明日の法律家講座 バックナンバー
明日の法律家講座 東京校第195回
2012年6月16日(土)実施
収容される難民たちの人権を考える
〜入国管理収容施設の実態と、外国調査事例との比較を通して〜
【講師】
収容施設の実態~自分の体験をもとに~
ミョウ・ミン・スウェ 氏 (東京大学大学院 修士課程)
収容施設における人権侵害防止のために~イギリス/ フランスの視察委員会の機能を見ながら~
新津久美子 氏 (東京大学 難民移民ドキュメンテーションセンター:CDR)
講師プロフィール
ミョウ・ミン・スウェ 氏 (東京大学大学院 修士課程)
2004年2月に難民認定申請を行ったが、一ヶ月後に私服警察官に職務質問され、そのまま逮捕される。
東京品川入国管理局収容所に、約8ヶ月半拘留された後、2005年2月に、条約難民として認定。
2007年に、関西学院大学の総合政策学部に入学し、2011年4月から東京大学大学院人間の安全保障プログラムの修士課程に在籍中。研究テーマは、“ミャンマーの民主化改革”である。
新津久美子 氏 (東京大学 難民移民ドキュメンテーションセンター:CDR)
講演コーディネーターからのメッセージ
みなさんは東京大学に難民の方が在学していらっしゃることをご存知でしょうか? その彼とともに、そして法曹や公務員を目指して日夜勉学に励まれている伊藤塾の塾生の方々とともに今回私たちが考えたいことは「難民の収容」です。難民が収容されるというのは、果たして如何なることでしょうか。
平和と民主主義を愛する日本という国が、ただでさえお困りであろう難民の方を収容するというからには、それなりの理由もありましょう。どのような状況と理由があいまって、難民は収容されるのでしょうか。そもそも難民とは如何なる人のことをいうのでしょうか。この問題は、言うまでもなく人権に関係しています。さまざまな事情に基づく制約はあるとしても、文字通り人権が人の権利であるならば、彼も彼女も人である以上は人権を有すること自体に疑いはありません。とはいえ難民の人権はどの程度に、何を目的としてどのような制約を受けるのでしょうか。
法治国家であればこそ、こうした疑問にもすべて法律上の説明が用意されていることでしょう。ですが今回、私たちは法そのものを眺める前に、まずは当事者の声を聴くことから始めたいと考えています。そしてまた、日本の法を眺める前に、世界の状況に照らして事態を把握する客観的視点を用意したいと思います。舞台はイギリスです。
その上で、法律に関係する職業を志す者として、日本における難民の収容と法の関係について考えてみたいと思います。
また、人権保障について考えるために、憲法をはじめとする国内法にとどまらず、国際法の観点からも難民の収容を考えてみたいと思います。
(東京大学 山本哲史特任准教授)