行政書士は恥ずかしい資格?実務家の本音と共に検証しました!
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「行政書士になっても恥ずかしいだけ」
「行政書士試験を目指すのは恥ずかしいこと」
こんなネガティブな声を耳にしてしまい、不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
当然ですが、行政書士は決して恥ずかしい資格ではありません。
立派な「国家資格」であるうえ、「8士業(職務上の特別な権限が認められた資格)」にも含まれた社会的信用の高い資格です。
難関資格ではありますが、自信を持って誇れる素晴らしい資格と言えるでしょう。
それでは、なぜ行政書士を恥ずかしいと言う人がいるのでしょうか?
この記事では、
・行政書士を恥ずかしいと言う人の理由
・実際に行政書士として活躍している人の声
・行政書士の本当の魅力
について解説します。行政書士に興味がある方は、是非ご一読ください。
【目次】
1.行政書士は恥ずかしい資格ではない
2.行政書士を恥ずかしいという人の理由
2-1.簡単に合格できる資格だから
2-2.合格しても役に立たない資格だから
2-3.年収が低い資格だから
2-4.ただの「代書屋さん」だから
2-5.将来性が低い資格だから
3.実際どうなの?行政書士として活躍する人の声
4.行政書士の本当の魅力は?
4-1.学歴や職歴で不利になることがない
4-2.独立・開業しやすい
4-3.仕事の幅がとても広い
4-4.人から感謝される機会が多い
5.最短で行政書士になるにはどうすればいい?
6.まとめ
1.行政書士は恥ずかしい資格ではない
行政書士は、決して恥ずかしい資格ではありません。
行政書士法に基づく「国家資格」であり、国民の権利を守るために活躍している法律専門職です。行政書士制度が「国民の権利利益の実現に資すること」を目的に定められていることは、法律によっても明記されています。
また、行政書士は、社会的な信頼も非常に高い資格です。
「弁護士」や「司法書士」などと並ぶ「8士業」に含まれており、業務上必要な場合には、戸籍・住民票の請求を行う権限も認められています。
これは、行政書士に対する社会的な信用の高さの表れだと言えるでしょう。
さらに、行政書士になるためには、合格率がわずか12%程度しかない難関試験を突破しなければなりません。合格には、相当の努力が必要で、決して簡単に合格できる試験ではありません。
行政書士を「恥ずかしい」と言う人は、行政書士制度についての知識が不足しているか、合格を諦めた人の可能性が高いと言えるでしょう。
そのような「恥ずかしい」という意見を真に受ける必要は全くありません。
2.行政書士を恥ずかしいという人の理由
行政書士を恥ずかしいと言う人の理由として代表的なのは、次のような内容です。
・誰でも合格できる資格だから
・合格しても役に立たない資格だから
・年収が低い資格だから
・ただの代書屋さんだから
・将来性が低い資格だから
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
2-1.簡単に合格できる資格だから
簡単に合格できる資格だから、行政書士を名乗ることが恥ずかしいと言う人もいます。
確かに、本格的な法律系国家資格の中では比較的挑戦しやすい試験です。
行政書士になったことをきっかけに、司法書士や弁護士に挑戦する人も多く、法律家として登竜門のような位置づけにある資格と言えるでしょう。
しかし、簡単に合格できるというのは無理があります。
例えば、行政書士試験の直近3年の試験をみると、平均的な合格率は12%程度しかありません。
【行政書士試験の合格率】
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年度 | 46,991 | 6,571 | 13.98% |
2022年度 | 47,850 | 5,802 | 12.13% |
2021年度 | 47,870 | 5,353 | 11.18% |
つまり、10人受験すると、9人は不合格になってしまうのです。
決して簡単とは言えず、むしろ難関資格に位置づけられる資格だと考えて間違いないでしょう。
2-2.合格しても役に立たない資格だから
行政書士は、合格しても役に立たない資格だという人もいます。
確かに、資格を十分に活用できていない人が、一定数いることは間違いありません。
