基本的な法知識を修得するうえで最も効果があるのは基礎マスターだと思います。
南 謙太郎さん(21歳)
【合格校】
・中央大学法科大学院(既修)
・慶應義塾大学法科大学院(既修)
【受講講座】
入門講座本科生+リーガルトレーニング、全国公開択一答練、適性試験模試 など
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。
はじめに
私は大学1年の11月頃、司法試験入門講座本科生として伊藤塾に入塾しました。法律家を目指したきっかけはこれだ!というものは特にありませんが、高校が付属校であり大学受験をしていなかったため、ここらで勉強せねばと思って勉強を始めたのだと思います。
多くの受験指導校がある中で伊藤塾を選んだのは、(1)難解な法律用語などをわかりやすい日本語に噛み砕いた講義を受けてみたいと思ったこと、(2)説明会に参加したときスタッフの方々がとても親身になって相談を受けてくれたこと、(3)インターネットでの受講やクラスマネージャーといったフォロー制度が充実していたことが挙げられます。特に、昼間は学校へ行き、夜はアルバイトをしていた私にとって、いつでも観ることができるインターネット講義は本当に助かりました。
私がとった勉強方法
適性試験対策について
結果をみてもわかるとおり、適性試験は惨敗に終わりました。敗因は対策期間の短さにあったと思います。私は旧司法試験を併願していたこともあり、適性試験は択一試験後に少しやれば平気だろと高を括っていました。そして、択一試験終了後、1週間ほどたったころに伊藤塾で受けた適性模試で124点(日弁連型)という奇跡的な点数をとり、泣きそうになったことを覚えています。その後は本科生カリキュラムにあった適性試験対策講座基礎編を受講し、模試を受け、1日30分適性試験の過去問を解くということを繰り返しました。来年受験の方には、私のように痛い目にあわないためにも、現時点で過去問を、時間を計って一度解いてみることを強くおすすめします。
法律科目試験対策について
(I) 基礎的な法知識・法理論の修得について
基本的な法知識を修得するうえで、最も効果があるのは基礎マスターだと思います。この基礎マスター段階での学習態度によって今後の受験勉強の充実度が左右されると思います。
確固たる基礎を確立するためには、基礎マスター段階で復習をしっかりして講師の言ったとおりにすることが最も合格に近づける方法だと思います。私は基礎マスター段階において予習は全くせず講義に臨み、講義を受講し終わったらすぐにテキストを2回見直し、講義で講師が覚えてくださいといったものをカードにまとめ、次回の講義の前にもう1回見直すという方法を繰り返していました。おかげで、未知の論文問題が出た時にも、反射的に趣旨や基礎から考える姿勢を身につけることができました。
(II) 実践段階での学習について
実践的な学習としては論文マスターを受講し、答練を受けることが大事だと思います。やはり、頭の中で答案構成ができていても、普段から訓練をしていなければ本番で未知の問題が出題された場合、パニックに陥って正しい日本語で論証することは難しいと思います。ですので、答練を受けて危機管理能力や自分の中で答案作成時間のリズムを作っておくといいと思います。しかし、私は受講料を自分で工面していたこともあり、経済的に答練を受けることができませんでした。今振り返ると、親に頼んででも答練は受けておくべきでした。
そこで、書く訓練としては、「問題研究」の問題を、時間を計って書き、それをゼミ長に添削してもらうという方法をとりました。もっとも、このやり方では自分で時間を計っているので緊張感なく1~2分の誤差も気にせずやってしまいがちでした。これでは本番で痛い目にあうと思い、4年生の5月から始まった伊関ゼミ長のロースクール入試直前ゼミを受講しました。このゼミでは、毎回1通論文を実際に書き、さらにゼミ内で検討したロースクール入試の過去問を次回までに書いていくとゼミ長が添削してくれました。毎回、論文の結果は散々たるものでしたが、ゼミ長から論文のテクニックなどを学ぶことができ、ゼミが終わった8月以降の直前期において自分の論文の実力が向上していることを実感でき感動しました。
