コラムTOP > 記事一覧 > 司法試験の難易度とは?他資格との比較や合格のための対策を徹底解説

司法試験の難易度とは?他資格との比較や合格のための対策を徹底解説

2025年02月11日

 
学び直し&再受講応援CP


 

将来の目標として裁判官・検察官・弁護士といった法曹三者を目指す方は司法試験を突破しなくてはなりません。司法試験は最難関の国家試験と言われており、挑戦する前から諦めてしまう方もいらっしゃるでしょう。

たしかに、司法試験の難易度は低いものではありませんが、近年は合格率も上昇してきており、合格は決して不可能なものではありません。

この記事では、実際のところ司法試験の難易度はどの程度なのかを解説します。

他の試験と比較しての司法試験の難易度や司法試験の難易度が高いのはなぜかなど具体的に解説していきますので、司法試験の難易度について具体的にイメージしたい方はぜひ最後までご覧ください。

【目次】
1.司法試験とは
2.司法試験の難易度が高いのはなぜか
 2-1.合格率だけで難易度を判断することはできない
 2-2.受験資格を得るのが難しい
 2-3.試験の科目が多く範囲も広い
 2-4.試験の形式が難しい
3.司法試験と大学受験・他資格との難易度比較
 3-1.司法試験と大学受験との難易度比較
 3-2.司法試験と他資格との難易度比較
  3-2-1.司法書士試験との難易度比較
  3-2-2.行政書士試験との難易度比較
 3-3.司法試験と予備試験との難易度比較
4.司法試験の合格に必要な勉強時間
5.司法試験の対策方法
 5-1.独学で勉強する
 5-2.予備校を利用する
6.まとめ

 

1.司法試験とは

司法試験とは、裁判官・検察官・弁護士になろうとする人に必要な学識や応用能力が備わっているのかを判定するための試験です。

現行の司法試験は7月に4日間の日程で行われます(令和5年より実施)。

【2024年(令和6年)司法試験日程】

7月10日(水)論文式試験
(論述形式)
選 択 科 目(3時間)
公法系科目第1問(2時間)
公法系科目第2問(2時間)
7月11日(木)民事系科目第1問(2時間)
民事系科目第2問(2時間)
民事系科目第3問(2時間)
7月13日(土)刑事系科目第1問(2時間)
刑事系科目第2問(2時間)
7月14日(日)短答式試験
(マークシート・択一式)
憲法(50分)
民法(75分)
刑法(50分)

 

2.司法試験の難易度が高いのはなぜか

直近の試験である令和5年の司法試験では、全体の合格率は45.34%でした(受験者数3,928人、合格者数1,781人)。合格率だけを見ると、受験者数の半数近くが合格する司法試験の難易度は高くないようにも感じられるでしょう。

それでも、司法試験の難易度が高いと言われるのはなぜなのでしょうか。大きな要素としては、司法試験は誰もが受験できる試験ではないことが挙げられます。ここでは、次の4つのポイントから司法試験の難易度が高い理由についてより詳しく解説します。

 ◉合格率だけで難易度を判断することはできない
 ◉受験資格を得るのが難しい
 ◉試験の科目が多く範囲も広い
 ◉試験の形式が難しい

 

2-1.合格率だけで難易度を判断することはできない

司法試験などの資格試験については、合格率だけで難易度を判断することはできません。なぜなら、試験によっては受験資格が必要なためです。

たとえば、医師国家試験の合格率は90%程度と高い数字となっていますが、受験資格を得るためには医学部での専門教育を受ける必要があります。医学部での専門教育を受けた人の中でも1割が不合格となる試験であるため、難易度が高い試験と言えるでしょう。

このように、試験の難易度は合格率だけで判断することはできず、司法試験についても、合格率が45.5%もある簡単な試験であるとは言えません。

※司法試験の合格率について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
2023年度司法試験の結果は?合格率や合格者数・大学別ランキングも紹介

 