「資格を取ったが役に立たなかった」という人もゼロではないでしょう。
しかし、これは行政書士に限った話ではありません。
医師であろうが、弁護士であろうが、資格と関係無い仕事に就いている人はいるからです。
さらに言えば、資格を取得しただけで、安泰という時代は終わっています。
大切なのは、試験に合格した後、資格をどう活用するかを徹底的に考え抜くことです。
合格は最初に超えるべきハードルであって、目指すべき真のステージは「合格後」にあるからです。そのためには、単に資格を取るだけでなく、「知識」「思考力・応用力」「問題発見・解決能力」などの「力」を養うことが求められます。
伊藤塾の「行政書士合格講座」でも、合格のための指導に留まらず、「実務家として考える力」を養うための指導と機会の提供に努めています。
※伊藤塾の合格後を考えた取り組みについては、こちらのページをご覧ください。
→「合格後を考えた伊藤塾の取り組み」
2-3.年収が低い資格だから
行政書士は「年収が低い資格だから恥ずかしい」と考える人もいます。
しかし、行政書士の年収は人によって大きな開きがあります。
例えば、副業で働いているため、行政書士としての年収は「100万程度」しかない人もいるかもしれません。一方で、事務所を開業して「1000万以上」の年収を得ている人もいます。
因みに、厚生労働省の職業情報提供サイトによれば、令和5年の行政書士の平均年収は「551万円」です。
2023年度(令和5年度) | |
行政書士の賃金(年収) | 551万4千円 |
一般労働者の賃金 | 318万3千円 |
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省)※行政書士の賃金(年収)は職業情報提供サイトjobtag(令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)より引用
行政書士の年収は、一般労働者の平均賃金「318万円」と比べても、決して低いとは言えません。
もちろん、行政書士になると、誰もがすぐに高年収を得られるわけではありません。
それまでの経験や環境、個人の能力によって、年収は大きく変わってきます。未経験から「即独(合格後すぐに独立すること)」したようなケースでは、経営が軌道に乗るまで、時間がかかるケースもあるでしょう。
しかし、地道に営業努力を続けていけば、高年収を得られる可能性は十分にあります。
2-4.ただの「代書屋さん」だから
行政書士は、1950年までは「代書人」と呼ばれていました。
そのため、当時の名残として「行政書士=代書屋さん」というイメージが強く残っており、行政書士を恥ずかしいと考える人もいます。
しかし「行政書士=代書屋さん」だったのは、あくまでも行政書士制度が確立していなかった時代の話です。
現代では、行政書士法の改正によって、行政書士が果たす役割は大きく拡大しています。
※行政書士制度の沿革
・1983年 行政書士試験が都道府県知事による試験から国家試験へ・1989年 外国人の在留資格に関する「申請取次行政書士業務」が追加
・2001年 「許認可申請の代理提出権」や「契約書を代理人として作成できること」が明記
・2014年 行政不服申立手続の代理等の業務が認められた「特定行政書士」が誕生
(出典:沿革|石川県行政書士会)
時代の流れとともに、行政書士の活躍する領域が広がっているのです。
現代の行政書士は「ただの代書屋さん」ではなく、「行政手続きの専門家」として、様々なジャンルで活躍しています。
2-5.将来性が低い資格だから
行政書士は将来性が低い資格だから恥ずかしいと考える人もいるかもしれません。
しかし、実際のところ、行政書士の需要は高まる一方です。例えば、高齢化社会の進展に伴い、相続や遺言に関する手続きの需要が増加しています。また、グローバル化の進展に伴い、外国人の在留資格に関する手続きも、需要が高まっています。
一部では、AIの台頭によって、行政書士の仕事が奪われるという声もありますが、現状そのような流れは訪れていません。
むしろ、簡単な業務はAIに任せて、顧客からの相談対応などに専念することで、行政書士としての付加価値を生み出しやすい状況となっています。
行政書士の需要は、今後もますます高まっていくでしょう。
行政書士は、社会のニーズに応じて、活躍の場を広げていける将来性のある資格です。
※行政書士の将来性は、こちらの記事で詳しく解説しています。
→【市場規模が倍増?】行政書士に将来性がある理由について徹底解説!
