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行政書士の報酬一覧|仕事内容別に詳細解説!

2024年10月18日

 
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「行政書士の報酬はいくら?」
「仕事内容ごとの報酬が知りたい」

こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

行政書士の報酬は、仕事内容によって大きく異なります。

日本行政書士会連合会の調査によれば、仕事内容別の平均的な報酬は次のとおりです。

【仕事内容別の平均報酬】

仕事内容報酬の平均
建設業の許可申請6万〜13万
宅地建物取引業者の免許申請8万〜11万
産業廃棄物収集運搬業の許可申請11万〜
相続の手続き7万〜38万
農地の転用許可申請8万〜11万
風俗営業の許可申請16万〜
古物商の許可申請5万〜
国際業務4万〜18万

(※令和2年度報酬額統計調査から回答件数が多いものをピックアップ)

ただし、実際には個人差が大きく、依頼を受ける行政書士の実績や専門性、手続きの複雑さによって変わってきます。中には、1件で100万を超えるようなケースもゼロではありません。

本記事では、次の点を取り上げました。

◉この記事を読んで分かること
・仕事内容別の平均的な報酬
・それぞれの仕事の報酬の最大額
(※報酬額統計調査の回答者の中で)
・報酬が高い行政書士の特徴


行政書士になって得られる報酬のイメージを掴みたい方は、是非ご一読ください。

【目次】
1.【仕事内容別】行政書士の報酬一覧
 1-1.建設業の許可申請|報酬は6万〜13万が目安
 1-2.宅地建物取引業者の免許申請|報酬は8万〜11万が目安
 1-3.入札参加資格審査の申請|報酬は3万〜4万が目安
 1-4.産業廃棄物収集運搬業の許可申請|報酬は11万〜が目安
 1-5.相続の手続き|報酬は7万〜38万が目安
 1-6.農地の転用許可申請|報酬は8万〜11万が目安
 1-7.風俗営業の許可申請|報酬は16万〜が目安
 1-8.古物商の許可申請|報酬は5万〜が目安
 1-9.国際業務|報酬は4万〜18万が目安
2.報酬が高い行政書士の特徴
 2-1.実績を積んで、専門性を高めている
 2-2.口コミなどから紹介で仕事を獲得している
 2-3.ダブルライセンスを取得している
3.【Q&A】行政書士の報酬についてよくある質問
 3-1.行政書士の平均年収は?
 3-2.行政書士の報酬はいつもらえる?
 3-3.行政書士に顧問報酬はある?
4.まとめ

 

1.【仕事内容別】行政書士の報酬一覧

行政書士が扱う仕事は多岐にわたり、仕事内容によって報酬の金額も大きく異なります。

例えば、1件数万円程度の仕事もあれば、1件で100万円以上の報酬が発生する仕事もあるからです。

そこで、ここでは行政書士の報酬額統計調査(日本行政書士会連合会)を元に、特に回答件数が多い業務の報酬をピックアップして紹介していきます。

ただし、同一業務でも、行政書士の実績や専門性、手続きの内容・複雑さによって、報酬は大きく異なります。

あくまでも報酬イメージを掴むための目安として考えてください。

【仕事内容別の平均報酬】

仕事内容報酬の平均
建設業の許可申請6万〜13万
宅地建物取引業者の免許申請8万〜11万
産業廃棄物収集運搬業の許可申請11万〜
相続の手続き7万〜38万
農地の転用許可申請8万〜11万
風俗営業の許可申請16万〜
古物商の許可申請5万〜
国際業務4万〜18万

出典:令和2年度報酬額統計調査の結果|日本行政書士会連合会

 

1-1.建設業の許可申請|報酬は6万〜13万が目安

建設業を営む上で、建設業の許可申請は不可欠な手続きです。

許可なしでは営業することができず、一度許可を得ても、5年ごとに更新が必要となります。

建設業の許可申請の報酬は、1件あたり6万〜13万が目安です。

 報酬額の平均報酬額の最大
建設業の許可申請(個人・新規)120,458円346,500円
建設業の許可申請(法人・新規)137,618円346,500円
建設業の許可申請(個人・更新)64,841円250,000円
建設業の許可申請(法人・更新)74,753円900,000円

