一番自分に合っているのはどこか考え、結局、伊藤塾にすることにしました。
その後、在学中も含め、司法試験に6回のチャレンジの末、合格しました。
合格後、司法研修所に入所し、裁判所、検察庁、弁護士の修習を行いました。
私は、もともと自由に仕事を行いたいという希望がありましたので、最も自由度の高い弁護士になることに決めました。
弁護修習中、成田慎治法律事務所で研修を行いました。
弁護修習では、特に人間関係に恵まれ、ボス弁や兄弁、事務局とも仲良くなることができたので、結局、修習先の成田慎治法律事務所へ入所させていただくことになりました。
交通事故案件を通して
現在、私は、交通事故に関する案件を一番多く取り扱っております。現在の車社会において交通事故は、必ず発生するもので、被害者も加害者も、「運が悪く」巻き込まれた方がほとんどです。そのような方は、当然、自分の置かれている法律的な状況をあまり理解できておらず、被害者であれば、どの程度、被害回復を図ることができるのか、加害者であれば、どの程度、賠償をしなければならないのかを、正確に認識していません。各損害の内容を法的に整理出来ている方は、皆無に等しいといえます。
そこで、我々弁護士が介入することにより、その点を整理して、請求できるものは請求する、賠償しなくていいものは賠償しないという話を進めていくことになります。
ただ、一般の方であれば、当然、各損害の法律上の根拠や考え方などを知らないわけですから、どのような根拠でそれを請求するのか、もしくは、賠償しないのかをしっかり説明する必要があります。そこで、法律用語をいかに平易な言葉で説明するかの能力が問われます。
いずれにしろ、各当事者に対し、できるだけわかりやすい言葉を使って説明し、両者を説得して、それぞれに納得していただき、最後に依頼者の方に感謝されたとき、一番、やりがいを感じます。
伊藤塾での議論が説得力UPに
前述のとおり、私は、現在、交通事故に関する業務を一番多く取り扱っており、解決には、各当事者への説得が非常に重要なポイントになります。そして、そのためには、法律用語をいかに平易な言葉で説明するかの能力が問われます。
伊藤塾に通っていたときには、ラウンジなどで、仲の良い受験友達と、各論点の考え方など、法律に関する議論をよくしていました。その際は、お互いがまだ素人ですから平易な言葉で説明しないと、当然、お互い何を言いたいかがわからず議論になりません。そこで自然と、法律用語を平易な言葉で説明することができるようになりました。この能力が、現在、各当事者への説得という点において、役立っています。
新時代、内定に必要な能力
司法試験制度が変わり、法曹人口が増加したことにより、就職難が大きく取り沙汰されるようになりました。
しかし、どんなに就職難の時代でも、能力のある人間は、複数の企業から採用されていたように、法曹においても、能力のある人間は、複数の事務所から内定をもらうことが出来ています。
ただ、ここでいう能力とは、単に法律をよく知っているということではありません。弁護士業界の場合、当然、依頼者は人間であり、相手方も人間です。そして、いかなる場合も各当事者への説明は不可欠です。交渉案件であれば、当然、相手方や依頼者を説得する必要がありますし、裁判案件であれば、裁判所をいかに説得するかが、重要なポイントになります。そこで、自分の伝えたいことを、いかに人にうまく伝えるか、それが非常に重要な能力となります。
よって、弁護士である以上、法律を知っていることは当然必要ですが、それだけではなく、人との間のコミュニケーション能力が、非常に重要な能力であると考えます。
私は、ほとんどの事務所では、この能力を一番重要視していると思います。就職難といわれてはいるものの、この能力があれば、内定をもらうことは十分可能だと思いますので、希望を捨てないでください。
コミュニケーション能力を磨く
前述のとおり、私は、弁護士業にとって、コミュニケーション能力は非常に重要なポイントであると考えております。
しかし、コミュニケーション能力は、一朝一夕で上達するものではなく、日頃から、人と話したり、議論したりすることによって培われるものであると考えます。
今では、新司法試験制度・ロースクール制度が始まり、旧司法試験時代から比べれば断然、受験生仲間が増えることと思いますので、しっかり勉強しつつ、受験仲間との活発な議論により、コミュニケーション能力を向上させて下さい。ただ、議論を行う前提として、ある程度の知識や法的な考え方を身につけておくことは必要です。知識のない議論は、単なる言い合い、または、価値観の押しつけでしかありません。
私が、論文試験の添削をしていると、価値観のみを表現する答案が多く見られます。しかし、価値観のみを表現した答案は、単なる評論文であり、法律家の書くべき法律文書ではありません。
法律家は、当然に有するべき法制度の趣旨・規範の知識を有した上で、その上に当てはめを行うことによって、結論を導く職業です。そこで、しっかり勉強し法制度の趣旨、規範の知識を有した上で、しっかり議論する、この二本立てをうまくこなして下さい。そうすれば、合格は近いと思います。
皆さん、がんばって下さい。
(2010年10月・記)
【プロフィール】
2003年 早稲田大学法学部卒業
2007年 司法試験合格
2008年 司法研修所入所
2009年 弁護士登録
成田慎治法律事務所入所
■ 事務所プロフィール
成田慎治法律事務所
〒160-0014 東京都新宿区内藤町1
内藤町三洋ビル6階
■ 当事務所の所属弁護士数
3名(2010年12月現在)
■ 事務所の主な業務内容
企業法務/一般民事/交通事故 その他
■ 現在の「ある一日のスケジュール」
8:30 起床
9:00 出発
10:30 法廷(弁論期日)
12:30 事務所に戻り、電話対応 兼 各種通知書起案
15:30 昼食
16:00 事務所に戻り、電話対応 兼 各種通知書起案
17:00 事務所にて打合せ
18:00 新規案件書類検討 兼 電話打合せ
20:00 準備書面等起案
22:00 帰宅
23:00 夕食等
26:00 就寝