3.実際どうなの?行政書士として活躍する人の声
行政書士が恥ずかしい資格だと考える人がいる一方で、実際に行政書士として活躍している人たちの声を聞くと、そのイメージは大きく変わります。
伊藤塾の講座を受講し、現在は実務家として活躍している先輩の声を見てみましょう。
伊藤塾受講生【実務家の声】池尻 亜希子(いけじり あきこ)行政書士
◉行政書士って本当に色々出来るんです!合言葉は…「困ったときは池尻さん!」
司法書士をしていた父の姿から「法律家とは言葉で人を幸せにできる素晴らしい仕事だと思い、行政書士を目指すことにしました。
専門性を持とうと思ったのですが、出来る事は全て行っております。許認可が多いのですが、民事法務やコンサルも行っております。丁度開業丸2年ですが、行政書士の職域は本当に広いと実感しております。
また今の時代は誤った情報が沢山飛び交っており、お客様も何が正しいのかわからなくなっていることが多々あります。情報社会だからこそ専門家として適切なアドバイスができるよう気を付けております。
そして何より「困ったときは池尻さん」この一言がとても嬉しいです。他士業者様のお仕事でも「池尻さんの紹介してくれる人なら安心だから、とりあえず困ったら池尻さんに相談しよう」とお電話頂けると、嬉しくて飛び跳ねちゃいます。父のように「池尻さん(で)いい」ではなく「池尻さん(が)いい」と思われるよう常に心がけています。
「行政書士」という職業は、あらゆる事が仕事につながることが魅力だと思います。行政書士の扱える書類の数は10,000種類以上!!
まさに「困ったときは池尻さん」になれる仕事だと思います。
伊藤塾受講生【実務家の声】
新井 勇輝(あらい ゆうき)行政書士
◉市民の相談者として1番近くにいられる存在。それが行政書士の魅力です
『街の法律家』というキャッチコピーは本当にその通りだと思っています。
『相続』というのは私たち一般市民にとって最も身近な法律問題ですし、事業を始める方の許認可取得や会社の設立など、お客様の『これから』をサポートするのも我々行政書士の役割です。
誤解を恐れずに言えば、我々行政書士は街の人々の最も身近な相談者であると思っています。それを生業とする事が出来るという点が行政書士の大きな魅力だと考えます。
こうした先輩行政書士の声を聞くと、行政書士が恥ずかしい資格だというイメージは、現実とは大きくかけ離れていることが分かります。
行政書士は、専門性を活かして社会に貢献し、お客様から感謝されるやりがいのある仕事です。
4.行政書士の本当の魅力は?
行政書士には、他にも知られざる魅力がたくさんあります。
・学歴や職歴で不利になることがない・独立・開業しやすい
・仕事の幅がとても広い
・人から感謝される機会が多い など
ここでは、行政書士の本当の魅力について詳しく解説します。
4-1.学歴や職歴で不利になることがない
行政書士は、学歴・職歴によって不利になることが少ない仕事です。
行政書士試験の受験資格には、学歴・職歴などの受験資格が設けられていないからです。
法律に触れたことがない状態から挑戦し、見事に合格している人もたくさんいます。
さらに、試験に合格した後も、多くの合格者が法律未経験から独立して活躍しています。
学歴、職歴コンプレックスがある人にとって、行政書士は新たな一歩を踏み出しやすい資格だと言えるでしょう。
4-2.独立・開業しやすい
独立・開業しやすいことも行政書士の魅力の1つです。
必要な開業費が少なく、在庫を抱える心配がないため、低リスクで独立開業しやすいのです。
いきなり行政書士だけでやっていけるか不安な人は、副業として開業したり、アルバイト等と掛け持ちして開業するのも良いでしょう。
一口に「独立・開業」といっても、個人の状況に応じて様々な方法があります。
これは、行政書士が自分のタイミングで、比較的自由に働ける仕事だからです。
因みに、行政書士法でも副業で働くことは禁止されていません。
本業やプライベートとの時間を調整すれば、副業・兼業として、低リスクで独立・開業することも十分に可能な仕事です。
※行政書士の独立・開業はこちらの記事で詳しく解説しています。
→「行政書士が独立開業するには?年収・資金・成功のポイントを解説!」