行政書士が扱う許認可業務の中でも、建設業許可申請は特に依頼される機会が多い仕事です。新規許可の場合は1件あたり12万〜13万円、更新の場合は1件あたり6万〜7万円程度の報酬を得られるため、建設業許可申請をメインに扱っている事務所も少なくありません。

 

1-2.宅地建物取引業者の免許申請|報酬は8万〜11万が目安

宅地建物取引業者の免許申請は、1件あたり8万〜11万の報酬が目安です。

 報酬額の平均報酬額の最大
宅地建物取引業者の免許申請(新規)112,535円300,000円
宅地建物取引業者の免許申請(更新)78,679円220,000円
宅地建物取引業士の資格登録申請24,452円76,000円

宅地建物取引業は、独立開業する人が多い業種です。

独立開業する際には、宅地建物取引業者の免許申請が必須となります。しかし、開業時には他にも多くの準備があるため、行政手続きまで手が回らない人も少なくありません。

そこで、行政書士が代理人となって免許申請を行うことで、独立開業をサポートするケースが増えています。

行政書士に依頼することで、開業時の負担を軽減し、スムーズに事業をスタートすることができるのです。

 

1-3.入札参加資格審査の申請|報酬は3万〜4万が目安

国や地方自治体が行う入札に参加するには、予め入札参加資格審査申請を行い、「入札参加資格」を得ておく必要があります。

入札参加資格審査は、「建設工事」と「物品・役務」に分かれており、それぞれで申請が必要です。1件あたりの報酬は、3万〜4万が目安です。

 報酬額の平均報酬額の最大
入札参加資格申請(建設工事)35,023円128,000円
入札参加資格申請(物品・役務)33,889円110,000円

国や自治体の仕事は、契約金額が大きく、支払いが滞るリスクも無いため、多くの企業から人気が高いです。

しかし、入札に参加するための「入札参加資格審査」は、申請期間が限られている上、2年〜3年おきに更新が必要です。さらに、地域によっては、自治体・官庁ごとに申請が必要な場合もあります。

そこで、多くの企業が行政書士に入札参加資格審査の申請を依頼しています。

申請手続きを行政書士に依頼することで、企業は事務負担を軽減して、スムーズに入札参加資格を得ることができるのです。

 

1-4.産業廃棄物収集運搬業の許可申請|報酬は11万〜が目安

産業廃棄物収集運搬業は、お客から依頼されて産業廃棄物を収集し、産業廃棄物処理施設まで運搬する仕事です。

申請手続きは複雑で、新規の許可を得ることは、かなり難易度が高いと言われています。

産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、1件あたり11万円程度の報酬が目安です。

 報酬額の平均報酬額の最大
産業廃棄物収集運搬業 許可申請
(積替保管を除く)
111,643円260,000円

難易度が高い反面、手続きに精通して専門性を磨けば、報酬の単価も上がりやすいです。

他の行政書士との差別化もしやすく、事務所の安定した収入源になり得る仕事だと言えるでしょう。

 

1-5.相続の手続き|報酬は7万〜38万が目安

行政書士が行う相続手続きでメインとなるのは、遺言書の作成サポートや遺産分割協議書の作成です。報酬は「6万〜7万円」が平均ですが、多くのケースで「相続人・相続財産の調査」も併せて依頼されます。

そのため、仕事1件あたりでは、10万円程度の報酬になるケースが多いでしょう。

 報酬額の平均報酬額の最大
遺言書の起案・作成指導68,727円550,000円
遺産分割協議書の作成68,325円1,180,000円
相続人及び相続財産の調査63,747円1,630,000円
遺言執行手続き384,504円5,000,000円

遺言執行まで依頼されると、一件で50万円近く得られる場合もあります。

報酬額の幅が広いのは、相続財産の多さによって金額が変動するからです。相続財産が多いケースでは、手続きが大変になる代わりに、報酬も高くなる傾向があります。

※相続業務は、次の記事で詳しく解説しています。
「相続で行政書士ができること|相続業務の魅力や報酬も解説!」

 

