【6】法科大学院/ロースクールとは
法科大学院の基本情報
法科大学院(ロースクール)とは、「法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクール」であり(司法制度改革審議会意見書)、平成16(2004)年4月から開校されました。質の高い法律家の養成を目的とした教育機関で、修業年限は2年(既修者コース)と3年(未修者コース)の2コースが設けられています。法科大学院課程の修了者もしくは最終学年在学中に学長認定を受けた在学中受験資格者には、司法試験の受験資格(5年間)が与えられます。
各大学に「法曹コース」が2020年より新設され、法科大学院への進学環境は大きく変わります。
法科大学院2つのコース
法学既修者コース(2年コース)
- 入学前に法律の学習をしている必要がある
- 「法律科目試験」で法律の知識が試される
- 大学の法学部を卒業していなくても、既修者として2年コースに入学することが可能
法学未修者コース(3年コース)
- 入学前に法律学習の有無は問われない
- 法科大学院入学後に法律を学習していく
- 大学の法学部を卒業していても、未修者として3年コースに入学することが可能
法科大学院ができることとなった理由
- 法曹人口過少の改善
- 21世紀の法社会を担うにふさわしい質の高い法律家の養成
- 旧司法試験の弊害排除
- 多様な法律家の養成等
が理由としてあげられます。
法曹養成制度改革について
「法曹養成制度改革の更なる推進について」(平成27年6月30日法曹養成制度改革推進会議決定)を受けて、法務省及び文部科学省が中心となって「法曹養成制度改革連絡協議会」において、法科大学院教育課程における経済的・時間的負担の軽減や、法学未修者教育の充実などを図るため、議論が行われています。「法曹コース」の創設や「法科大学院在学中の司法試験受験」を可能とすることなどが検討されています。
★「法曹コース」 新たな進学制度★
法科大学院への進学を念頭に、大学の「法学部」に設置されている特別コース。自大学または他大学の法科大学院と連携して、学部段階からより効果的な教育を行うもの(「連携法曹基礎課程」=「法曹コース」)とされています(第91回法科大学院等特別委員会(平成31年1月28日開催))。
「大学法学部3年間(早期卒業)」と「法科大学院既修者コース2年間」の計5年間の一貫的な教育課程により、法曹になるまでの時間的・経済的負担が軽減されます。
2020年度より、全国で「1,100名+α」の定員にて各大学に設置されています。
法科大学院進学時には法曹コース生を対象とした特別選抜枠が設けられ、大学の学部成績が重視されることになります。特別選抜枠の募集人員は、各法科大学院の定員の1/2が上限とされます。(参照:法科大学院の入学定員数=2,253人(2019年度を基準))
法曹コース制度の詳細はこちら
法科大学院入試の概要
自己評価書 (パーソナル・ ステートメント) |
出願書類のひとつで法曹志望理由、どのような法律家になりたいか、どうしてその大学院に入学したいのかなどについての記述が求められる。単なる形式的な提出書類として考えるのではなく、しっかりと準備をして推敲を重ね、作成することが必要。 |
法律科目試験 |
法学既修者コースに課される法律論文試験。憲法・民法・刑法がほとんどの法科大学院で共通して出題され、商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法を出題する法科大学院もある。法学部出身であるか否は全く問わない。法律はみな大学に入ってからのスタートなので、法学部でも、他学部でも、これから勉強をはじめ、受験することが可能。 |
小論文試験 | 法学未修者コースに主として課される小論文試験。テーマは法律に関連するものにとどまらず、人文科学、自然科学や時事的な問題まで多岐にわたっている。形式としては課題文や資料について要約を求めたり、理解を試したうえで論じさせるものが主流。10,000字を超える長文の課題文を出題する大学もある。読解力や要約力、論理的な文章表現力が問われる。 |
面接 | 法科大学院で学ぶ者としての適性や法曹としての適性などを見るために、面接試験を実施する法科大学院もある(主に未修者コース。ただし一橋大学は既修者コースでも面接を実施)。法曹志望理由、どのような法曹になりたいか、どうしてその法科大学院に入学したいのかなどについて自己PR力が問われる。各大学院のアドミッション・ポリシーやカリキュラム内容などを理解し、答えられることを準備しておくなど個別の対策が重要。 |
語学 | 多くの法科大学院が語学能力を示す資料については任意提出としており、スコアが高得点であれば、一次審査・総合評価などで有利に働くことがある。東京大学(英語の場合はTOEFLまたはTOEIC)と一橋大学(TOEIC)は、提出が必須とされている。 |
司法試験 合格後
法科大学院修了の先の司法試験合格。
合格後にはどんな仕事につくか考えることは、試験勉強のモチベーションにもつながります。
合格後を考えるあなたに
伊藤塾の「合格後を考える」取り組み
「真の法律家・行政官」になるには、知識、思考力・応用力、問題発見・解決能力をバランスよく養うことが必要だと考えます。伊藤塾では、合格後「本物の法律家・行政官」として市民のために活躍できるこれらの「力」を、皆さんに養っていただくため、様々な企画やイベントをご用意しております。合格のための知識やノウハウのみならず、人材育成を目的として受験指導にあたるのは、他の指導校にはない伊藤塾の大きな特長の一つです。