米国弁護士資格について

受験資格について

日本人留学生の場合、①日本の法科大学院(法学部)で法律の学位を取得し、②ABA(American Bar Association)認定ロースクールのLL.M.コースを修了してアメリカの司法試験(Bar Exam)の受験資格を取得するのが一般的です。
Bar Examの受験資格は、出願者のバックグラウンド(自国の法学教育やLL.M.での学習内容等)による個別審査で判断されるため、LL.M.を修了したからといって、直ちに受験資格を得られるわけではありません。
そのため、ロースクール留学前に各州の司法試験委員会に対し、ご自身のBar Exam受験資格の有無について確認しておくことが必要です。
アメリカでは日本と異なり、活動をする州ごとに弁護士資格を取得する必要があります。日本人留学生の多くは、ニューヨーク州またはカリフォルニア州のBar Examを受験します。
 

合格率について

合格率は州によって異なりますが、ニューヨーク州の場合、初めての受験での全体(外国人を含む)の合格率は75%で、外国人の場合は、52%です(2022年7月実施)。

試験科目について

試験は、年2回(7月と2月)に州ごとに実施されます。

ニューヨーク州司法試験 ※

カリフォルニア州司法試験
合格基準点:400点満点中266点 合格基準点:2,000点満点中1,390点
MPT(Multistate Performance Test)
・法律文書起案の試験
・2問、20%
Essay Questions
・カリフォルニア州法に関する記述式試験
・5問、約35%
MEE(Multistate Essay Examination)
・連邦法に関する記述式試験
・6問、30%
Performance Test
・法律文書起案の試験
・1問、約15%
MBE(Multistate Bar Examination)
・全州共通の4択式試験
・Constitutional Law、Contracts、Criminal Law & Procedure、Evidence、Real Property、Torts、Civil Procedure
・200問、50%

※ニューヨーク州司法試験では、2016年7月以降、特定の州に関するものではない統一試験(UBE)として、MPT、MEE、MBEが採用されています。
2021年4月現在


参照
https://www.nybarexam.org/
http://www.calbar.ca.gov/
 

弁護士の登録要件について

 
Bar Examに合格しただけでは、弁護士登録の要件を充たすことにはなりません。
Bar Examの他に、MPREMultistate Professional Responsibility Examination:全州統一法曹倫理試験)において各州の定める基準点をクリアすることが必要とされています。
試験は年3回行われ、全60問、制限時間は2時間です。ロースクール在学中に受験する学生が多いようです。
 

◆ニューヨーク州の場合
(1) MPREMultistate Professional Responsibility Examination:全州統一法曹倫理試験)を受験し合格すること
(2) UBEUniform Bar Examination:特定の州に関するものではない統一試験。上記「ニューヨーク州司法試験 ※」参照)で合格基準点を超えること
(3) New York Law Courseを受講し、New York Law Examを受験し合格すること
ニューヨーク州BarExamにおいてUBEが導入されたため、New York Law Course(オンラインでのニューヨーク州法に関する授業)およびNew York Law Exam(ニューヨーク州法に関する試験:オンラインで受験可)を受講・受験する必要があります。
https://www.nybarexam.org/UBE/UBE.html参照)
(4) 50時間のプロ・ボノ活動を行うこと
ニューヨーク州弁護士として登録しようとする場合は、50時間のプロ・ボノ活動(専門家が持っている職業上の知識やスキルを生かした社会貢献活動)が必要とされています。
多くのロースクールでは、プロ・ボノプログラムが用意されており、それを利用しつつ帰国後プロ・ボノをして要件を充たすケースが多いようです。
留学しようとするロースクールにプロ・ボノプログラムが用意されているかどうかを、予め確認しておくことが必要です。
(5) Skills Competency Requirementを充たすこと
弁護士としての実務能力・職業倫理を有するかをみるための要件であり、ロースクールによっては要件を充たすためのカリキュラムがLL.M.で用意されているところもあります。
日本人の場合は、日本における実務経験(フルタイムで弁護士をしていれば1年間)をすることでこの要件を充たすこともできます。