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明日の法律家講座 東京校第259回

2017年5月20日(土)実施

憲政と民主主義の相剋~自由な民主主義をいかに回復するか

【講師】 
山口 二郎 氏(法政大学法学部教授)


講師プロフィール

山口 二郎 氏(法政大学法学部教授)

山口 二郎 氏
1977年3月 岡山県立岡山操山高等学校卒業
同年4月東京大学教養学部文科 I 類入学
1981年3月 東京大学法学部卒業
1981年4月 東京大学法学部助手
1984年7月 北海道大学法学部助教授
1987年7月 コーネル大学留学(フルブライト奨学生、1989年6月まで)
1993年12月 北海道大学法学部教授
1997年3月 オックスフォード大学セントアントニーズ・カレッジ客員研究員(1997年9月まで)
2005年3月 ウォーリック大学客員研究員(2005年6月まで)
2014年4月 法政大学法学部教授 北海道大学名誉教授

  著書
『政治のしくみがわかる本』 (2009年、岩波ジュニア新書)
『ポピュリズムへの反撃 -現代民主主義復活の条件- 』(2010年、角川oneテ ーマ21)
『政権交代とは何だったのか』(2012年、岩波新書) 他多数
 

講師からのメッセージ 

 今や、世界中で虚偽をまき散らすデマゴーグが台頭し、民主的な手続きを通して権力を簒奪する現象が広がっている。実は、こうした民主政治の劣化は2012年暮れの第2次安倍政権誕生が嚆矢となっており、日本発の現象である。
 権力分立、基本的人権の保障、尊厳ある生の確保などの基本的原理に立脚した民主政治は、21世紀に至ってなぜ暴走を始めたのか。その原因について、ポピュリズム論を参照しつつ、グローバル資本主義の展開やナショナリズムの隆盛も視野に入れて、分析する。そのうえで、基本的人権、とりわけ少数者の自由を保障する民主政治をいかに回復するかを考えていきたい。
 安倍政権の下で、憲法破壊、国家の私物化がますます進行し、政府を批判することについて無力感を覚える昨今だが、これからの政治を構想するときに希望がどこにあるかを考えたい。