司法書士試験合格後司法試験にシフトし、予備試験に合格。合格した勝因はとにかく正しい方法論で勉強したことです。
J.Jさん
放送大学教養学部4年在学中
【受講講座】
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、コンプリート論文答練、憲民刑集中講義 など
※プロフィールは、2011年合格時点のものです。
はじめに
私は、司法書士試験受験をする際に、伊藤塾の司法書士講座(主として午後科目の蛭町講師の講座)を利用しており、司法書士試験に合格後、そのまま伊藤塾の司法試験対策講座へとシフトしました。司法書士講座の蛭町講師の講義のクオリティが大変良かったので信頼感があったのがその理由です。
また、あえて受験指導校で勉強することを選んだのは、法律科目は膨大な情報量があり、この中から試験に必要な部分のみを抑えることを個人でやるのは非効率であるからです。
私がとった勉強方法
基礎的な知識・法理論の修得について
ア 私は、まず基礎マスターで必要な情報、すなわち他の合格レベルの受験生なら誰でも当然に書くことのできる条文・論点を理解したうえで、基本書でさらに理解を深めるという勉強をしています。基礎マスターの最大のメリットは、事案に条文を適用するにあたり、論証することが不可欠な論点について、伊藤塾長はじめ講師の方の明示があることです。また、基礎マスターテキストや、情報シートの最大のメリットは、情報の集約化が1冊でできることです。学者の先生方が書いた基本書では、漫然と読んでしまうと、論点を論点と気づかなかったり、情報の集約化に不向きだったりします。あくまで試験に合格することが目標である以上、勉強するうえで有益なツールを選択する必要はあり、 伊藤塾を利用することで有益なツールを手に入れられるというメリットがあります。 イ 「基礎マスターテキスト」・「情報シート」と基本書の役割分担
もっとも、「基礎マスターテキスト」や「情報シート」は、あくまで試験に必要な情報を、試験対策を目的として、多くの文献を参照しながら集約化したものである以上、そこに記載されている情報は、作成者オリジナルの一次情報ではないというデメリットがあります。そのため、疑問が生じた論点については、さらに基本書を参照する必要も生じるかと思います。
しかし、私見では、少なくとも旧司法試験短答式試験や予備試験短答式試験などは、「基礎マスターテキスト」や「情報シート」をきっちり理解するだけで十分合格できます。「基礎マスターテキスト」や「情報シート」を読んで、短答式試験の点が上がらない、あるいは典型論点の論文が書けないなどの場合は、単にテキストの読み込みが足りないからだと思われますので、下手に色々な本に手を出すよりも、「基礎マスターテキスト」や「情報シート」をしっかり仕上げることに集中するのが合格への近道だと思います。
逆に、短答式試験は合格レベル、論文式試験も典型論点はある程度書けるようになった状態では、個別の論点についての理解を深めるため様々な基本書を参照するのは非常に有効な勉強法になるかと思います。私も、短答式試験合格後、典型論点がある程度書けるようになった後については、相当数の基本書を濫読し、参照先を「基礎マスターテキスト」や「情報シート」に書き加えるという勉強をしていました。
短答式試験対策について
テキスト、六法の読み込みと新旧司法試験の過去問演習で十分だと思います。
私は憲法、民法、刑法については「情報シート」と判例六法の読み込みを行い、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法及び行政法については、岡崎講師が短答マスターで指摘された重要部分を判例六法にメモし、判例六法を読み込んで条文判例を理解するという勉強をしていました。
論文式試験対策について
「基礎マスターテキスト」・「情報シート」を理解したうえで、基本書を濫読しつつ、問題研究で旧司法試験過去問を繰り返し答案構成するという勉強を行いました。また、新旧司法試験の論文式試験過去問については、旧司法試験については5年分、新司法試験についてはすべての答案を書き、ヒアリングも読みました。特に論文式試験については、学者の先生方の問題意識を理解しておくことも必要になりますので、ある程度良い基本書を参照するのが有益と思い、基本書を各科目数冊ずつ読みました。
