法科大学院別法律科目論文模試で何をどれだけ書けばよいか、バランス感覚が身についた
◆学部成績
GPA 3.92 / S:A:B:C=99:20:9:0
◆受講講座
法科大学院別法律科目論文模試、予備試験全国公開短答模試など
◆合格校
慶應義塾大学法科大学院(既修)
早稲田大学法科大学院(既修)
はじめに
大学3年生の夏頃、周りの友達が就職活動を始めるなかで、普通の就職という道に違和感を抱いていた私は、法曹を目指すことを決意しました。法科大学院で学ぶ最終的な目標はもちろん司法試験合格ですから、志望校を選ぶにあたっては司法試験の合格率を重視し、実家から通える関東圏で、いわゆる「上位法科大学院」を受験することに決めました。
私の勉強方法
【基礎学習について】
法科大学院入試の過去問を見たところ、短~中文程度の長さの事例から、論点をきちんと抽出して規範を書ければ合格できるような問題だと感じたため、似たような形式の問題である旧司法試験や予備試験の過去問を見て、書くべき論証を思い浮かべる練習を繰り返しました。法科大学院受験を決意した時期が遅く、時間がなかったため、一から基本書などを読んで体系的に勉強していくという方法は採らずに、過去問を軸に論点のインプットをしていきました。また、法科大学院入試レベルであれば、未知の論点に対する現場での思考力よりも、典型論点や類似判例を知っているかどうかの勝負だと考えたため、あまり実際に答案を書くことはせずに、ひたすら論点知識を増やすことに時間を費やしました。もちろん、いきなり論点に飛びつくような答案は好ましくないため、常に「なぜそこが問題になるのか」ということを意識するようにしていました。
【法科大学院対策について】
普段は実際に答案を書かず、論点知識を増やすことに多くの時間を費やす方針を採っていましたが、やはり一度はきちんと時間を計って答案を書き、客観的な立場からのアドバイスをいただく機会がほしいと考え、法科大学院別法律科目論文模試を受講しました。返却された答案を見て特に参考になったのは、答案全体の中で何をどれだけ書けばよいかというバランス感覚です。特に慶應義塾大学法科大学院のような時間制限の厳しい試験では、知っている論証をフルで書いていては途中答案となる危険性が高いです。私は前述のように答案作成よりも知識のインプットに重点を置いていたため、不要な部分を厚く書いて時間が足りなくなるような、バランスの悪い答案を作成してしまうことがよくありました。しかし、法科大学院別法律科目論文模試で「この部分は学説の争いがないためもっと簡潔に書いてよい」などのアドバイスをいただき、タイトな時間制約のなかで何を厚く書くべきかという取捨選択を意識できるようになりました。また、自分で答案を作成するなかで「このような書き方でよいのだろうか」と半信半疑で書いていた点があったのですが、その点について高評価のコメントをいただいて、迷わず自信を持って書けるようになりました。自分の弱点がわかるだけでなく、よい点を伸ばすことにもつながったと思います。そして、地味なようでかなり重要なポイントだと思うのですが、法科大学院別法律科目論文模試の答案用紙が、本番の答案用紙と非常に似ていました。どれくらいの文字の大きさで書けるかというところまで本番前にシミュレーションできるのは助かりました。法科大学院の過去問を解く際には、この模試の答案用紙をコピーして使用するとよいと思います。
おわりに
法科大学院受験において意外と盲点になるのが、ステートメントです。内容の出来はあまり最終的な合否には関係ないのかもしれませんが、書類審査で落とされると論文試験を受験させてくれない法科大学院もありますし、あまりにも適当に書いてしまうと仮に不合格になった時に後悔するかもしれません。よって、ある程度の時間をかけることは必要です。私はこのステートメントを出願時期ギリギリまで放置していたため、入試の直前期に出願作業に追われ勉強に集中できず、とても辛かったです。予備試験を受ける方は、関東の私大法科大学院の出願時期と論文試験の時期が被っているため、より大変だと思います。勉強の合間に法曹を志望する理由や各法科大学院の志望理由などを考えたり、コツコツと書き進めておくことをおすすめします。おそらく私立では慶應義塾大学法科大学院のステートメントが最も書く分量が多いので、受験される方はまず慶應義塾大学法科大学院のステートメントを完成させ、それを圧縮したものを他の法科大学院のステートメントに活用するとよいと思います。