難関法科大学院入試も、論証と基礎マスター記載の重要判例を押さえておけば、苦しい試験ではない
Y.Kさん
◆学部成績/[GPA]:(3.60)S(A+、優以上):A(優):B(良):C(可)=32:58:44:6
◆受講講座/司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニングなど
◆合格校/大阪大学法科大学院(既修)神戸大学法科大学院(既修)早稲田大学法科大学院(既修)
はじめに
伊藤塾には大学2年生の4月に入塾しました。受験対策として伊藤塾を選んだ理由は、まずその圧倒的な実績です。司法試験合格者数が多いだけでは合格率と一致するとは限りませんが、多くの人が選択している塾を選ぶことで、周りとの格差を広げないようにすると考えました。また、多くの大学の先輩が伊藤塾で受講しており、入塾をすすめられたのも大きな要因です。結果として伊藤塾の講義や教材は現在に至るまで主要な学習教材として利用しており、非常に有用だと思います。そして、私ははじめ予備試験合格を目指していましたが、3年次・4年次ともに勉強が間に合わず、法科大学院の受験を目指すことにしました。法科大学院に行くなら、京都大学と決めていました。理由としては、もちろんそのレベルや実績もありますが、もともと京都という土地が好きで、憧れていたというのも大部分を占めています。
基礎的な法知識・法理論の修得について
基本的な法知識や法理論を修得するにあたっては、伊藤塾の基礎マスターおよび論文マスターの受講とその復習に専念しました。とはいえ、私は上記講座を受講するにあたり、カリキュラム上かなりの遅れを出してしまっており、大学4年次の予備試験短答式試験以前は本格的な勉強ができていませんでした。その後、できるだけ短い期間で多くの知識を詰め込み、法科大学院入試を戦える状態にするために、論文マスターに掲載されている論証を論文ナビゲートテキストで確認し、ひたすら論証を暗記することを基本としてインプットとアウトプットの技能を身につけていくようにしました。講師によっては、基礎マスターの授業中に論文ナビゲートテキストにマーク指示をしてくれていたので、重要な部分を要領よく覚えていくことができました。一通りその作業を終えた後は、暗記した論証を忘れないよう復習しながら、論文マスターで扱っていない論証や周辺知識の暗記を繰り返し行いました。
法科大学院対策について
〈早稲田大学法科大学院〉
早稲田大学法科大学院の入試は、憲法、民法、刑法、両訴法の5科目で行われます。上記のように、勉強開始が遅かった私にとっては、科目数が少なく、レベルとしても適度な法科大学院だったので、力試しとして最適でした。早稲田大学法科大学院は、刑法や両訴法で典型論点がズバリ出題されるので、論文ナビゲートテキストの論証を暗記することが有効な手段です。その他、憲法、民法、刑法の事例問題も、論文マスターを受講していれば足りるような基本的な問題です。私立大学法科大学院への進学を考えていない人でも、早稲田大学法科大学院はぜひ力試しに受験してみることをおすすめします。
〈京都大学法科大学院〉
京都大学法科大学院入試の特徴は、大阪大学法科大学院や神戸大学法科大学院に比べて試験時間が長めかつ問題数も多く、出願書類の配点が高いことです。京都大学法科大学院の問題は、通常の事例問題以外にも憲法の統治の問題や、両訴法の一行問題、商法では手形小切手法が出題されるなど特殊な問題が多く、他大学法科大学院と比較して対策する分量が多いので、早期の対策が必要です。論文マスターではこれらの問題も扱われているので、よく復習しておくといいです。そして、試験時間は大問1問につき1時間の割合であり、大阪大学法科大学院や神戸大学法科大学院よりは時間的余裕がありますが、少し捻りのある問題なので、答案構成を丁寧に行う必要があります。とはいえ、基本的には論文ナビゲートテキストの論証を暗記できており、基礎マスターに記載されている重要判例などもしっかり押さえておけば苦しい試験ではないと思います。出願書類の配点については、400/950と割合が高いので、大学での普段の授業もそれなりに良い成績を取得しておくことが求められます。
〈大阪大学法科大学院・神戸大学法科大学院〉
大阪大学・神戸大学の法科大学院は、共通する要素が多いのでまとめて記述します。両法科大学院入試の特徴は、試験時間が短く、書類点の割合が低いことです。まず、試験時間について、両法科大学院入試は大問1問あたり40 ~ 45分で処理する必要があり、これは答案構成などの時間も考慮すると、わりと厳しめの時間設定だと思います。その対策としては、論証などを丸暗記するのではなく、キーワードでざっくり暗記し、長くも短くも書くことができるようにしておくのが最適です。また、書類点の割合については、神戸大学法科大学院は全体の1/7、大阪大学法科大学院は全体の1/9で、京都大学法科大学院と比べてかなり低いです。したがって、当日の試験で着実に得点していくことが重要です。問題自体は典型的な問題が出題されるので、基礎マスター・論文マスターを受講し、盤石な基礎知識があればペンが止まることはないと思います。
おわりに
伊藤塾を利用して特によかったと感じたのは、法律知識を修得できたことはもちろんですが、個人的には「勉強しなくてはいけない」という意識を絶えず持つことができた点です。そのように意識するだけでも、大学での意識も大きく変わってくると思います。法科大学院に入学してからは、また勉強漬けの毎日が待っていますが、憧れの土地で生活し、レベルの高い学生たちと切磋琢磨し合えるという環境はとても喜ばしく、待ち遠しいことです。これから予備試験や法科大学院入試に向けて勉強する皆さんには、ぜひともモチベーションを見つけてほしいと思います。モチベーションがあり、そのために勉強することに対し納得できるのが、長期にわたり勉強するコツです。納得は全てに優先します。頑張ってください。応援しています。