パーソナル・ステートメントは文面がすべてです。添削が付いている講座は、とても有意義でした。
棚村 知弘さん(22歳)
大阪大学法学部4年
【合格校】
・大阪大学法科大学院(既修)
・中央大学法科大学院(既修)
・同志社大学法科大学院(既修・全額免除学生)
・早稲田大学法科大学院(既修)
【受講講座】
入門講座本科生+リーガルトレーニング、京大ロースクール突破小教室
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。
はじめに
私は現在の医療過誤訴訟において医師の立場が患者の立場に比べ相対的に弱まっており、医療におけるリスクが訴訟の結果にあまり反映されていないと感じ、訴訟における医師の弁護を通じ、かかる状況を改善しようと決心し法曹の道を目指すことにしました。
私は1年生時に学内で開かれていた伊藤塾の説明会に出席しておらず、情報がなくてとても不安でしたが法曹を目指すなら実績のある伊藤塾と考え、入塾を決めました。入塾時にはスタッフに詳しく塾のシステムを教えていただき、この塾ならば自分の夢を託せそうだと思いました。
私がとった勉強方法
適性試験対策について
私は、先輩方から適性試験の対策は早めに開始したほうがいいと言われていたにもかかわらず、持って生まれた怠け癖のせいか、適性模試が始まる4月まで全く対策ができていませんでした。そんな状況を改善してくれたのが適性模試でした。時間内に問題を解き切れず、結果も芳しくなかったので次の試験では良い点を取ろうと躍起になり、いいきっかけとなりました。また、適性模試では色々なパターンの問題が出題されるため、自分の苦手なパターンがわかり、復習にも役立ちました。
法律科目試験対策について
(1) 基礎的な法知識・法理論の修得について
基礎マスター段階では、まずいきなり論証を覚えようと思っても頭に入りません。まずは各用語の定義、趣旨、判例の言い回しを覚えることに力を入れました。その際、覚えるべき部分と覚えなくて良い部分を講師の方々に指摘していただけるので、とても効率の良い勉強になったと思います。私はこの時期をどう過ごすかにより合否が決まると言っても過言ではないように思います。この時期に各用語、各条文の趣旨を頭に入れるべきです。伊藤塾長が頻繁におっしゃることですが「趣旨に返ること」、これが大事だと思います。法科大学院入試では上位校になれば論証丸暗記では対処できなくなります。しかし、どんな未知の問題でも趣旨に立ち返って、趣旨に即した解答を導ければ筋が通っている限り、点数はもらえます。
また、2回生~3回生時には自分の理解力を確かめるべく法学検定を受験することをおすすめします。なかなか目標が見つけにくいこの時期に指標として役立ちますし、上位合格することで入試時に提出資料としても役立ちます。
(2) 実践段階の学習について
論文マスター段階では、自分なりの論証集を作ることに力を入れました。その際、「問題研究」はとても役立ち、自力では書けなかった部分の論証をその都度書き写しました。また、「問題研究」には旧司法試験などの奥が深い問題に対して、複数の様々なアプローチからの答案が掲載されているので、自らの答案と照らし合わせて多角的な視点を養うことができました。この段階で重要なのは、時間を決めて「問題研究」を解いた場合、自分の覚えた論証がその場でしっかり書き切れることは滅多にないということです。それは制限時間や、焦りにより出てこないということから起こることです。そういった時に、やはり趣旨を覚えていたことが役立ちました。論証はあくまで丸暗記するものではなく筋道を覚えるものです。その筋道の出発点となるのが趣旨です。趣旨からすべてが始まることを改めて実感しました。
パーソナル・ステートメント対策について
パーソナル・ステートメントについてはやはり他人に見てもらうことが一番重要です。そういった意味でパーソナル・ステートメント対策講座は添削がついており、とても有意義でした。最初に添削していただいた際にひどい点数で返ってきた時には「俺の夢をよくもこの!!」と憤りを感じましたが、あくまで他者がその文面から感じた事が全てです。私はこれをきっかけにパーソナル・ステートメントを良い形に練り直すことができました。
学部成績について
私は学部成績が良くなくおこがましいのですが、学校の授業はきちんと出るべきだと思います。伊藤塾の学習のみで対処できる場合もありますが、教授によってはより深い学問的な理解を求める方もいます。そういった授業で評価をもらうためには教授のとる立場をしっかり理解することが重要だと思います。また、学部成績を上げるために他学部の授業をとるような事はやめるべきです。成績は良くなっても、それは自己に対する不信からの逃げです。
志望校の選択について
私はやはり合格率を中心に志望校を選択しました。目に見える学校の評価基準は合格率以外にありません。合格率が低い学校でも頑張り次第で何とでもなりますが、やはり合格率が高い学校ほど切磋琢磨しあえる高いレベルのライバル達が多数入学します。自分を高めるにはやはり、より上位の法科大学院を狙うべきだと考えます。もっともその際には自分の力を客観的に把握し、チャレンジ校、自分の身の丈に合った校、滑り止め校を受験することが重要だと思います。
直前期と試験当日
私は後で後悔するのが嫌だったので全科目分の教材を東京に持っていきました。前日には、基礎マスター全科目、一通り目を通すこと(理解しなくてもいい)、当日には自分で作った論証集を休み時間に読み込みました。また、推理漫画を持っていき、それを読み犯人の罪責を検討しました。漫画は娯楽の一つですから面白くするためにびっくりするほど複雑な事案が出てきます。それを前日に検討することにより、緊張をほぐすと共にどんな事案も簡易に思えるという効果があります。
また試験にミスは付き物なので、ミスしても決してあきらめないでください。私自身もたくさんのミスをしました。上位合格した同志社大学法科大学院でさえ、3~4個のミスが後に判明しました。むしろミスをすることを前提に当日はリラックスして臨んでください。
学習フォローについて
私は当初、通学していたのですが、持ち前の怠け癖と校舎が遠かったことから次第に休みがちになってしまいました。そんな時、遅れを取り戻す方法としてWeb講義は役立ちました。倍速機能がついており、遅れはすぐに取り戻すことができました。また、実践段階においても基礎マスターを視聴し直すことができる配信期限の長さも魅力の一つだと思います。
合格後に必要なこと
私は「はじめに」に書いたような法曹を目指しています。就職につきニュースなどで報道されるような不安要素は多々ありますが、そういった危惧は一般企業の就職においても言えることだと思います。そもそも、資本主義社会なのですから競争はあって当たり前で、自分がその中で勝ち残るための方法を考えることが重要です。小説家や漫才師のようにどうすれば売れるのかわからない職種よりも、するべきことが明確な点で恵まれているとポジティブに考えています。
最後に
私が合格できたのはやはり、自分を苦しめること、これに尽きると思います。伊藤塾には夢を持った有能な方が多数入塾されます。周りに比べ、自分の理解の甘さに落ち込んだことは多々ありました。しかし、そんな時には変なプライドは捨て、自分が劣位に立っていることを潔く認め、さらに勉強に励むことが重要だと思います。私は勉強など大嫌いです。しかしやらなくては法曹の道は開けません。貴重な青春時代であるべき大学時は1日の最低勉強時間を確保し、できたら自分にご褒美をあげる(美味しいものを食べる、服を買うなど)、これの繰り返しでした。このような苦しい時間を乗り切るには周りの支えが必要です。資金面で援助していただいた家族に、勉強面で援助していただいた講師の方々、友人たちに感謝の意を述べたいと思います。そして新司法試験という新たな戦いから無事帰還したいと思います。
(2010年10月・記)