法律実務基礎科目対策について
民事系、刑事系とも、岡崎講師の基礎マスターを受講し、答練でアウトプットの学習をしました。また、使用するテキスト以外でも、民事は大島眞一先生の民事裁判実務の基礎、刑事は植村立郎先生の実践的刑事事実認定と情況証拠他を読み込むなどしましたが、正直ここまでする必要はなかったのではないかと思います。実務科目については、実体法の基礎を理解した後で、基礎マスターで使用するテキストをしっかり理解したうえで答練を受ければ十分かと思います。
一般教養科目対策
ア 短答式試験
テキストを読んで、公務員試験の過去問を解きました。が、今年のように難易度の高い問題が出題されるのであれば、正直英語以外は頑張ってやってもあまり意味が無いのではという印象です。公務員試験を併願するなどで一般教養科目までやるのが必要な方以外は、英語だけやれば十分と思われます。短答式試験の合格点が、司法試験の短答式試験の合格得点率を下回ることはないと思われるので、法律科目で8割とることを目標に、あとはオマケで英語くらいの勉強で受かると思います。 イ 論文式試験
法律科目の勉強が忙しかったので、私は一般教養科目の論文式試験対策など全くやっていません。試験直後は問題なく書けたと思ったのですが、意外にもF評価で驚いています。逆に言えば、一般教養でFをとっても論文式試験合格は可能ですので、法律科目の息抜き程度でやれば十分だと思います。伊藤塾では一般教養科目試験の対策講座もパック受講の中に入っていましたが、あまり受講していませんでした。もったいないことをしたなと思います。
口述試験対策について
六法を読んで、基礎マスター実務基礎科目で使用するテキストを読んで、口述模試を受ける程度でしょうか。今年の印象としては、旧司法試験とあまり変化がないと思いました。そのため、旧司法試験の口述過去問をやるのもいいと思います。
旧司法試験との関係について
私は旧司法試験を2009年、2010年の2回受験しているため、憲法、民法、刑法の短答式試験対策はそれほど困難ではありませんでした。また、司法書士資格も有しているため、民事訴訟法、商法の短答式試験対策もそれほど大変ではありませんでした。旧司法試験プロパーでやってこられた方は、民事訴訟法、刑事訴訟法、商法の短答式試験対策が結構大変とは思いますが、条文判例を理解すれば短答は合格できますので、科目が増えた分は勉強するしかないのではと思います。
論文式試験については、憲法の傾向が新司法試験の短縮版になり、商法と民事訴訟法が長文化した程度の変化です。憲法については、旧司法試験の勉強をきちんとやってきた方なら、伊藤塾オリジナル問題集や新司法試験問題を解くほか、判例を訴訟法選択を意識しながら読むことで出題傾向の変化に対応すれば十分と思います。商法、民事訴訟法の長文化についても、答練や新司法試験過去問の検討などで慣れておけば十分と思います。
司法試験受験の準備として
私は現在、士業事務所にてパートタイム(週3日)で働き、残りの4日は一日12時間程度勉強するという生活をしています。私の勉強法は、ひたすら量をこなす方法ですので、フルタイムで働いている方に対してのアドバイスは持ちあわせていません。逆に、学生で時間がある方は、とにかく勉強時間の確保に努め、インプット、アウトプットを行うほかないと思います。
司法試験受験の準備として
上記の勉強をただ継続するのみです。何か他に楽して(勉強しないで)受かる方法がないかと色々考えましたが、見つかりませんでした。
最後に
受かった勝因を一つあげるとすればとにかく勉強していたことでしょうか。勉強しても合格するとは限りませんが、勉強しなければ合格するわけがないですので、世の中的には世知辛くなっていますが、受験をするのであれば、とにかく淡々と勉強するほかないかなと思います。受験生の皆様は淡々と勉強してください。私も淡々と勉強します。