前職の経験から社会的弱者を救うべく法曹を志す。答案の「型」を理解して論文の勉強を進め、合格へ

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A.Dさん:創価大学法学部卒業

◆ 受 講 講 座 /司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、予備試験論文直前答練+全国公開論文模試、予備試験口述模試など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

私は以前法務省の地方部局で勤務していましたが、弁護士を目指すきっかけとなったのは、仕事の関係で栃木県内の縫製業者の実地調査をした際のことです。その業者はいわゆる零細業者で自宅の敷地内にプレハブ小屋を建て、縫製工場として営んでおり、60代の経営者夫婦と、従業員の大半は中国からの技能実習生でした。賃金台帳や元帳等の確認、通訳を介した実習生本人からの聞き取り調査により残業単価300円で働かせている実態が明らかになりました。未払い額は一人あたまで計算してざっと100万円程度。業界の体質というか、裏で仕切っているブローカーの存在も事前に把握していたためそれ自体は大して驚くことではないのですが、経営者夫婦に対する事情聴取の際、実習生たちが夫婦は悪くない、もともと日本に入国する前からそのような契約だった、だから夫婦を責めないで欲しいと言って陳情するのです。夫婦も泣きながら縫製業の苦しい実態を語り、注文先からのコストカットの圧力がすさまじく、業界で生き延びていくためにはこの方法しかないことを涙ながらに語られました。本当に善良そうな夫婦ですし、なんとか情状で処分を軽くしてあげたい。役所に戻って上司にその旨を告げたところ軽く一蹴。内部基準に照らせば処分相当だと。そりゃそうかもしれないけど、行政の公平っていったい誰のためにあるんだろうと深く考えさせられました。それと同時に、司法の場であの夫婦のような弱い立場に置かれている人たちを救っていけるのは弁護士しかいないと実感しました。それが弁護士を目指すきっかけです。

私の勉強法

<基礎学習について>         

私は社会人受験生であったため、仕事終わりに自宅でWeb受講をするスタイルでした。入門講義を聴いた後はその倍の時間をかけて復習していました。1年目は基本的な用語がまずわからないので、塾長から「これは覚えておいてください」と強調のあった単語や概念は単語カードに逐一書いて暗記していました。とにかく暗記メインだったと記憶しています。今にして思えばもっと理解に軸足を据えた勉強をすべきだったと反省しています。

 <論文学習について>

論文マスターは予習がメインだと聞いていたので、答案構成をした上で(時間がない時は重要な問題として指定された問題に絞って)臨んでいました。最初は全く答案が書けず、論文マスター答練も何度か欠席したこともあります。それでも恥を覚悟して書く訓練を続けていくと、答案の型が見えてくるようになり、その「型」を意識して記憶するようにしました。塾の論述例を全て覚えるのは現実的ではないですし、あまり意味があるとは思えないので、各問題の答案の「型」を理解しながら勉強することが論文上達のコツだと考えます。

 <短答式試験対策について>

憲法はマコタンを使用していました。憲法以外の科目は市販の過去問集を利用していました。短答は2年目から取り掛かりましたが、論文マスターの受講との並行だったため、結構きつかったです。1年目からやるべきでした。短答は合格者の皆さんが同じようなことに言及していますが、肢ごとに正誤の理由を付けて答えられるようにする。これに尽きると思います。

 <論文式試験対策について>

コンプリート論文答練、論文直前答練の解説は、基礎マスターのテキストには掲載されていない目新しい情報(学者の執筆本や「法学教室」等の雑誌をリソースとするもの)が紹介されているため学習意欲が高まります。また、これまで何となく分かったフリをしていた部分について、わかりやすい解説が載っているため、思考が明確になり、まさに目から鱗の気分に何度も陥りました。他の受験生と差をつけるためには必須の講座だと思います。

 <口述試験対策について>

口述の過去問集は本当に役に立ちました。試験当日も過去問で出された問題が聞かれたので、過去問に目を通しておくことは最低限しておくべきだと思いました。

働きながらの学習方法について

私は社会人受験生でしたが、仕事が多忙を極め、勉強時間を確立することが困難な状況であったことから、役所を退職し専業受験生となることを決めました。働いていた当時は、通学時間、昼休みの時間などをこじ開けて、それでもなんとか12時間弱を確保するのが精一杯でした(休日返上で勤務していたので休日も2時間程度です)。社会人でも勤務スタイル(夜勤やシフトなど)や残業時間によって確保できる勉強時間は人それぞれでしょうから、最低限確保できる勉強時間がどれだけあるのかを把握することが大事だと思います。

おわりに

塾長の「マコタン」シリーズに挟まれている栞には、「最後まであきらめずに頑張れ!」など、塾長の熱いメッセージがしたためられています。私は「最後まであきらめずに頑張れ!」の栞を自分の勉強机の壁に貼って、なんとか自分を鼓舞してここまでやってくることができました。予備試験を突破した勢いそのままに、このチャンスを逃すことなく必ず司法試験に合格します。