口述試験では日頃の勉強の結果がそのまま出るように感じました。手続がどのように有機的につながっているのか考えておくことが大事です。
H.G さん(24歳)
私立大学法学部卒業、国公立大学法科大学院(既修)3年在学中 【受講講座】
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、司法試験演習秋生、予備試験口述模試 など
※プロフィールは、2012年合格時点のものです。
はじめに
私が伊藤塾に入塾したのは、大学3年生の6月でした。もっとも、その間サークルなどを続けており、本格的に法律の勉強をはじめたのはその年の夏からでした。草島クラスの本科生での勉強によって国立の法科大学院に合格し、現在在籍しています。法科大学院在籍中はそちらの勉強が重いので、受験指導校にまで手が出せないでおり、現在は司法試験対策のペースメーカー論文答練を受けています。
私がとった勉強方法
短答式試験対策について
短答式試験については、過去問をやっていましたが、一般教養については全く何も勉強していませんでした。結果をみると、一般教養でそれなりの点数がついていたので通過できたこともあり、何ともいいにくいところがありますが、個人的には一般教養に注ぐ時間があるのであれば法律の勉強をしたほうがよいと思います。法律の短答については、短答の問題集をやっているだけです。もっとも、民法については、友達とゼミを組んでおり、要件事実を前提に短答知識も含めて論文の勉強をしていました。請求の趣旨および請求原因を踏まえて、それぞれに理由づけをしながら勉強をやっておくと、民法的な思考に慣れてくるのでぜひおすすめしたいと思います。
論文式試験対策について
論文式試験についても、これといった対策を立てていたわけではありませんでした。全体として、予備試験が法科大学院修了に相当する認定を与える試験であるから、コアカリキュラムくらい押さえてこいというメッセージが出ていたように思います。また、結果を見るに、細かい知識に多く触れるよりも、問題のメインテーマについて趣旨や条文解釈ができたほうが高い評価をもらえるようです。
例えば、今年の行政法の問題で、理由付記について全く触れていなかったのですが、A判定をもらえていました。これは、行政法の命である個別法の解釈について自分の考えが正確に理解されるようにかなり慎重に書いた結果だと思います。論文式試験は書いたほうが多く点数を稼ぐことができるかもしれないですが、メイン論点に最も点数がふられており、それはおそらく他の細かい論点に触れたとしても挽回できるようなものではない程の違いがあるように思います。
法律実務基礎科目対策について
法律実務基礎科目については、法科大学院の勉強しかしていなかったのですが、やはり実務家から教えてもらっているので、高評価をもらえました。特に刑事はちょうど現役の検察官の講義を受講していたので、事実認定で他の受験生に負けない自信を持っていました。この点は、法科大学院生ではない人にとって不利なところだと思います。基本書を見ていてもあまり実感がわかないところも多いと思います。しかし、裁判傍聴に行って、刑事であれば冒頭陳述を聞いたりするとかなり事実認定の勉強になると思います。また民事でも、和解勧試などをやっているところをみると刺激になるのではないでしょうか。
口述試験対策について
口述試験についても、論文式試験の合格発表結果が出るまで受かるとは全く考えていなかったので、口述対策は結果が出るまでしませんでした。論文に通過していたのを知って、ようやく欲が出て民訴と刑訴の短答に時間をかけて勉強しました。刑事については、短答も苦手で、基本的な部分も不十分なところが多かったので、本番でも随分と痛い目に会いました。口述試験では日頃の勉強の結果がそのまま出るように感じ、普段から条文を確認することや手続がどのように有機的につながっているのかなどを考えておくことなどがどれほど大事であるかを痛感させられました。焦ると自分の中から何も出てこなくなるので、焦らないほど準備しておくべきなのでしょう。
最後に
法律実務基礎科目を民法や刑法と別の科目と考えるべきでないことを強調しておきます。要件事実論は、民法の実践の学問であり、そこで使われる知識は民法や民訴の基本的な条文理解ですし、また、刑事の事実認定や証拠法も、基本的に刑法や刑訴の理解に基づきます。日頃の実体法や訴訟法の勉強の中で実務科目としてくくられている勉強をすることが重要なのだと思います。