振り返れば、私は合格するまで、決意と挫折の連続でした。しかし、大切な仲間に支えられて今の自分がいます。だから、合格できたことは本当にうれしく思っています。そして、自分ひとりだけでは決して達成することができなかった司法書士試験合格、多くの仲間との思い出と感謝に心をめぐらせてみます。

司法書士という資格に
自分の居場所を見つけた

 大学時代、祖父の死とともに訪れた相続の場面に大きな衝撃を受けました。おじいちゃん子だった私は、悲しむ暇もなく、財産をめぐる親族同士の争いに胸を痛めました。そんな案件を、いとも簡単に、冷静かつ正確に手続きを進めてくれたのが司法書士でした。
 司法書士という職業に対する憧れと尊敬は、すぐに“司法書士になりたい”という気持ちに変わっていました。そこで司法書士を目指すと決め、大学を3回生で中退し、本格的に受験を決意しました。実は私は大学受験に失敗し、不本意な大学生活で、今の生活から抜け出したいという気持ちがありました。そんな悶々とした気分を一気に変えてくれたのが司法書士試験の受験でした。

だらだらと受験を繰り返してしまった
不毛な時間

 大学を中退し、専業受験生として、秋からある受験指導校の全日制のクラスを申込みました。しかし、膨大な量を、自分ひとりで勉強するのはとてもつらく、始めてすぐに挫折し、翌年の合格をあきらめました。“いつかは合格できるだろう”というのんびりした受験勉強では合格できるはずはなく、だらだらと3年間が過ぎました。“このままではまずい”と思い、宅建士の資格取得から不動産会社に就職をしました。ただ、司法書士試験はあきらめきれず、仕事の合間に少しずつ勉強をしていました。しかし就職した会社は、条件的にとても満足していたので、受験勉強にはあまり身が入りません。やはりこの環境で合格できるはずはなく、ここでもだらだらと4年間が過ぎました。30歳を過ぎ、事務職の単調な仕事にあきていたころ、ふたたび“このままではまずい”と、今度は本気で思い、もう一度だけ本格的に基礎から勉強しようと決意しました。大学を挫折し、専業受験生で挫折し、もう今回は最後の転機にして、基礎から勉強できる、伊藤塾の入門講座福満クラスを申し込みました。挫折続きの過去を清算しようと真剣に思い、今回は本当に最後のチャレンジだと心に誓いました。このときが私の“本当の意味での受験スタート”だったのかもしれません。

本気の再チャレンジは
充実した毎日

 福満講師の入門講座は、今までの勉強とは比べ物にならないものでした。「1年で合格させる」という気迫に満ちた講義で、疲れていても、眠たくても、勉強に集中できました。いままでの、ただ覚えるだけ、知識を貼り付けるだけの勉強とは違い、理由を丁寧に説明してくれます。またテキストも、一目で重要事項や出題頻度のメリハリがはっきりと示され、合格にはこれだけで十分な内容でした。「初めからこんな勉強をせな、あかんかったな」と、心から思いました。働きながらの勉強で、朝の6時から2時間勉強、ライブ講義は最優先で出席し、疲れていても復習、体力的にはきつい受験生活でしたが、勉強の効率や充実度は今までと比べ物になりません。主要科目4科目択一確認テスト全国2位という成績で、合格を実感した私は、会社を辞めて試験に専念しました。しかしその年の受験は、基準点は越えたもの残念ながら不合格。もちろん悔しかったのですが、敗因分析もできており、受験後の達成感から、来年は絶対合格できるという自信がありました。

まさかのまさかの
挫折が再び・・・

 順調に翌年の合格を目指していたのですが、あろうことか、再び受験を迷わせてしまう出来事が起こります。受験仲間に紹介された女性と将来を考えるような親密なお付き合いが始まったのです。彼女は受験を理解してくれていたのですが、私の方に迷いが生じ、「合格は運、来年合格できるとはかぎらない」と考えるようになりました。そうなると気持ちはもろいもので、「合格より、就職して安定な生活を目指そう」と考え、就職するつもりで、ある会社から内定をいただきました。合格したい気持ちはあったのですが、それ以上に社会的地位の安定を目指してしまいました。
 そんな時、私を救ってくれたのが友人の存在です。福満クラスは講師の教え方もさることながら、クラスの雰囲気がとてもよく、たくさんの受験仲間ができました。節目には適度に飲みに行き、切磋琢磨、励ましあい、慰めあい、時には厳しく、時にはやさしく接してくれます。そんな友人が、「今までやってきたことを無駄にしてはいけない」と自分ごとのように本気で諌めてくれました。これが私の目を覚まさせてくれました。紆余曲折のあと、就職はせず受験勉強に戻る事ができました。今回の挫折は私だけでは乗り越えることができなかった、受験仲間の存在を大きく実感した出来事でした。

伊藤塾が気付かせてくれた
私の大きな目標

 もう迷いはなくなりました。受験勉強に専念し、本年度の合格を掴み取ることができました。
 私の合格は、福満講師の講義、そして福満クラスの友人の存在なしには語れません。同じ目標を持った友人達は、私の受験勉強の大きな支えでした。本当に感謝しています。
 私には大きな夢があります。いままで、多くの方のおかげで今の自分があるのですが、今度は私自身が資格者として多くの方の支えになっていきたいと思っています。障がいを持たれた方や、弱い立場の方の、小さな声を少しでも実現したいと思っています。伊藤塾では沖縄スタディツアーという、沖縄の現状を学び、法律家としてどのように考え、何を実行すればいいのかを学ぶイベントがあります。これに参加したことも、私の目標に大きな影響を与えてくれました。伊藤塾で勉強していなかったら、このような目標に気付かせてもらえなかったでしょう。挫折や失敗の中にも何か意味がある、それを、自分を高めていくきっかけにする、伊藤塾では法律家にとても大切なことを教えていただきました。