自分のやりたいことを自分自身で実現したい、そのように考えていた私にとって、司法書士になるということ、そして司法書士試験を受験するということは、数ある選択肢のひとつにすぎませんでした。しかしその道は、自分で選んだ道だからこそ、心折れずにやり続けられたのだと思います

司法書士試験受験は転職活動のひとつのバージョン、
まさに就職試験でした

 法律とは縁のない民間企業で働いていましたが、人事や職場環境など、自分でコントロールできないことが原因で、二度の転職を経験しました。そうした経験から、自分で主導権を握れるような仕事をしたいと考え、多様な業務ができるライセンスを活かした職業、独立できる資格の取得、という方向に行き着きました。
 司法書士試験を選んだのは、スキルアップのために、行政書士試験や簿記の受験経験があるのですが、会計系の勉強にはアレルギーというか、苦手意識が強く、法律系の試験は挫折したものの、まだなじみがあった、その程度の理由でした。なので、司法書士試験受験を決めた時点では、その業務や面白さなど、具体的なことはあまり把握していません。

転職活動スタート
偶然にも最適最善の学習スケジュールをみつけました

 9月に司法書士への「転職」を決め、働きながら勉強するのは向いていないと思い、退職して受験勉強を始めることにしました。
 短期合格を確実に果たすため、受験指導校で勉強することにし、伊藤塾長も存じており、行政書士試験の勉強を通じて知っていた伊藤塾で学習を始めました。伊藤塾に決めた大きな理由は、タイミングが合った、ということです。10月から開講して、ゆったりとしたペースでじっくり学べる、ということで、小山晃司講師の入門講座を受講しました。この講座は通常の入門講座より長い期間で勉強できるので、自分に合ったカリキュラムでした。司法書士試験は合格率が3%という難関なのですが、まじめに勉強している人の合格率はもっと高いということをガイダンスでお聞きし、自分の進路に不安はなくなりました。
 小山講師の入門講座は私には最適の講座でした。カリキュラムはもちろんですが、ご自身の実務経験もふまえて、具体的に話してくれるので、なるほどな、と思うことがたくさんありました。法律の勉強は抽象的な条文を具体的な事象にあてはめていく作業が多いので、実務での話などは、記憶に残り、理解するのにたいへん役立ったような気がします。ライブ講義の翌日に、インターネットストリーミング配信の講義を、速度を速めて受講し、復習するスタイルをとり、過去問やドリルなども小山講師の言われたとおりに勉強していきました。入門のころの受験勉強はペースさえつかめれば、会社に勤めながらでも十分勉強できたと思いました(いまさらですが)。

痛感した本試験のレベル、
択一試験の怖さ、不安解消にはただ勉強

 翌年が合格目標年度の入門講座ですから、講義は民法しか終了していませんでしたが、試験の雰囲気をつかむため、その年の本試験を受験しました。民法だけの勉強で、受験をしたのですがが、あまり難しいとは感じませんでした。しかし、いざ答えあわせをしてみると、正解できたのは半分足らずという成績でした。一方全く勉強していなかった刑法が一般常識だけで解ける問題があるなど、司法書士試験の、そして択一試験の怖さを実感しました。若干の不安も覚え、実力を確実のものにするため、関講師の思考力完成ゼミを受講することにしました。入門講座と平行して受けるので、学習の負荷は大きかったのですが、たいへん役に立ちました。ゼミでは質問されて各自が答えるので、緊張感があります。また自分より実力がある方がたくさん受講していましたので、合格直前の方のレベル感や、自分との差が明確になりました。また入門講座で、間違った理解をしていたところがあぶりだされ、復習に、そして軌道修正にとても役立ちました。

仕事だと思って臨んだ受験勉強、
つらくても、苦しくても、ただ黙々と…

 入門講座とゼミで、すっかり実力をつけたつもりで臨んだ本試験ですが択一の基準点には届きませんでした。そんなある日、合格体験記を読んでいて、自分と同期の入門講座(小山クラス)を受講していた方の合格を知りました。自分としては一生懸命勉強したつもりでしたが、合格と不合格という大きな差がついていました。私とは何が違っていたのだろうか。
 結論は徹底する力と集中力の欠如でした。合格者は講義に臨む姿勢や学習の密度、集中力が自分とは全く違ったのだと思います。合格するためにはここまでするのかとショックを受けました。点数を上げるために学習の質を高める、勉強時間の長短ではなく、密度が大事であり、それを徹底するということがいかに大事かを、思い知らされました。この反省を心に刻み、苦手であった択一試験の実力アップを目指しました。つらいと思うことはあリましたが、「仕事」だと思い、図書館で勉強するときなどは、通勤する気持ちで学習を続けていきました。好きなテニス観戦以外は、趣味も封印しストイックに勉強を続けました。

風が吹きました…

 私は択一試験が苦手で、記述の問題は、マークシートから解放される、オアシスのように感じていました。なので択一の基準点さえ超えればチャンスがあると思っていました。答練や模試の成績に一喜一憂するなど、迷走した時期もありましたが、最後は入門講座の講義を振り返り「入門講座のテキストではどのように書かれていたのか」などと基本を重視する勉強で択一の基準点も突破、無事に合格することができました。小山講師に報告したときに「風が吹きましたね」といわれたことは忘れません。
 私が合格できたのは、心が折れないよう、勉強を継続できたからです。これは司法書士試験を転職活動と考えて割り切って勉強してきたからだと思います。正しい方法論も大事なので講師のアドバイスを積極的に聞くなど受験指導校も活用するといいと思います。
 これからは、社会保険労務士や会計士として独立した友人との協業など、自分の信念に基づき、自分の責任で活躍できる司法書士を目指していきます。