基礎マスターの受講にあたっては受講後の復習が最も大事だと思います。

Y . I さん
 

私立大学法学部4年在学中
【合格校】
・東京大学法科大学院(既修)
・慶應義塾大学法科大学院(既修)
・早稲田大学法科大学院(既修、未修)

【受講講座】
入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、適性試験模試 など

※プロフィールは、2010年合格時点のものです。



はじめに

私が弁護士を志したのは、伊藤塾OGでもある土井香苗弁護士の講演を聴いたのがきっかけでした。当時中学生であった私は、法律家としてNGOと連携し、難民支援に携わる土井弁護士に憧れ、弁護士という仕事に興味を持ちました。そして、将来は土井弁護士のように、弱い立場にある人々の力になれる弁護士になりたいと思い、法学部に入学しました。
法学部入学当時は体調を崩しており、長期入院・自宅療養のためしばらく大学へ通えなくなったため、法律の自習教材として、伊藤塾の在宅講座を受講することにしました。伊藤塾を選んだのは、在宅でDVD受講ができたことと、旧司法試験の現役合格者が多いと聞いたからです。

私がとった勉強方法 

適性試験対策について

適性試験は伊藤塾の適性試験模試を5月に受講しました。まわりの友達が皆受講していたことから私も受講したのですが、それまで適性試験の対策を全くしていなかった私としては、強制的に模試を受ける機会を作れたことはよかったと思います。特に日弁連の試験は時間がないので、模試で試験時間の感覚を掴めたことは収穫でした。模試で、推論・分析系が弱いことがわかったので、試験直前期はその部分の過去問のみを行い、比較的得意であった読解系はほとんど対策をせずに試験に臨みました。結果的にではありますが、自分の目標としていた点数をとることができたのでよかったです。

法律科目試験対策について

(1) 基礎的な法知識・法理論の修得について
基礎的な法知識・法理論は、基礎マスターを受講することで勉強しました。基礎マスターの受講にあたっては、受講後の復習が最も大事だと思います。私の場合、生来の怠惰な性格に加えて在宅受講であったため、特に3科目目である刑法の基礎マスターは、ほとんど聴き流すだけで復習もなしというような状態になってしましました。この時期に復習をさぼったため、後々刑法の知識不足に苦しむことが多くあり、論文マスターも消化不良になってしまいました。結局、大学3年生の冬に一から基礎マスターを読み直し、司法協会の講義案も参照しつつ刑法の勉強をやり直しました。その後の講義を意義あるものにするためにも、基礎マスターはしっかりと復習をしつつ受講することが望ましいと思います。

(2) 実践段階の学習について
まず、論文の書き方に関しては、呉講師の商訴完全マスターが参考になりました。特に、問題文の分析の仕方や、一行問題の書き方がそれまで全くわからなかったのですが、呉講師の講義はそれらの点について厚く指導をしてくれたのでよかったです。
論文のアウトプットとしては、コンプリート論文答練を受講しました。私の場合、書く練習と勉強のペースメーカーいう位置づけで答練を使っていました。答練はどうしても添削者により採点にばらつきがでるので、自分なりに答練をどう使うのかをしっかり定めて受講するのがよいのではと感じます。
私は慶應義塾大学と東京大学の法科大学院を受験しましたが、どちらにも共通して言えるのは、論証をコンパクトにする必要性があるということです。慶應義塾大学は、昨年度までに比べると商法・訴訟法の問題のボリュームは減りましたが、依然として問題量に比して試験時間が短いです。また、東京大学はとにかく解答用紙の紙面が少ないです。論文の答練など、日ごろから論証をコンパクトに書く練習をすることが試験対策としては有益になると思います。  

パーソナル・ステートメント対策について

慶應義塾大学ではステートメントが大事になるという話はよく聞きます。とはいえ、学生ではいままで何か特徴のある活動をしてきた方以外、大して評価に差はつかないとの話も聞きます。あくまでも個人的な感想ですが、社会人経験のない法学部の学生であれば、ステートメントのために多くの勉強時間を削ることは必要ないのではと思います。

学部成績について

学部成績は、法科大学院入試、特に東京大学法科大学院入試においてかなり重視されているとよく聞きます。自身の反省も踏まえてですが、良い成績をとるために必要なのは、大学の授業を真面目に受けることに尽きると思います。
大学の授業で先生方がされる話は、受験指導校とは異なり、直接的に試験に関係する情報ではないこともあります。しかし、私個人の感想としては、聴くのと聴かないのとでは法律に対する見方や理解が異なるのでは、と感じます。私自身、それほど真面目に授業に出席する学生ではありませんでしたが、それでも、法律家を目指すにあたって大学の授業で得たものは少なくなかったと思います。

志望校の選択について

私は、弁護士としてできる仕事の可能性、幅を広げたいと考え、東京大学法科大学院を選びました。
志望校の選択をどうすべきかは、自分がどのような法律家になりたいか、という点に尽きるように思います。裁判官なのか検察官なのか、弁護士であればどのような職種で、どのような地域で働きたいのか。例えば、弁護士でも大手四大事務所への就職は東大出身者が有利といわれます。そうした大手へ就職する気がないのであれば、司法試験の実績や、勉強環境等他の要素を重視して選ぶ方法もあると思います。志望校選択の基準はまさに人それぞれではないかと思います。

直前期と試験当日

直前期は、間違えた問題を中心に「問題研究」の論点抽出を繰り返し行いました。直前期は6科目(7科目)全てを見渡して記憶を喚起する必要があると思うのですが、情報の一元化を徹底していなかったため、今まで行ったことを穴なく見渡すことはできなかったと思います。普段からの情報の一元化は非常に大事だと実感しました。

伊藤塾の学習と大学生活との両立、学習フォローについて

私は大学ではサークル活動やゼミにも積極的に参加しており、まとまった勉強の時間は3年冬頃まではとれていなかったように思います。3年の冬までは、講義を持ち歩いて、学校での空き時間に講義を聴いて勉強していました。自分の生活に合わせて自由な時間に勉強できるのは、在宅受講の利点だと思います。

入学前準備として

法科大学院に入学すると、学校の勉強に追われて新司法試験対策はできないと聞きます。そこで、入学までに新司法試験対策として、商法・訴訟法の短答式問題集をやりたいと思っています。また、今までは不十分であった条文・判例の読み込みや、基本書をじっくり読むことを入学前までにできたらと思います。


合格後に必要なこと

法律事務所の就職難が叫ばれる昨今の法曹界ではありますが、就職難は今どの業界も同じではないかと思います。合格後、法律家として働いていくのに必要なのは、自分が本当に法律家になりたいという気持ちの強さ、明確さではないかと私は考えています。私自身、もっとよく自分を見つめて、自分の目指す将来像を明確にしていかなければと思います。 


最後に

入試は、2回行えば合格者の下半分は入れ替わるともいわれます。また、私は今回の入試で自分の満足のいく勉強をやりきれたわけでもありません。ですから、正直、私が法科大学院入試に合格しただけで、この体験記で何か他の方に語れることなどほとんどないと思っています。ですが、もしこの体験記が、これから受験される方にとって何か役立つことがあるなら幸いです。
法科大学院入試を受けるにあたって、多くの方に助けられました。多くのアドバイスをくださり、励ましてくださった先輩方、勇気づけてくれた仲間たちに心から感謝いたします。ありがとうございました。

(2011年1月・記)