司法試験断念も、法律科目の基本的な考え方は十分活かせる。あとは伊藤塾の記述対策で安心の合格
私はこうして司法書士を目指す決意をしました
私は大学入学時から司法試験の勉強をはじめ、卒業後も働きながら受験を続けていました。択一式試験には何度か合格できたものの、論文式試験を突破することができず、自身の法曹への適性に限界を感じる中で司法制度改革の一環としての法科大学院制度も始まり、思い切って司法試験からの撤退と新たな進路を模索することにしました。大学時代の友人から司法試験と司法書士試験とでは受験科目に共通するものが多いことを聞いていたため、これまでの勉強の成果を最大限活かすことができると思い、司法書士を目指すことにしました。
伊藤塾を活用した学習方法
司法書士試験の受験科目の内、憲法・民法・刑法についてはすでに学習済みであったため、それ以外の科目を山村拓也講師の「入門講座速修生」で学ぶこととしました。法律系科目の学習方法については、司法試験の受験時代に獲得した一定のノウハウがあったので、それを踏襲しました。具体的には、講義を受けた後にテキストの記載事項を条文・先例・判例・定義・要件・キーワード等の内容によって蛍光ペンで色分けして、視覚的なイメージによる記憶の定着を図りました。それから択一式問題の過去問を解いていきましたが、解けなかった問題の解説部分にテキストの該当ページへのリンクを必ず書き込むようにして常にインプットとアウトプットの連携を意識した体制の構築を目指しました。
記述式問題への対策としては山村講師の「記述式答案構成力養成答練」を受講し、それによって不動産登記法の記述式問題に対しては比較的早い段階で対応できるようになっていったと思います。これに対して、商業登記法の記述式問題に関しては、残念ながら最後まで決定的な対処法を確立することができず、苦手としていました。しかし、できるだけ多くの問題に当たることで様々な出題形式に慣れることと、確実に得点できる範囲を明確に見極めたうえで答案を作成することの両者を心がけるようにしたことで本試験では何とか基準点を突破することができました。
合格した年には宇津木卓磨講師の「択一実戦力養成答練」を受講しましたが、これによって択一式問題に関して理解が曖昧だった幾つかの点をかなりクリアに整理することができ、難問揃いだった本試験での高得点獲得につながったと思います。以上の講座では提供される教材や資料の多くがPDFで配信されていたので、私はそれらを携帯用のタブレットに取り込んで繰り返し読み込み、通勤などの隙間時間の有効活用と軽量化による負担の軽減に努めました。
不安や疑問の解消とモチベーションアップ
受験勉強の期間が長くなるとどうしても将来への不安や自身の能力への疑問が生じて、勉強に集中できなくなったり、受験を続けるべきか辞めるべきか迷いが生じてくるものです。私も司法書士試験受験を継続するべきか否かで逡巡したことが幾度もありましたし、合格した年には家族の介護と自身の病気療養が重なり、精神的にかなり辛い状況でした。それでも何とか乗り切ることができたのは、このままでは絶対に終われないという意地を貫いたのと、自分と他人とを比較することを止めていい意味での開き直りと割り切りができたからだと思います。
伊藤塾の各講師についての感想・各講師へのメッセージ
私の司法書士試験合格のための方法論のほとんどは、山村講師の講義を受講する中で獲得したものです。司法書士試験合格のためには実体法・手続法の双方で難解かつ抽象的な概念を理解する必要がありますが、山村講師の講義では簡潔かつ的確な表現でわかりやすく説明が行われていました。また、山村講師も司法試験受験経験者だったためか、発想や考え方に共感できる部分が多く、スムーズな理解につながりました。
受験生活の最終盤で受講した宇津木講師の講義では受験生の理解の増進と省力化を目的とした図表・レジュメ・パワーポイントの提供が行われていたので、有効に活用させていただきました。
自身の受験経験を踏まえた、成功例、失敗談など
勉強をはじめて最初の数年間は午後の択一式問題でなかなか基準点に到達できませんでしたが、その原因は特に登記法に時間をかけすぎたりしたバランスの悪さにあったと思います。そのことに気づいてからは民訴以下のマイナー科目にも満遍なく時間をかけて全体的な実力の底上げを目指していき、それによって成績が安定していきました。また、私は比較的実体法が得意でしたので、年末年始の時間が取れる時期に登記法や民訴法以下のマイナー科目をひと通り何度も繰り返して直前期の負担軽減を図りました。
現在学習中、またこれから学習を始める方へのメッセージ
司法書士試験合格のために求められるレベルは、実はそれ程高いものではないと思います。ただ、そのそれ程高くないレベルでさえも到達するのがとてつもなく大変な試験ではあります。
合格のために一番肝要なことは、勉強をはじめたらなるべく早い段階で択一式の午前・午後の科目の両方で基準点に達して記述式問題の採点を受けることだと思います。そうすることで自身の勉強の方向性が間違っていないことを確認できて自信につながりますし、たとえ不合格であっても次の年度以降に向けて取り組むべき課題が見えてくるようになってきます。そうしたらその課題の克服に全力で臨み、合格を目指していきましょう。