2-2.受験資格を得るのが難しい

司法試験の受験資格を得るには、

 ①法科大学院を修了する
 ②予備試験に合格する

のいずれかの要件を満たす必要があります。

法科大学院を修了するには、3年間もしくは2年間の教育課程を履修しなくてはなりません。大学での4年間を加えると、大学への入学から司法試験の受験まで7年間もしくは6年間の期間が必要と言うことになります。

法科大学院の入試自体も簡単なものではなく、法科大学院を修了するのにも長い時間と基礎学力が必要です。

法科大学院の入試自体も簡単なものではなく、法科大学院を修了するのにも長い時間と基礎学力が必要です。

一方で、予備試験には受験資格がなく、誰もが受験できる試験です。しかし、予備試験の合格には、司法試験合格と同程度とも言えるほどの学力が必要とされています。年に1度行われる予備試験の最終合格率は4%前後で、難易度の高い試験と言えるでしょう。

このように、司法試験の受験資格を得るのは、いずれのルートによっても簡単なものではありません。司法試験は、受験資格を得た人の中でも40%強しか合格できない試験であり、難易度の高い試験と言えます。

 

2-3.試験の科目が多く範囲も広い

司法試験は試験の科目が多く範囲も広いものとなっています。

司法試験の科目は次のとおりです。

 ◉公法系科目(憲法・行政法)
 ◉民事系科目(民法・商法・民事訴訟法)
 ◉刑事系科目(刑法・刑事訴訟法)
 ◉選択科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)のうち1科目)

科目が多いだけでなく、それぞれの科目の範囲も広く、1つの科目を合格レベルにまで学習するのにも多くの時間が必要となります。

さらに、司法試験では、それぞれの科目ごとの基準点が設定されているため、1つの科目でも基準点を下回ると不合格となってしまいます。そのため、どの科目もまんべんなく合格レベルにまで達していなければなりません。

1つの科目でも苦手科目があると合格が難しくなる点からも、司法試験は難易度の高い試験と言うことができるでしょう。

※選択科目については、こちらの記事もご覧ください。
【司法試験の選択科目】どの科目を選ぶべき?合格しやすい選択科目とは?

 

2-4.試験の形式が難しい

司法試験は、短答式試験論文式試験の2種類の形式で試験が行われます。

短答式試験も学習すべき範囲が非常に広く、正確な知識が要求されるため、難易度は決して低いものではありません。

しかし、司法試験の最大の難関は論文式試験です。

短答式試験は、範囲が広いとは言っても、選択肢のある試験であるため、形式としては難しいものではありません。一方で、論文式試験は、与えられた問題文について、どの部分が問題となるのかを自分自身で判断し、書く内容や分量も白紙の状態から自分自身で考える必要があります。

論文式試験は、知識を身に付けるだけでは乗り切ることはできず、問題の分析力とそれを論理的に伝える能力が必要とされるのです。問題について一定の答えを導き出す能力があっても、それを文章で伝える能力がなければ論文式試験に合格することはできません。

知識だけでなく、分析力や論理力、文章力も試されることが、司法試験の難易度が高い理由の1つです。

 

3.司法試験と大学受験・他資格との難易度比較

司法試験の難易度が高い理由について説明しましたが、ここでは、難易度をより具体的にイメージできるように、大学受験や他資格と比較しての司法試験の難易度を解説します。

ただし、それぞれに試験科目や受験資格なども異なりますし、人によっての向き不向きもあるため、単純に比較できるものではないことには注意が必要です。

自分が経験したことのある試験や目指そうとしていた試験との比較であれば、より具体的なイメージができると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

3-1.司法試験と大学受験との難易度比較

司法試験合格の難易度を大学受験と比較するとしたら、わかりやすい指標となるのは偏差値でしょう。

しかしながら、司法試験と大学受験という異質の試験を偏差値で比較することは不可能です。

根拠は不明ですが、いくつかのサイトで偏差値に換算した数値が公表されており、それらによると、概ね75程度とされ、大学で言えば、東京大学、京都大学、一橋大学あたりの受験に匹敵すると解説されています。

イメージ的には、難関国立大学クラスの大学受験レベルに相当する難易度ということになりますが、実際に合格した方々の出身大学をみると、決してTOPクラスの大学だけではなく、様々なランクの大学から合格者が出ていますし、中には中卒のフリーターから司法試験に合格され弁護士になった方もいらっしゃいます。