(III) 各法科大学院の対策
中央大学法科大学院入試の独自の対策としては、刑法の論証をコンパクトにして用意しておくことくらいで対応できると思います。今年から訴訟法+行政法も簡易記述で出題されるようになりましたが、リーガルベーシックテキスト(入門講義テキスト)に載っている事案や判例、論証を押さえておけば対応できる印象を受けました。
慶應義塾大学法科大学院入試に関しては、何より時間との勝負です。私は、慶應の過去問を見ずして本番を迎え、試験が終わった時には体がボロボロでした。なので、一度友達と時間を計って訓練したり、伊藤塾で行っている小教室ゼミなどで時間的なものを体験したりしておいたほうがいいと思います。
パーソナル・ステートメント対策について
パーソナル・ステートメント対策としては、本科生についていたパーソナル・ステートメント対策講座を受講し書き方を学ぶ一方で、「明日の法律家講座」を観たり裁判傍聴に行ったりして、将来の法曹像を明確にしていきました。パーソナル・ステートメントは直前期に一気に書くというよりも常日頃から頭の中で考えたりしながら着々と完成させていったほうがいいと思います。私の周りは直前に一気に書く人が多く苦戦している人が多かったです。
学部成績について
私は学部試験の対策としては専ら伊藤塾の基礎マスターのテキストを使って勉強していました。確かに、学者の中には自分の見解で書かないと単位をあげないと噂される先生もいましたが、私はそんなのも構わず伊藤塾がとる見解で法律科目については書きました。結果、悪い成績をほぼとりませんでした。結局のところ、だいたいの先生はどれだけ論理一貫した文章が書けているかを問うていると思うので、学部成績向上も伊藤塾での学習で十分だと思います。
志望校の選択について
私が志望校選択に重視したのは、(1)合格率の高さ (2)学習環境 (3)近場であることです。やはり、合格率の高いところにはモチベーションの高い学生も集まってくるし、経験豊富な学者や実務家もそろっています。せっかく2年間も行くのだから、そのような環境の中で自分も揉まれながら学習したいと思い、中央大学法科大学院と慶應義塾大学法科大学院を志望しました。
直前期と試験当日
直前期は体調管理に気を配りました。外から帰ってきたら、うがい・手洗いは欠かさずして、食事も3食とり、睡眠も8時間くらいとっていました。勉強面に関しては、いつも通りの勉強を淡々と繰り返していました。試験当日はとてもワクワクしいていました。私は本番で緊張するというよりも、ここまでやってきた勉強をついにぶつけることができるという気持ちが強かったため、変に気負いしませんでした。
伊藤塾の学習と大学生活との両立、学習フォローについて
私は中途半端な時期に入塾したため、ライブ受講できず在宅受講していました。前述したとおり、昼間は学校へ行き、夕方から夜にかけてアルバイト(1週間のうち3~5日)をしていたため、深夜にインターネット講義を受講するというスタイルを3年生の終わりまで続けていました。4年生になりアルバイトをやめてからは、平日は朝から寝るまでほとんど勉強していました。その代り、土日は友達と飲み会をしたり、遊びに行ったりして気分転換していました。
入学前準備として
法科大学院に通っている先輩の話を聞くと、みんなレポートや授業の予習・復習に時間を費やされ受験勉強まで手が回っていない様子でしたので、入学前にせめて7法の短答については十分な点数がとれるくらいにまで学習するつもりです。また、あらためて基礎マスター・論文マスターの復習をしようと考えています。
最後に
私が法科大学院に合格できたのは周囲の環境に恵まれていたからだと思います。自分のやりたいようにやらしてくれた両親、毎月食べ物などを欠かさず送ってくれた祖母、いつも応援してくれた親戚のみんな、飲み会やカラオケにいつでも付き合ってくれた友達、今回の私の合格に寄与してくれた講師のみなさん、ゼミ長、伊藤塾のスタッフの方々には心より感謝いたします。
(2010年9月・記)