テキストを何通りもの方法で読みこむことで、基礎的な力は100%基礎マスターから得ました。
山本 真裕 さん(22歳)
【合格校】
・一橋大学法科大学院(既修)、 早稲田大学法科大学(既修・半額免除学生)、 中央大学法科大学院(既修・半額免除学生)
◆適性試験 / 第1回:205点 第2回:242点
◆学部成績 / A:B:C:D=10:36:9:7
◆受講講座 / 司法試験入門講座本科生、コンプリート論文答練 など
※プロフィールは、2012年合格時点のものです。
私がとった勉強方法
法律科目対策について
(1)基礎的な法知識・法論理の修得について
基礎的な力は100%基礎マスターから得ました。どう知識を吸収したかというと、何通りもの方法で読むということです。私の場合は以下の通りです。
あ)習熟度が低いため、理解することを目標とする読み方。まず、書いてあることがわからない時には、時間をかけ、納得いくまで同じ場所を何回も読みました。この段階では論証の流れ、要件や定義を覚えること、細かい条文などは無視し、とりあえず書いてあることが理解することを重視しました。
い)あで無視した要件等の暗記を重視し、論証を身につける目的の読み方。択一用の細かい条文などはまだ飛ばしますが、暗記カードを作りながら読み、論点をみたら一応の論証を頭の中で組み立て、確認していきました。
う)確認を目的とした読み方。ラインマーカーを引いたところだけを読みます。基礎マスターテキスト1冊だとだいたい30分から45分くらいです。この読み方で択一用の細かい知識も吸収しました。
このような複数の読み方をすることによって知識が様々な角度から入ってきて忘れにくいという効果があったと思います。
(2)実践段階の学習について
一橋の対策についてですが、他の大学院と比べて一橋の論文試験は少しクセがあるといわています。憲法・民法・刑法の場合は、論文マスターでも取り上げられないようなマイナーな論点が大問をまるまるひとつ占めてたりすることも通常です。もちろん基礎マスターに載っていたとしても、分量が全く足りないでしょう。
そのため、解答では「司法権」「法益」等の抽象的な概念の理解をきちんと示すことが大切です。特に、毎年憲法の統治機構から、マイナーまたは見たことのない論点から大問が一つでる傾向がありますので、論証のパターンを覚えるより、有機的に重要概念を把握しておくことが必要です。有機的な理解とは、ただ定義を覚えるものではありません。「法益」とはなんですか?と聞かれたらそれだけで解答用紙一枚程度書けるようでなければなりません。一番効果的なのは伊藤塾長の話をしっかり聞き、メモをとり、そしてそれを塾長のセリフ通りではなく、自分の言葉で説明できることです。
訴訟法は、細かい知識まで身につけることが不可欠です。私の年では、民事訴訟法で「送達」や「二段の推定」が出題されました。私の場合は、予備試験の実務科目でこれらの知識を習得しました。あまり触れることのない細かい知識を身に着けるためだけでも、予備試験を受験する価値がある、と今になって思っています。
適性試験対策について
はじめは、時間が倍あっても終わらないぐらい解答が遅かったのを覚えています。センス勝負といわれがちですが、そんな私でも最終的には8割以上とれたので訓練は重要です。第2部が一番の難関で、小問一つわからないとその先の小問は全部わからなくなってしまいます。伊藤塾の模試は第2部が難しいので、ひたすら繰り返し、安定した点数をとれるようになりました。
伊藤塾の学習と大学生活との両立について
私は、特に大学生活を犠牲にすることなく、サークルの代表、旅行、アルバイトなど、楽しみながら受験をすることができたと感じています。
重要なことは、やはり溜めずに、講座のスケジュールについていくことです。復習というのは意外と時間がかからないもので、10分もあれば一章ぐらいは読みこめます。しかし、講座を進めていない人は復習する範囲がなく、10分の復習をすることはできません。あとで一気にまとめてするか、それともコツコツやるか、後者のほうが勉強時間単位が短い分、総勉強量だって多くなるに決まっています。
このように勉強を進めていった結果、特にほかの時間を犠牲にすることなく受験できたと思います。
合格後について
私は、合格後には大手弁護士事務所に入り、ビジネスローヤーとしての能力を養い、最終的には、法律家としてのM&Aアドバイザーになりたいと考えています。この分業化の時代にまだまだ弁護士は一般的にすぎます。弁護士が必要と思わせるためには、弁護士でなければできないような専門的な法務サービスを提供する能力を、弁護士側がつけるべきです。なので、私はビジネスローヤーの中でも、M&Aに特化したいと考えています。
最後に
私の受験生活を振り返って良かった点は、夢、希望や自信を持ち、常に精神面をプラスの状態に保てたことです。自分の生活に満足できます。これから、法律と人生の大部分をともに過ごしていくわけですから、法律と良い関係を作ることが大切です。そのためには、直前になって焦らないように計画的に勉強を進める、小さいことにとらわれすぎない、などのことが大切です。