もちろん、簡単に合格できる試験ではありませんが、天才、秀才と言われるような特別な頭脳を持った人にしか合格できない特殊な試験ではなく、正しい学習方法をコツコツと続けることによって、誰にでも合格できるチャンスのある試験であることは間違いありません。

 

3-2.司法試験と他資格との難易度比較

次に、司法書士や行政書士などの法律系国家資格と比較してみましょう。

 

3-2-1.司法書士試験との難易度比較

司法書士は、登記の専門家です。

司法書士試験の科目は、司法試験と共通するものも多く、合格率も4〜5%程度で推移しており、難易度の高い試験であることは間違いありません。

試験の内容で比べてみると、司法試験は論文式3日間、短答式1日の計4日間(合計約20時間)であるのに対し、司法書士試験は択一式と記述式を合わせて1日(5時間)で行われます。

(司法書士試験では、筆記試験の合格者に対し後日「口述試験」が実施されますが、口述試験の合格率はほぼ100%です。)

また、司法試験は論文式中心であるのに対し、司法書士は択一式中心であることから、試験の内容としては司法試験の方が難易度が高いと言えるでしょう。

合格までに必要な勉強時間で比較してみると、司法試験が2,000〜5,000時間なのに対し、司法書士試験は概ね3,000時間程度と言われており、必要勉強時間の観点からみても司法試験の方が難易度が高いと言えるでしょう。

 

3-2-2.行政書士試験との難易度比較

行政書士は、申請書類の作成などを専門としています。

行政書士試験の合格率は10%前後で、難易度の高い試験と言われています。

しかし、司法試験に比べると試験範囲は狭く、配点の割合も短答式試験が8割を占めているほか、合格までに必要とされる勉強時間の目安も、司法試験が2,000〜5,000時間なのに対し、行政書士試験は概ね600時間程度と言われるなど、司法試験と行政書士試験とでは圧倒的な難易度の違いがあります。

 

3-3.司法試験と予備試験との難易度比較

予備試験は、司法試験の受験資格を得るための試験です。

試験科目や試験の形式もほとんどが共通しています。予備試験は、短答式試験と論文式試験の日程が分けられており、短答式試験の合格者のみが論文式試験を受験できます。

論文式試験の合格者後には口述試験も控えており、試験日程の点では司法試験よりもハードな試験とも言えるでしょう。

予備試験の論文式試験の分量(1科目あたり4枚)は、司法試験(1科目あたり8枚)よりも少ないものですが、試験全体を通して問われる知識量などは司法試験にも匹敵します。

予備試験は誰もが受験できる試験ですが、合格率は4%前後で推移しており難易度の非常に高い試験と言うことができます。

令和4年の司法試験では、予備試験合格者の合格率は97.53%となっており、予備試験合格者のほとんどが合格しています。そのため、予備試験の難易度は、司法試験と同程度もしくは、司法試験よりもやや高いと言うことができるでしょう。

 

4.司法試験の合格に必要な勉強時間

司法試験に合格するためには、まずは受験資格を得て、そのうえで試験に合格しなければなりません。

受験資格を得るには、①法科大学院を修了する、②予備試験に合格するの2つのルートがありますが、これまでに説明したとおり、どちらも容易なものではありません。

そのため、どちらのルートを選択するとしても、司法試験に合格するためには長期間の勉強が必要で、合格までに必要な勉強時間は2,000~5,000時間程度とされています。

これだけの勉強時間を確保するためには長い時間をかけて勉強に取り組む計画性が必要です。試験挑戦には強い覚悟を持って望まなければならないでしょう。

実際、司法試験の受験を志したものの、受験をすることなく諦めてしまう方も多いです。逆を言えば、正しい勉強法で効率良く勉強に取り組み続けることさえできれば合格のチャンスは十分にあります。

※司法試験合格に必要な勉強時間については、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
司法試験合格に必要な勉強時間は?最短で合格するための勉強法を徹底解説

