ロースクール突破小教室は、各入試を突破した先輩の講義を聴ける貴重な機会ですのでぜひ受講をおすすめします。

酒井 悠至 さん
 

京都大学文系学部
【合格校】
・京都大学法科大学院(既修)
・大阪大学法科大学院(既修)
・中央大学法科大学院(既修)
・早稲田大学法科大学院(既修・稲門法曹会奨学生)
・應義塾法科大学院(既修)
【受講講座】
入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート答練、最新判例講義、中央ロースクール突破小教室、慶應ロースクール突破小教室など

※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

私は高校の時から漠然と弁護士になることを将来の夢として持っており、法学部志望でしたが、後期入試で別の学部に進学することになりました。当初は法曹に縁がなかったと諦めていましたが、2年生の頃、裁判官である大先輩から、「法学部以外であっても諦めず法曹になった同期がたくさんいる、一度失敗したくらいで諦める必要はない」と励まされ、再度法曹を志しました。
 私の学校では法学部以外であっても法学部授業を聴講できましたが、専門的内容に立ち入る場合が多く、思考力を養うという意味では有益でしたが、法科大学院入試及び司法試験合格に不可欠な体系的知識の修得及び事務処理能力の養成という点では不十分でした。この修得は専ら伊藤塾の講座に依るところが大きかったと思います。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識の修得について

私は(両立も十分可能だったはずの)アルバイトなどが忙しいことを言い訳に、入塾後早速ライブ講義には顔を出さなくなってしまいました。本腰入れて勉強を再開したのが4年生直前の2009年春頃。大学の単位は余裕がありましたので、一日中学習に専念することができました。
 まず夏休み直前までは、基礎マスター憲法・民法・刑法を各日一講義ずつ聴き、科目毎のノートを作り、講義内容を自分の言葉を用いてまとめるという作業を毎日繰り返し行いました。その際、わからない部分は一度考え、すぐに質問にいくのではなく疑問点と思考過程をノートに書き、付箋を付けるに留めました。担当講師から法律は各分野が有機的に関連していると聴いており、後の講義を聴けば自力で解決することができるかもしれないと考えたこと、また将来実務で直面する困難な問題の基礎となる部分をすぐに丸投げする癖をつけるのはよくないと先輩から教えられていたためです。
 夏休み後は基礎マスター商法・訴訟法について前述と同様の方法をとり、それと併行して論文マスターを受講していました。論文マスターは該当箇所の基礎マスターのテキストを読んだ後、Aランクについては答案を作り、B+ないしBランクの問題は答案構成をしてはじめて講義を聴くようにしていました。大体週に4コマほど消化していたと思います。これらの作業は自分のペースに合わせて講義を繰り返し聴くことができるというインターネット講義の利点を上手く活かせたと思います。
 基礎マスターはとにかく体系を重視された講義で、初学者にとって大変わかりやすいものでした。また論文マスター憲法・民法・刑法を担当なさっていた伊藤塾長は解答を敢えてすぐには与えず、聴き手をよい意味で深く悩ませる講義をなさっていました。お二人の講義で法科大学院合格に必要な思考力及び実戦力の大半を養えたと思います。  

各法科大学院の対策について

 のんびり勉強する癖がある私は、時間に追われるタイプの問題を出す(東京大学・)慶應義塾大学に慣れるため、トレーニングを受験年の5月からはじめました。それ以外の難関校は論文マスターの予習通り、時間を図り丁寧に事案を処理する癖をつけていれば十分対応できると思います。
 また、法科大学院はどのレベルが合格答案になるのかがわからなかったので、ロースクール突破小教室を受講することにしました。これは各入試を突破した先輩の講義及び過去問の合格答案例を入手できる貴重な機会ですのでぜひ受講をおすすめします。
 

学部成績について

 私は法学部以外出身で、法学部単位は30程しか取得しておりません。そのうち講義にあまり出席しておらず伊藤塾の教材のみで学習しているものでも大体は優がきていました。
 冒頭で述べたこととも重複しますが、学部授業は専門知識を学問的見地から深く理解するという意味では極めて重要ですが、やはり法科大学院及び司法試験の合格という目標達成のためにはそれだけでは足りません。もっとも、学部試験も問われることは変わらないので、塾の講義で体系的知識を身につけ、学部授業で個々の箇所につき深く理解し、塾の答練で事務処理能力を養うというプロセスを意識し、活かすことが学部成績の向上及び試験の合格につながるのだと思います。

直前期と試験当日

 勉強面では、およそ2ヶ月前から自身の穴となっている分野を埋めることに専念しました。特に京都大学は1科目でも極端に悪い科目があると不合格になってしまうため、極端に弱い部分は作らないよう意識していました。
 精神面では、基本ですがとにかく早寝早起きを意識していました。緊張していて眠れないこともあるかもしれませんが、試験前夜にちゃんと寝るか否かで順位が簡単に前後してしまうため、「寝る時間」を体にも覚えてもらうことは重要です。

入学前準備と合格後に必要なこと

 入学後の授業で、要件事実論の知識を前提とした授業があると聞いていますので要件事実の勉強と、苦手なまま放置していた行政法の勉強をする以外は日々のんびりと過ごしています。入学後は勉強に追われ、法律以外のことに目が行き辛くなるでしょうから、この時期は司法試験に合格するまでの、海外旅行をする、友人と遊ぶ、居酒屋で見知らぬ人の話を聞き議論するなど、法律以外の見識を深める最後の期間だと思います。決して遊びの推奨をするわけではなく、将来自分が法曹として行う「人対人」の仕事を見据えれば、様々なことを見知り経験しておくことも大事で、そこで得た見識が「合格後を考える」上で大きな手がかりになり得ます。
 またこれから先、法曹人口の増加により就職競争の激化が予想されています。これは事実だと思いますが、あくまで法曹が法律相談や法廷の仕事をするなど、従来の仕事にとどまるものであると考えた場合の話だと思います。
 これから法曹を目指される方は、従来通りの法曹のイメージだけではなく、ご自身の学修分野・興味・希望進路のイメージなどを拡大させて、新たな法曹の在り方を考えながら法律の勉強をしてほしいなと思います。その意味で、他の専門分野を学修なさった方への法曹界への参入が増加すればと思っています。

最後に

現行制度での司法試験合格が従来のものより長いか短いかは個人差があると思いますが、精神的な負担は変わらないと思いますし、結局やらなければいけない勉強と上手に付き合うには、日々の学習内容を楽しむことと休憩を上手にとることに尽きると思います。
 ともに険しい道のりではありますが、司法試験合格後、ともに御仕事ができることを祈っています。


(2011年3月・記)