司法試験受験生だからと甘く見て大失敗
長くかかった分、合格発表は涙が止まらなかった
私はこうして司法書士を目指す決意をしました
2010年、最後の旧司法試験に失敗し、司法書士を目指しました。最初に利用した受験指導校は他校でしたが、途中で信頼がなくなり、司法試験で利用したことのある伊藤塾に変えました。当時は、子どもが小・中・高に通っていたので、妻が外で働き、私は家事と勉強をしていました。
伊藤塾を活用した私の学習方法
①入門段階の学習法について
私は「入門講座」(不登法・会社法・商登法のみ)を取りました。予習はほとんどせず、復習に時間を割きました。記述対策としては、テキストに載っている書式はカードに書き写し、覚えるようにしました。午後の択一対策としては、過去問をしました。(他の科目は独学で何とかなると思ったのですが、結果的に長い受験生活の始まりでした。民訴以下は「択一合格アドバンス講座」を受けてはじめて、全体を見渡せ、理解が進み、やるべきポイントも押さえることができました。)
②中上級段階の学習法について
(9月から1日4時間、週5日のパートの仕事に就き、勉強時間は、少なくなりました。)
・昨年の本試験後、年内(7月~12月)に行った対策
択一対策として「択一合格アドバンス講座」を10月からはじめましたが、年内に終わったのは、民法と不登法だけでした。まだ、残りのアドバンスと「択一プログレス演習講座」、「択一実戦力養成答練」、「記述式ケーススタディ講座」、「記述式答案構成力養成答練」、蛭町浩講師の講座、「全国公開模擬試験」が残っていました。
・年明け(1月~3月)に行った対策
アウトプットの講座もすべきか迷いましたが、とにかく3月中に「択一合格アドバンス講座」を優先し終わらせました。講義中、宇津木卓磨講師が、科目・分野ごとに、「昭和の時代の過去問までやった方がよい」とか、この科目は「細切れの時間を使って、過去問中心にした方がよい」とか、勉強の範囲、やり方など適時に適切なアドバイスをしていただいたことが、とても良かったです。この時期から、直前期の見返しを意識して、アドバンスのテキストに貼り付けたり、書き込んだりして情報を集約することに努めました。
③直前期(4月~試験前日)の学習法や試験当日について
直前期は、アウトプットの講座だけをしました。順序は、午前択一(会社法を除く)、午後の択一民訴以下を4月中、午後択一不登法、午前択一会社法・午後択一商登法を5月中に終わらせ、6月に入ってからは、記述式(「記述式ケーススタディ講座」と「記述式答案構成力養成答練」)を不登法、商登法の順でしました。最後の1ヶ月は、仕事、家事、睡眠以外は記述式の問題を解く、解説を読むの繰り返しでした。再度見直す時間はないと判断し、間違ったところはその場で解決して先に進みました。商登法の記述式については、「記述式ケーススタディ講座」は最後まで解きましたが、「記述式答案構成力養成答練」は3回目が終わった時点で、本試験前夜10時になっていたので、止めました。朝からぶっ通しでしたためか、体が宙に浮いたような感じになりました。
試験当日について
去年の反省から、当日は何もしない、頭を空にして試験に臨むと決めていました。しかし、玄関を出る時になり、少しばかり不安がよぎったので、「択一合格アドバンス講座」の不登法と会社・商登法のテキストを持ってタクシーで出発しました。頭の中では、美空ひばりさんの「柔」を歌っていました。絶対に今年は負けるわけにはいかない。しかし、「勝つと思うな、思えば負けよー。」挑戦者たれと言い聞かせました。
8時頃に会場に到着し、入室しました。着席してからは、静かに目を閉じ、瞑想していました。午前択一式は、ケアレスミスだけはしないように気を付け、全肢を検討しました。5問ほど確信が持てませんでしたが、最後まで考え抜いたおかげで、基準点+12点取れました。休憩時間中は、テキストの冒頭の目次を見て「?」と思ったところの中身を確認しました。試験説明が始まるまさに直前に「?」と思ったのは、地上権の登記事項でした。ラッキーなことに、記述式問題に出ていたので、悩まずに書くことができました。「択一合格アドバンス講座」のテキストは、本当に必要不可欠なところがよくまとまっており、一覧性に優れており、合格に役立ちました。また、直前期に「記述式ケーススタディ講座」や「記述式答案構成力養成答練」の初見の問題を集中して解いたおかげで、記述式不登法は、問題文も別紙も分量が少なく感じられ、余裕をもって比較的容易に解くことができました。商登法は時間不足でやっていなかった会社継続が出ていたため、平常心を失い、他の論点もケアレスミスで落としてしまい出題意図がわからず、大失敗でしたが、早く切り上げて、その分不登法で稼ぐことができて、結果的に基準点を突破することができました。