1-6.農地の転用許可申請|報酬は8万〜11万が目安

農地を農業以外の目的で使用する場合、農地の転用許可申請が必要です。

例えば、農地に家を建てる、駐車場にする、不動産業者に販売するなどの場合は、必ず転用許可を得なければなりません。

転用許可申請には、自分で使用する場合の農地法第4条の許可と、他人に売ったり貸したりする場合の農地法第5条の許可の2種類があります。

農地の転用許可申請の報酬は、1件あたり8万円〜11万円が目安です。

 報酬額の平均報酬額の最大
農地法第4条の許可申請81,126円770,000円
農地法第5条の許可申請105,188円2,899,561円

転用許可を得るためには、農業委員会への相談、入念な打ち合わせ、多数の書類準備が必要です。一般の人にとってはハードルが高い手続きだと言えるでしょう。

手続きの難易度が高いほど、行政書士への報酬も高くなる傾向があります。

なお、農地の転用許可申請の報酬には、土地(転用する農地)の価値が影響することも珍しくありません。そのため、土地の立地や面積によっては、数百万円の報酬が発生するケースもあります。

 

1-7.風俗営業の許可申請|報酬は16万〜が目安

風俗営業は、業態によって厳しい規制が設けられており、許可を得るための手続きが非常に複雑です。

そのため、一般の人が自分で許可申請を行うことは難しく、専門的な知識を持つ行政書士に依頼するケースが多くなっています。

風俗営業の許可申請の報酬は、1件あたり16万円〜が目安です。

 報酬額の平均報酬額の最大
風俗営業許可申請
(社交飲食店・料理店)
164,731円320,000円

表で紹介している「社交飲食店、料理店」とは、いわゆるキャバクラなどのことを指しています。

「怖い人が出てきそう」「損害賠償を請求されそう」というイメージを持つ人もいますが、決してそんなことはありません。実際は、丁寧な調査や、細かな調整が必要な仕事です。

風俗営業の許可申請に特化している行政書士は多くないため、実績を積むことで、他の行政書士との差別化を図ることができます。

専門性を身につけやすく、報酬面でも魅力的な仕事と言えるでしょう。

※風俗営業は、こちらの動画で詳しく解説しています。
伊藤塾・第150回 明日の行政書士講座 「ノリでも勢いでもない風俗営業業務」

 

1-8.古物商の許可申請|報酬は5万〜が目安

古物商許可は、物販で中古品を取り扱ったり、リサイクルショップなどを開業する場合に必要な申請です。古物商許可申請の報酬は、1件あたり5万円〜が目安です。

 報酬額の平均報酬額の最大
古物商許可申請53,585円440,000円

難しい申請ではありませんが、地域の警察によって取り扱いが異なるため、実情に応じた申請が必要です。

最近は、副業で物販を行う人も多いため、個人からの依頼も増えています。

 

1-9.国際業務|報酬は4万〜18万が目安

行政書士が取り扱う国際業務(入管業務)とは、在留期間更新許可申請や帰化許可申請などを指します。

これらの業務は、行政書士の花形と呼ばれることもあり、報酬面でも魅力的な仕事です。

報酬の平均は4万〜18万円ですが、実績や手続き内容によっては、1件あたり20万円〜50万円となる場合もあります。

 報酬額の平均報酬額の最大
在留期間更新許可申請
(居住資格)
46,546円220,000円
在留期間更新許可申請
(就労資格)
54,447円320,000円
帰化許可申請
(被雇用者)
177,500円500,000円

国際業務は、他の許認可申請と比べても、国の裁量(行政裁量)が大きい分野です。

そのため、行政書士の専門性や経験によって、申請の結果が変わってくるケースが多いです。法務局の担当者と綿密な打ち合わせを行い、依頼者の事情に合わせて、柔軟に手続きを進めなければなりません。

申請の結果は、依頼者の人生に大きな影響を与えるため、行政書士には重大な責任が伴います。しかし、その分報酬も高くなりやすいです。

専門性を磨き、国際業務に特化することで高い報酬を得ることができるでしょう。

※国際業務は、こちらの記事で詳しく解説しています。
国際行政書士は儲かる?入管業務の魅力と申請取次行政書士になる方法も解説

 

2.報酬が高い行政書士の特徴

ここまで説明したとおり、行政書士の報酬は、仕事内容によって大きく異なります。

しかし、高い報酬を得ている行政書士には、いくつか共通点があるのです。

ここでは、報酬が高い行政書士の特徴を3つ紹介します。

・実績を積んで、専門性を高めている
・口コミや紹介で仕事を獲得している
・ダブルライセンスを取得している


これらの特徴を身につけることが、行政書士として高い報酬を得る近道となるでしょう。

 

