豊富な社会人経験を活かして。一人一票運動など公益的活動にも取り組んでいます。

賀川 進太郎 先生(弁護士)

キャリアアップを目指して、社会人から法曹へチャレンジ
岡山大学ではアメリカンフットボール部に所属し全く法律には縁のない生活でした。経済学部を卒業し建設関連のソフト会社に就職しました。ベンチャー企業であった会社では営業所長まで勤め、株式の上場も果たしました。ある程度順調な生活でしたが何か足りない、とキャリアアップを目指し独立できる仕事を模索していました。会社では債権回収や不当請求、契約上のトラブルもあり法律の必要性は感じていたのですが弁護士になることは考えていませんでした。

そんな時、法律家になる二つの出会いがありました。一つ目は岡山大学の同窓会でロッキード事件などを担当された吉永祐介元検事総長のお話をお聴きし、素晴らしい先輩の存在を知ったことです。そしてもう一つは書店で偶然見つけた伊藤塾長の司法試験に関する書籍を読んだことです。専門的に法律を学んだことのない自分にも非常にわかりやすく、自分でも司法試験に合格できると思いました。そこで1年間の仕事と勉強の並行期間を経て1998年に会社を辞め、アルバイトをしながら司法試験の勉強に集中しました。

伊藤塾長の講義では「趣旨から考える」という条文の解釈をするうえで非常に大切なことを学びました。これは今でも実務をする上で当たり前に考えていることです。また、そのころ伊藤塾長に教わったことで今でも忘れないことがあります。もうだめだと思わない、あきらめない、これでいいと思わないということです。受験時代はもちろん、実務やアメリカンフットボールの試合など、人生すべてにおいて重要なことだと思って今でも実践しています。
 
豊富な社会人経験を活かして即独立

修習でお世話になった先生にすすめられ社会経験を活かして地元で独立し開業することにしました。社会経験もあり事務所経営など事業計画は心配なかったのですが、初めての弁護士業務に多少不安がありました。しかしすすめてくれた先生と同じフロアの事務所で開業することができ、手取り足取り指導をしていただくことができました。当時の岡山は弁護士数約180人弱と少なく、事件超過状況のため仕事も潤沢に回してもらえました。こうした環境もあって、業務を覚えていくのにはさほど時間はかかりませんでした。

一人一票運動に携わって

私が弁護士としてやりがいを感じるのは、相談に応えることで依頼人がすっきり笑顔になることです。そして弁護士の仕事は目の前の依頼人だけでなく、世の中の多くの方の幸福につながる可能性を秘めていると思います。現在私は通常の依頼された業務の他、社会に貢献できる仕事として、一人一票の活動と刑事弁護の改革に取り組んでいます。

一人一票の活動はいわゆる一票の格差の問題なのですがこれは民主主義の根幹をなすものです。選挙の際、当たり前のように自分は一票を持って投票していると考えていましたが実はそうではなく鳥取県の一票に対して私は参議院では0.3票の価値しかないのです。いままで受験勉強時代は3倍以上の格差がある、と勉強してきましたが0.3票しか認められていないということに愕然としました。この活動に伊藤塾長が積極的に関与されていて、それなら私も何か役に立ちたいと思い、岡山での代理人を申し出ました。居住地によって投票の価値に差があるのはまさに住所差別です。格差は少なくすればいいのかもしれませんが、差別ですから即刻なくさなければいけません。私は自分自身の票はもちろん、全国民一人ひとりが同じ一票で投票できるよう活動を続けていきたいと思います。

もう一つは刑事弁護の問題です。現在刑事委員会の委員長を務め様々な制度の矛盾点を改革するよう努力しています。たとえば少年事件の付添人は国からの費用が出ていません。また当番弁護の費用や死刑確定後の再審請求費用も同様です。このような大きな問題点を少しずつですが指摘しています。幸いなことに岡山には、財団法人リーガルエイド岡山という団体が司法福祉の充実を目指しています。ここと共同して活動することで大きな力になっています。もちろん報酬などありません。ただ、間違ったことは正さなければいけない、それを是正していけば多くの方が幸福になる、と、弁護士としての使命感で活動しています。
 
根性! 努力! 工夫!

弁護士には論理力と説得力が必要です。係争は二者対立構造ですから一歩引いて相手の立場を理解することが大事です。相手との信頼関係を得ることで、結果としていた依頼者の利益にもつながります。また私の信念としている言葉に「根・勘・運」という言葉があります。根は根性や努力、勘は仕事の工夫、そして運気です。ですが、工夫がなければ根があっても成就しません。そして、どんなに頑張っても運がなければ失敗することも知っておかなければならないと思います。
 賀川 進太郎 先生写真  
「お客様目線」の事務所を目指して今後は地元の企業が海外進出の際にも柔軟にフォローできるように準備をし、お客様目線で地域に密着した事務所を目指します。先日、事務所は裁判所付近の弁護士事務所密集地域から岡山駅近くに移転しました。事務所が裁判所付近にあるのは弁護士の都合で、お客様の都合を考えると市内中心部のほうが便利だと考えました。このようにお客様目線は失わず事務所を運営していきたいと考えています。
岡山は弁護士が多い地域のため権利意識も高く、新しいもの好きです。委員会活動も活発で、新しい仕組みを取り入れ情報を発信することで自ら弁護士の仕事を創っていくような工夫をしています。ベテランも含めて弁護士の仕事が変容しているので今後の発展性も望めます。
 
キャリアが活かせる社会人からの転職

弁護士の仕事は自分の価値観で仕事を選ぶことができる、数少ない職業です。やりがいもあり、自分の夢を広げていくことができます。社会人の方はコミュニケーション能力や相手との交渉力など今までの人生経験を活かすことができます。合格するまでに時間がかかってしまっても受験勉強期間は人生の一部にしか過ぎません。あせることはありません。予備試験が始まり、合格率も旧司法試験とあまり変わらないようです。社会経験豊富なみなさん、ぜひ司法試験にチャレンジしそのスキルとスピリットを社会のために活かしてください。

(2012年4月・記)

【プロフィール】 1996年 岡山大学経済学部 卒業
1998年より司法試験受験勉強開始
2003年 旧司法試験 合格

■事務所プロフィール

賀川法律事務所
〒700-0815
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旧千代田生命岡山ビル2階
TEL:086-234-8977 FAX:086-234-8955

■事務所の特長
当事務所は、ご依頼人様の抱える法律問題に対して①誠実に対応し ②十分説明しご依頼人様に納得していただき ③ご依頼人様のニーズを把握して ④弁護士倫理を順守する
以上4点をモットーに、交通事故/企業法務/刑事事件/少年事件/離婚事件/相続事件/破産事件/再生事件/不当請求事件/債権回収事件/契約書作成/建築紛争/労働問題/労災事故/境界・隣地/消費者問題/独禁法/医療過誤などの事件を取り扱っております。

■所属弁護士会
岡山弁護士会