伊藤塾の各講師陣についての感想・各講師へのメッセージ
宇津木卓磨講師
昨年の本試験後、福岡で行われた本試験の解説に宇津木講師が来ていらっしゃいました。実際に講義を聴き、直接会ってお話をさせていただいたところ、この講師は信頼できると感じました。もう一度伊藤塾で頑張ろうと決意を新たにしました。
テキストの中で、「暗記するところ」、「余裕があれば読むところ」を指摘していただいたこと。この指摘は選択と集中を効率よくでき、時間の節約になりました。「余裕があれば読むところ」は、結局、時間がなく、読みませんでした。
本試験の午後の問題を解く順序を指摘していただいたこと。私は、それまで、記述は時間をかけるとでき、時間がなくなるとほとんど思考できなくなる一方、択一式は問題によっては数秒で解答できる問題もあるので、択一を最後にしようと思い、まず記述式の商登法、次に不登法、最後に択一という順序で解いていました。しかし、毎年、択一式は基準点前後で伸び悩んでいました。宇津木講師は、「多くの合格者は択一式を早く終わり、不登法、商登法の順でしていること。択一式を早く正確に解く、不登法をきっちり取る。商登法は時間の許す限り書いてどれだけ点数の上乗せができるかがポイント」と話してくださいました。今年はこの順序で解くことを決め、そのために、午後の択一の知識の精度を上げ、2肢か3肢で正解を出せるようしました。その分記述に使える時間を確保して、落ち着いて解けました。
蛭町浩講師
「蛭町記述コース」の冒頭での学習法の話が結構刺激になりましたし、点数が伸びなくても根気強く続けられました。具体的には、「勉強はできない問題をできるようにすること」「記憶のメンテナンスを怠らない」「筋力トレーニング」「常に問題意識を持つこと」などです。中でも、「常に問題意識を持つこと」に関しては、常に(机に座っているときだけでなく、起きているときも寝ているときも)、本試験レベルでの問題について考えている状態に置くことで、少ない勉強時間で大きな成果を出すことにつながったと思います。
また、直前の6月になって、不登法・商登法の「フレーム・コントロール(Fコン)で基準点を突破する講座」を各1週間で終わらせることができたことで、自信が付きました。
最後に
従来、仕事はパートやアルバイトをして、直前期の4月から6月は仕事はせず、勉強というサイクルでした。しかし、今年は17年12月に1日4時間、週5日のパートに転職して、通年で働くことしたため、可処分勉強時間が減りました。特に、試験直前の6月もパートのシフトは崩せませんでした。そこで、①勉強の対象・範囲を絞り込み、無駄な問題は解かない、③細切れの時間を活用する、④集中することを意識しました。具体的には、使用するテキスト問題集等は原則伊藤塾の講座と過去問に限定(ただし、刑法、会社法、民訴以下は市販の問題集も各1冊使用)し、午前の択一過去問は何度も間違っている問題だけしかしませんでした。また、出勤時刻より40分ほど前に就業先に到着し、車内で択一の問題を解いたり、憲法の条文、判例を読み込みました。また、帰宅後は、家の中だと、勉強が中断することがあるので、4月末頃までは車内で択一の問題を解き、講座を受けました。Web講義の配信日より2ヶ月から3ヶ月遅れており、スケジュール管理はうまくできたとは言えません。時間がありませんでしたので、択一・記述の演習は、予習なしで受けました。間違ったところは、解説講義の途中で一旦停止して、テキストに書き込むなどの処理をしてから次に進みました。
今年は、長い受験生活の中で勉強時間はもっとも少なかったです。にも拘わらず、択一の合計で基準点+27点を取れました。これは、①「択一合格アドバンス講座」で過去問+アルファを補充するとともに、絞り込みに成功したこと、②時間がなかったため、常に問題を解くときは、秒単位で時間管理をして、スピードアップに努めたこと、また、③常時、本試験レベルの問題を考えていたことの結果だと思います。
筆記試験合格発表
今年合格できたのは、多くの人に巡り合い、支えていただいたおかげと思っています。適切な助言をしていただいた伊藤塾の講師や職員の方々、パートとして採用していただいた介護施設の理事長、毎年叱咤激励してくれた高校時代の友人、旧司法試験時代からずーと期待を裏切り続けてきたのに、温かく見てくれた義理の両親、叔父叔母、母・・・
今後は、登記申請だけでなく、高齢者や認知症患者のための後見業務や簡裁訴訟代理関係業務等に関わっていきたいと思います。
答案構成をする際に、横線で枠を作ると、比較的見やすく、ミスが少なくなると感じました。フリーハンドだと早く上手に引けませんでしたので、手製の線引を作り、使っていました。