 

5.司法試験の対策方法

司法試験科目の勉強は、大学や法科大学院の授業でも行えます。しかし、司法試験の合格に必要な知識を得るためには、大学や法科大学院の授業だけでは足りず、それ以外にも勉強時間を確保することが必要です。

司法試験の対策としては、主として、①独学で勉強する、②予備校を利用するの2つの方法があります。ここでは、それぞれの方法についての特徴などを解説します。

 

5-1.独学で勉強する

司法試験の勉強方法も、他の資格試験などと同様にインプットとアウトプットに分けることができます。

インプットすべき内容としては、各試験科目の基本書や資格対策テキスト、アウトプットすべき内容としては、短答式試験・論文式試験の問題集や過去問が挙げられるでしょう。

試験勉強では、インプットとアウトプットを繰り返すことになりますが、司法試験の勉強では、独学でインプットとアウトプットを繰り返すのは難しいです。

まず、法律科目の学習は、専門的な内容となるため、説明を受けることなくテキストを読むなどしても理解をすることが難しいと言えます。

理解ができないものは知識として定着させることもできないため、学習効率は著しく落ちてしまうでしょう。

また、司法試験も試験である以上、試験に出やすい、出にくいという重要度についても、独学ではその分析だけで膨大な時間が必要となるでしょう。

そのため、司法試験の勉強は、インプット学習自体も独学で行うのは難しいと言えます。

アウトプットについては、独学での勉強は更に難しいです。

短答式試験であれば、問題集などで答え合わせをすることもできます。

しかし、論文式試験は決まった答えがないため、自分で解答を添削することができません。自分自身では正しい内容が書けていると考えている場合でも、添削を受けると合格点にはほど遠いということもよくあります。

このように、司法試験は、インプットの面でもアウトプットの面でも独学での勉強は難しいと言えるでしょう。

※司法試験の勉強法の詳細については、こちらの記事も併せてご覧ください。
【必見】司法試験の効率的な勉強法とは?科目別・短答・論文の勉強法を徹底解説!
司法試験・予備試験は独学でも合格できる?弁護士になるための勉強法とは

 

5-2.予備校を利用する

司法試験の受験勉強には、予備校をを利用するのがおすすめです。

実際、司法試験合格者のほとんどが予備校を利用しています。

例えば、令和4年の司法試験合格者1,403名の80.7%にあたる1,132名が伊藤塾の有料講座受講生でした。

また、予備試験ルートからの司法試験合格者においては、令和4年司法試験合格者395名のうち、伊藤塾の有料講座受講生は364名と、その割合は 92.2%にも及びます。

創立以来27年間積み上げてきた豊富な合格実績に基づく伊藤塾の洗練されたメソッド通りに学んでいただければ、無駄な時間を浪費することなく効率よく学習をすすめることができるはずです。

 

6.まとめ

司法試験が難易度の高い試験であることは間違いありません。

しかし、近年の司法試験は合格率が40%を超えており、正しい勉強法で効率的な学習を続ければ誰にでも合格のチャンスがあります。

難易度の高い司法試験に合格するためには、長期間の勉強が必要不可欠です。

独学で闇雲に勉強を続けても、成果を得られず継続することは難しいでしょう。

効率的な勉強を積み重ねて合格を勝ち取るためには予備校を利用するのがおすすめです。

伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。

無料の体験受講や説明会も実施していますので、司法試験の受験に興味をお持ちの方は、ぜひ一度伊藤塾までお問い合わせください。

 

2024年 司法試験合格者1,592人中 1,436名(90.2%)※1
2024年 予備試験合格者   449人中    405名(90.2%)※2
が伊藤塾有料講座の受講生でした。

※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)

なぜ、伊藤塾の受講生は、これほどまでに司法試験・予備試験に強いのか?

その秘密を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

 

学び直し&再受講応援CP
 


伊藤塾司法試験科

著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

伊藤塾 司法試験科

伊藤塾 司法試験科

司法試験のコラムを発信しています。

カテゴリー       
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
司法試験
予備試験
法科大学院
法曹
基本情報

注目記事