独立開業では自分でライフ・ワークバランスをデザインでき、育児や留学など長期の計画も自由自在です。

高桑 秀長 先生(弁護士)

労働環境の改善を目指して。社会人からの一念発起

私は農学部を卒業後食品会社に勤務し、工場の現場に配属されました。働いていた工場は働く環境が悪く、労働環境を改善したいと考えていました。そのためには自分で法律家になろうと方向転換を決意し、法科大学院が創設され司法試験には8割が合格できるということで司法試験受験を目指すことにしました。しかし合格率を計算してみると合格率8割ではないと理解し、確実に合格するため受験指導校で勉強することにしました。
伊藤塾との出会いは書店で講義再現版を手にしたことです。講義再現版同様、実際の講義もとてもわかりやすく、法律の世界に引き込まれていきました。法科大学院入学の3ヶ月前から講義を聴き始め、法科大学院の授業の理解にも大変役立ちました。伊藤塾長の熱意ある講義と具体的な事例の説明で、面白みがないと思っていた憲法にとても興味がわき、司法試験は六法の暗記と思っていた私に勉強の面白さを教えてくれました。
実務に就いた今、わからないことは原理原則から考え、初めて見る条文も趣旨から考えて解釈していけば間違えることはありません。これは伊藤塾で基礎を徹底的に学び身に付けていったからだと思います。最初は定義や趣旨、要件など最低限覚えていなければいけない基礎部分が何かわからないものです。しかし講義を聴き、ランク付けをして、過去問を解いているうちにわかってきます。法科大学院に通学しながら伊藤塾の講義を聴いたのですが、大学院の授業と伊藤塾の講義の役割や効果を明確にして両立しました。
モチベーション維持には合格後のことを考えました。講義の中で伊藤塾は合格祝賀会を船上クルージングで行うと言っていたので、この時にある“お願いをする”ことを目標に頑張りました。結果としてクルージングでの合格祝賀会に参加できました。船上で伊藤塾長にお会いした時、サスペンダーをいただけないかとお願いしました。伊藤塾長は気持ちよく着用されていたサスペンダーを私に差し出してくれました。実はこれが私の目標にしていた“お願いすること”でした。今でもいい思い出として大事にとってあります。あの時は失礼なお願いにも応じていただきありがとうございました。

夢を実現するため同期の友人と独立開業へ

私は修習地に近い東海地方の事務所に入所しました。そこでは債務整理を中心に業務を学びました。しかし2年間勤務するうちにもっとやりたいことがあるのでは考えました。そんなとき修習同期の友人と飲む機会があり、実は彼も独立を考えていたことを知りました。それなら一緒にやろうと二人の共同経営で今の事務所を開設することにしました。
当時の事務所を辞めて役割分担をしながら準備を始めました。法科大学院の同級生で同期修習ですから関係も対等、相談しながら自由に意見を出し合いました。お互いの2年間の経験、分野が異なっていたので一人で考えるより業務の幅が広がります。
いざ、準備を始めると事務所の場所を決めて、レイアウトや什器の確定、備品の購入、営業計画、事業計画など、今までやったことのないような作業が続きます。こんな時も二人で開業するので非常に心強かったです。
仕事に不安もありましたが準備を進めていくうえで信頼が深まり、二人で相談すれば何とかなると思えるようになっていきました。事務所の所在地も法科大学院で慣れ親しんだ街だったので安心感もありました。こうして開業することができ、法テラスからの仕事や先輩弁護士からの紹介で仕事の依頼も増え、軌道に乗ってきた状況です。
仕事の内容は場所柄、一般の方の雑多な一般民事が多く、依頼された仕事はなんでもこなしています。自己破産や離婚事件などが多くいわゆる町弁のような事務所です。このような特性から、敷居が低く、いい意味でこじんまりした、全体が見渡せる事務所運営を心がけています。
今までの案件で印象に残っている刑事事件があります。逮捕された本人の主張が捜査機関が思い描く事件の概要と若干異なっていました。被疑者の言い分を聴き、それを裏付けるため、多くの友人や親類に連絡を取り、実際にお会いしてさまざまな証言や証拠を集めて、それを検察庁に提出しました。検察官の行う捜査と違い組織動員ができませんから、全部自分で動きます。このように苦労して集めた資料でいい結果が得られたことは大変うれしく思いました。

依頼人の人生をイメージする仕事

弁護士は自分の権限で決められる範囲が非常に大きく、方向性も自由に決められます。依頼者の話を聴き、その意向に沿って意思決定のアドバイスが行えることはやりがいがあります。日々のありふれた事件でもその人にとっては大きな事件です。その人なりの人生をイメージし、依頼されたことに応え、場合によっては裁判官に理解してもらうことはとても充実感があります。
将来はいい意味で楽しく仕事をし続けたいと思います。それには依頼者に喜んでもらえるような結末を目指し、難解な法律用語もできるだけわかりやすく説明していきたいです。また仕事は自分の正しいと思った方向で行っていきたいです。弁護士として自分なりの正義感をもち、社会の常識や要請に合わせて敏感に軌道修正しながら確固たる軸を確立していきたいです。

独立開業は自由度が高く経営の意識も身につきます

絶対に合格するという信念をもって受験勉強をしてください。いろいろな情報に手を出すのではなく正しい情報を信じて勉強すれば必ず合格できます。そして合格後の自分をイメージすることで楽しく勉強することができまさす。
私たちは独立して開業するという選択をしましたが独立開業は自由度も高く、経営の意識も身につきます。自由度が高いので自分のライフワークデザインを描くことができます。育児や留学など長期の計画も自由にやりくりできます。案ずるよりまずは一歩踏み出し、失敗を恐れず果敢にチャレンジしてください。
(2012年4月・記)
【プロフィール】   秋田県立秋田高等学校 卒業
東京農工大学農学部 卒業
関西学院大学大学院司法研究科 卒業
2007年 旧司法試験 合格
2008年 弁護士登録年度

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