4-3.仕事の幅がとても広い
行政書士は、士業の中でも、特に仕事の幅が広い資格です。
扱う書類の数は「1万種類」を超えるとも言われており、全てに精通することは、現実的ではありません。
そのため、自分の得意ジャンルを見つけて、専門性を高めて行く人が多いです。
例えば、豊富な人生経験を活かして、相続業務を専門的に扱ったり、語学力を活かして、国際行政書士として入管業務を専門的に担当したりする等です。
実績を積み、専門性を高めていけば、自分が興味のあるジャンルで、行政書士としての確固たる地位を築くことができるでしょう。
特定ジャンルで実績を積み、知名度が上がれば、報酬も飛躍的に上がっていきます。
4-4.人から感謝される機会が多い
行政書士は、人から感謝される機会が多い職種です。
その理由は、行政書士が個人や企業の相談者に寄り添い、相談者が抱えている悩みを解決していく仕事だからです。
行政書士が扱う案件は多岐にわたります。
・複雑な家庭の事情を抱えた相続手続き・事業の方向性を大きく左右する許認可申請
・依頼者の人生を左右する入管業務 など
どの案件も依頼者にとって重大な問題であり、行政書士には専門スキルと豊富な経験が求められます。
しかしそれだけに、手続きがスムーズに完了した時には、心からの感謝が贈られます。
「相談者の話に耳を傾け、共感を示しながら、最適な解決策を提案していく」
こうした行政書士の姿勢が、相談者との信頼関係の構築につながるのです。
信頼関係が深まれば、相談者からの口コミが広がり、紹介による新たな仕事も増加します。
「口コミが広がる」「紹介による依頼が増える」「リピート客が増える」などの循環は、経営の安定にも大きく貢献するはずです。
相談者一人ひとりと向き合い、寄り添いながら問題解決に向けてサポートしていくことが、行政書士の醍醐味だと言えるでしょう。
5.最短で行政書士になるにはどうすればいい?
行政書士になるには、行政書士試験に合格することが必要です。
独学で合格するには、一般的に600時間〜1000時間の勉強が必要と言われており、決して簡単ではありません。
もっとも、これはあくまでも平均的な勉強時間です。実際には個人差が大きく、人によって大きく異なります。
例えば、法律の学習経験があったり、要領よく学習できる人であれば、平均より遥かに短い時間で合格する人もいます。一方で、誤った勉強法を続けてしまうと、何年経っても合格できないケースも珍しくありません。
行政書士試験に合格するまでの期間は、勉強の「量」ではなく「質」によって左右されます。
質の良い勉強を継続することこそが、行政書士試験に合格するための最短ルートなのです。
伊藤塾でも、学習経験や学習段階、学習の時期に応じて、様々な講座をご用意し、試験合格、そして合格後をサポートしています。
正しい勉強法を身につけ、質の高い勉強を継続できれば、合格までの道のりを大幅に短縮できるでしょう。
6.まとめ
最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
◉ 行政書士は決して恥ずかしい資格ではない
◉「8士業」に含まれており、社会的信用も非常に高い資格
◉ 合格率は13%程度しかなく、紛れもない難関資格の1つ
◉ 行政書士法の改正によって、仕事の領域は大きく広がっている
◉ 恥ずかしいという意見は、現実とかけ離れている
◉ むしろ、次のような魅力にあふれた資格
・独立開業しやすい
・仕事の幅がとても広い
・人から感謝される機会が多い など
行政書士は、決して恥ずかしい資格などではありません。
試験は簡単ではありませんが、一度合格すれば、自信を持って誇ることのできる素晴らしい資格です。
行政書士試験に挑戦したい方は、ぜひ法律資格専門の指導校である伊藤塾へご相談ください
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著者:伊藤塾 行政書士試験科
伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。
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