論証はコンパクトに最低限の情報のみを抽出して書くことを意識しました

合格者イラスト
S さん  東京大学法学部4年
 
◆学部成績
GPA 3.1 / 優上:優:良:可=4:16:34:12
◆受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、法科大学院別過去問分析講義+法律科目論文模試など

◆合格校
東京大学法科大学院(既修)

はじめに

私は大学2年次に伊藤塾に入塾し、4年次での予備試験合格を目標に勉強していましたが、これが叶わず、法科大学院への進学を目指すに至りました。法科大学院受験においては、他の法科大学院の受験も視野に入れたタイミングはありましたが、第一志望に落ちたら留年して翌年また予備試験と法科大学院の勉強を続ければよいと思っていたので、東京大学法科大学院を単願しました。TOEICは890点ありましたが、学部成績は(巷ではGPA3.2あるといいと言われていましたが) GPA3.1と最低限という程度でした。さらには大学の先輩方の中にも、東京大学法科大学院に落ちた方も多いと耳にしており、受験直前は合格の自信はあまりなかったというのが正直な感想です。

私の勉強方法

【基礎学習について】
もともと予備試験合格を目標に勉強しておりましたので、2年次には基礎マスター、3年次には論文マスターとコンプリート答練をこなしておりました。これらの伊藤塾の教材以外には特に教材は利用しておらず、大学の授業なども伊藤塾の教材で対応していました。答練や模試などで答案を書くようになってからは論証を叩き込む回数も増え、典型論点は頭に入るようになりました。今振り返れば、ある程度インプット学習が進んだら、自信がない分野があっても、手を動かすアウトプット学習に早めに切り替えるのが要なのだと思います。その過程で論文ナビゲートテキストに情報を一元化するという作業を、自分はいまだに勉強の根幹に据えています。
 
【法科大学院対策について】
〈東京大学法科大学院〉
東京大学の法科大学院入試が、予備試験の論文式試験と大きく違う点は、1時間と答案の容量が圧倒的に少ないこと、2典型論点以外を問う問題が出ることの2点でしょう。1については、答案用紙はマス目付きの原稿用紙であり、必要な記述も分量が膨らめば書ききるのが難しく、また時間も民事系・刑事系・公法系それぞれ70分と極めて短く、これに対応する必要があります。具体的には予備試験の時のような改行をできる限り減らし、論証もコンパクトに最低限の情報のみを抽出して書くということを意識していました。そうはいってもこの作業はあまり難しくはなく、このことを意識して何回か答案を書けばその感覚が自然と身につくはずです。私は、法科大学院別過去問分析講義や法律科目論文模試での答案作成を経てこの対策をしました。むしろ厄介なのは、2の方です。もちろんそのような分野での出題では差がつかないというのは前提としても、過去には様々な枝葉末節というべき分野からの出題があり、出題への恐怖心を払拭すべく、ある程度の対策は必要であろうといえます。具体的には、私は直前期に基礎マスターの読み直しをしましたが、結果としてその作業は、単なる安心感を超えてある程度合格に寄与したのではないかと思います。

おわりに

予備試験受験生の中に身を置いていると、法科大学院に進学することは、学部在学中の予備試験合格に比してある種の負のレッテルが貼られている選択であるように思えます。実際私もそう考えていましたし、法科大学院入試直前も、予備試験の失敗によって入試を受けざるを得ない、さらにはその入試にすらも落ちるかもしれないと絶望にも似た心持ちでした。もちろん入試本番も特殊な問題が出ますから、直後には落ちたかもしれないとさらなる絶望感に打ちひしがれました。しかし、結果的には合格していました。すると、やはり合格はどんなものでも嬉しいものです。周りの合格した友達と、労いあい、春からの新生活と予備試験の両立は難しいだろうかなどと不安を口にしあう瞬間でさえも、合格という事実によって不思議と晴れ晴れとした気持ちになります。この文章の読者の方が私と同じ境遇かどうかはわかりませんが、院試の必要性が生じたのならば、もう今はその目標に向けて努力するしかありません。そして、合格すれば単純に嬉しいものです。ですから、ぜひ前向きな気持ちを持って、ご自身の目標への努力を続けてください。