2-1.実績を積んで、専門性を高めている

1つ目の特徴は、実績を積んで専門性を高めていることです。

専門性が高くなるほど、多少高くても仕事を依頼したいと考える人が増えるからです。

実際、前述した仕事内容別の報酬でも、報酬の「平均額」と「最大額」では大きな開きがありました。これは、行政書士によって実績や専門性が全く異なることが大きな要因です。

特に、大きな仕事を依頼してくれる顧客ほど、金額ではなく、実績や専門性によって判断する傾向が強くなります。

行政書士として高い報酬を得るためには、実績を積んで専門性を高めることが欠かせません。

 

2-2.口コミなどから紹介で仕事を獲得している

2つ目の特徴は、口コミなどから紹介で仕事を獲得していることです。

実績を積んで専門性を高めていけば、口コミや紹介で仕事が来るケースが増えてきます。こういった案件は、営業をかけて獲得した仕事よりも、報酬が高くなりやすいです。

もちろん、最初から口コミや紹介で仕事が来ることはありません。

開業当初は、地道な営業努力が必要になるでしょう。報酬の低い仕事を受けるケースも多いかもしれません。

しかし、地道に仕事をこなしていけば、徐々に信頼が積み上がっていきます。

専門性を認められて、顧客からの信頼を獲得できれば、高い報酬で仕事を依頼される可能性も高くなります。

 

2-3.ダブルライセンスを取得している

3つ目の特徴は、ダブルライセンスを持っていることです。

司法書士や宅建士など、他の法律資格とのダブルライセンスを活用して、差別化している行政書士は珍しくありません。

ダブルライセンスは様々なシーンで活用できます。

・司法書士を取得し、営業許可申請から法人設立登記までを一貫して行う
・宅建士を取得し、建築基準法などの専門知識を、行政書士の許認可業務で活用する など


行政書士として安定的な報酬を得たいのであれば、ダブルライセンスは検討するべき選択肢の1つです。

※行政書士のダブルライセンス、トリプルライセンスについては、以下の記事で詳しく解説しています。
行政書士のダブルライセンスでおすすめの資格は?相性や年収についても解説
司法書士・行政書士・宅建士のトリプルライセンスが最強!難易度も解説

 

3.【Q&A】行政書士の報酬についてよくある質問

3-1.行政書士の平均年収は?

厚生労働省のデータによれば、行政書士の平均年収は551万円とされています。

(出典:行政書士|job tag 職業情報提供サイト 日本版O-NET(厚生労働省)

ただし、あくまでも平均値であり、実際には個人差が非常に大きいです。

※行政書士の年収は、次の記事で詳しく解説しています。
行政書士の年収の現実は?女性・雇われ・開業・中央値など比較解説

 

3-2.行政書士の報酬はいつもらえる?

報酬を受け取るタイミングは、行政書士によって様々です。

前払いでもらうケース、後払いのケース、着手金として一定額を先に受け取るケースなどがあります。

 

3-3.行政書士に顧問報酬はある?

行政書士の仕事は、スポットで発生する場合が多いです。

そのため、顧問契約を締結するケースは多くありませんが、中には企業と顧問契約を締結している事務所もあるようです。

 

4.まとめ

最後に、今回の記事のポイントをまとめます。

◉仕事内容別の平均報酬は次のとおり

・建設業の許可申請は「6万〜13万」
・宅地建物取引業者の免許申請は「8万〜11万」
・入札参加資格審査は「3万〜4万」
・産業廃棄物収集運搬業の許可申請は「11万〜」
・相続手続きは「7万〜38万」
・農地の転用許可申請は「8万〜11万」
・風俗営業の許可申請は「16万〜」
・古物商の許可申請は「5万〜」
・国際業務は「4万〜18万」


◉報酬が高い行政書士の特徴は3つ

・実績を積んで、専門性を高めている
・口コミや紹介で仕事を獲得している
・ダブルライセンスを持っている


行政書士の報酬は、仕事内容や実績、専門性によって大きく異なります。

稼げないと言われることもある行政書士の仕事ですが、報酬額の平均は1件あたり「数万〜数十万」と決して低くありません。

専門性を高めていけば、高い報酬を得ることも可能な、夢のある仕事です。

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著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。

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