正確な知識だけで十分周りの受験生と差がつくと思っていたので、納得できるまで繰り返しました。
S.H さん(23歳)
【合格校】
・大阪大学法科大学院(既修)、 慶應義塾大学法科大学院(既修)、 早稲田大学法科大学院(既修)、 中央大学法科大学院(既修・半額免除学生)
◆適性試験 / 第1回:201点 第2回:208点
◆学部成績 / GPA:3.6
◆受講講座 / 司法試験入門講座本科生、コンプリート論文答練
※プロフィールは、2012年合格時点のものです。
はじめに
私は、大学の法学部に入った時点では漠然と法学部であるから司法試験を受けたいという程度しか思っていませんでしたが、大学での授業の一環として弁護士や検察官の方々の話を聞いて、自分も法曹という職業に就きたいと具体的に目指すようになりました。
しかし、大学の授業だけでは法科大学院、更には司法試験に向けた学習をどう進めたらいいか分からず、対策が必要と考え、大学2年生の秋に伊藤塾に入塾することに決めました。受験指導校への入塾を決めたのは、既に大学2年が過ぎていて1年生の時から勉強している人と比べ学習期間が少ないと感じていた私にとって、一定ペースでの受講という形式が最も効率的で効果的と考えたからです。また、当時受験の概要も全く知らなかった僕は、伊藤塾のような受験指導校ならば毎年多数の合格者を輩出しているという実績があり、その実績に基づいた受験に関する情報も多数得られると思い、伊藤塾への入塾を決めました。
私がとった勉強方法
基礎的な法知識・法理論の修得について
法律の学習では必ずその言葉や概念の特殊性により躓くことと思われます。私はこれを克服するため、とにかく基礎マスター講義でのメモ取りを必死に行いました。これは1回目の学習で、テキストには記されていない講師の説明などを、テキストに書き込む作業です。この時にインターネット講義での一時停止機能が大活躍しました。そして全科目基礎マスターを学習してテキストにメモが書き終わった後、そのメモと合わせてテキストを読み直し、それらだけで概念の説明(例えば条文の趣旨など)を納得して理解できるかを試しました。
ここで重要なのは「納得できるか」で、あって「何となく分かる」と自分を誤魔化してはいけません。というのも、塾長も仰っていたのですが、正確な知識だけで十分周りの受験生と差がつくと思っていたからです。そして、納得できない部分があれば、インターネット受講を利用してその部分を納得できるまで聞き直す、必要があればメモを付け加えるという作業を「繰り返し」ました。このおかげで私は少なくとも基礎知識に関しては、周りの受験生に劣らない実力をつけられたと感じています。
実践段階の学習について
そして、論文マスターで、この知識をどう論文という形式で利用するかということを学びました。しかし、実際に過去問にあたってみると何をどういう順番で書いたらいいかなどが身についていないことを実感しました。その時にある科目の論文マスターの最後で塾長が「論文勉強では実際に書くことが大事だけど、もし書き方が分からない人がいたら論文マスターの答案を答案構成にまとめることから始めてみたらいい」と仰っていたことを思い出し、全科目の少なくともA・B+の問題の答案を答案構成にまとめなおす作業を始めました。また、答案構成にまとめることで、「こういう事例だからこういう所が問題となって、だからこの条文のこの文言が問題となって…」という「論理の流れ」(と私は呼んでいます)を視覚化することができ、理解のスピードを上げることもできました。また、答案構成するとなぜこうした流れになるか疑問に思う部分も出てきたので、こうした場合は必ず論文マスターに立ち返って、それでも分からない場合は基礎マスターに立ち戻るという作業を「繰り返し」ました。このように基礎知識の習得・論文対策でも「繰り返し」行うことを重視しました。
実際に法科大学院を受けてみて感じたのは、個人的感想ではありますが、本当に基本的事項(いわゆる講義で指摘されるAランク)が聞かれているということでした。難関といわれる法科大学院でも、結局は本当に基礎的事項が聞かれており、難易度の差は文章量・試験時間・記述可能量の違いで生じているのかなと感じるくらいでした。そのため、本当に覚えるべき知識や記述例はしっかり覚えて、素早く文章に起こせるような練習をすれば、特別何か問題集を別に解いたりする必要はなく、新しいものをするよりは論文マスターを何回か繰り返して、短時間で解けるようにした方が効果的かと思われます。
学部成績について
学部成績については、大学によって授業形式など異なると思うので、難しいとは思いますが、授業の科目について、伊藤塾の基礎マスターでの学習が済んでいれば大丈夫かと思います。実際、私の大学では試験で基本的な概念や重要判例知識が問われることが多かったので、とりあえず基礎マスターで勉強して、もし重要判例の論述が問われそうだったら論文マスターで似た問題を見つけ、その論理の流れを掴むという学習で十分いい成績をとることができました。
伊藤塾の学習と大学生活との両立、学習フォローについて
私は、サークルは1つしか入っていなかったのですが、活動が活発な所だったので初期の段階では時間が取られることが多かったです。しかし、インターネット受講の際に見ることができる「スケジュール管理機能」を利用することで、1日どの程度やれば受講ペースを維持できるか、または遅れた分を取り戻すことができるかを簡単に把握できたので、自分の生活に合った計画を立てることができました。また、インターネット受講のおかげで、大学のテスト期間にはどうしても受けるのを避けてしまう講義も、後から受け直すことができたのは大変ありがたかったです。
入学前準備として
現在は、とりあえず基礎マスターをもう一度受け直しています。もちろん膨大な量なので、2倍速にしたり、理解が不十分な部分に絞ったりして、とにかく基礎固めに尽力しています。また、今のうちに重要な定義や判例表現などを単語帳にするなど、大学院中にやっては時間が勿体ない部分を今の内にこなすことを目標としています。
合格後に必要なこと
私は、弁護士といった法律家が不足している地域にて活動するような法律家、特に弁護士になりたいです。本来なら法律で解決できるような問題も、専門家がいないために泣き寝入りしている人がいたら、せっかくの法律の意味がないし、そうした人たちのためにこそ弱者救済として法律家が活動すべきと考えるからです。合格後は、こうした理想を持ちながら、世間でイメージしているような事務所を構えて仕事しているような弁護士像に捉われず、積極的に自ら足を運べるような機動的な弁護士になりたいです。
最後に
あえてもう一つ勝因を挙げさせていただくなら、「粘り強さ」だと思います。自分が、この方法でやってみようと決めたなら、たとえ周りが違う方法でやっていても、とりあえず1か月は粘り強くその方法で頑張ってみる。試験で、頭が真っ白になっても、とりあえず目の前の問題を読んで、六法を開いて粘り強く関連がありそうな条文を探してみる。こうした粘り強さがあったからこそ何とか合格できたと思います。最後まであきらめず、自分の力を信じて頑張ってください!!